翻身旋理・刀裏背走理習得で自然とできるようになる発勁

中国拳法を志す者の中で、知らない者はいないくらい有名な言葉。

しかし私は、アルバイト先の空手の方に聞くまで、よく知らなかった。なぜなら、八卦掌にそのようなものがないからだった。

清朝末期成立当時のままの原初八卦掌(以下「清朝末式八卦掌」)では、発勁を重視しない。一大コンテンツでもない。

題名のままである。翻身旋理・刀裏背走理をできた先に、自然と待っているものである。

ここで注意が必要である。翻身旋理・刀裏背走理習得は、発勁を出来るようになるための練習ではない。あくまで、敵が移動遊撃戦時、斜め後方や横から急接近してきた際の、移動速度を落とさないための要訣なのである。

この両理の土台の先に、発勁は待っている。

敵が突然横方向から襲ってきた際、急速移動回避をする必要がある。その秒単位の世界では、複雑な技・日頃行っていないような技などできない。

あくまで、日頃取り組んでいる技で、もしくは身法で対応する。そしてその日頃の動作に、少しだけ大きな力を込めて、瞬間的に速度を増し回避したり、急に敵に迫ったりするのだ。

あくまで、普通の動きの中で、である。そして、特別な呼吸法や、特別な力伝達意識が必要なわけではないのである。

普通の動きの中で行うから、日頃の絶え間ない移動、の流れを止めないで済むのである。

あまりに大きな力を出すのなら、ある程度ためて、瞬間的に発する、という流れも必要となろう。他の拳法の発勁は、おおよそこの流れを採用している。

八卦掌は、とにかく持続可能な限りの速い速度を保って移動し続ける武術であるため、蓄~発は極力避けたい。八卦掌は、蓄~発よりも、縮~展の動きの流れの中で、大きな力を出すのだ。

扣擺発力・翻身発力は、まさに縮~展へ続く展開力を利用した発力である。遊歩発力も、移動する際の、押し広げ動作たる、展開の中で、通常よりほんの少し大きな力を発する。

よって、各対敵身法時の練習においては、まず翻身旋理・刀裏背走理の要訣を守って、洗練された後退スライド習得を目指す。

そしてその練習の中で、たとえば私のように、時間を区切った移動遊撃戦想定練習の中で、敵が横から球速チェイスしてきたのを予想して、突如向きを変えてみたりする。

ここでは、瞬間的に大きな力でもって、我が身を転身・移動させなければならないため、発勁で説かれる非常時力発出法も役立つのである。

八卦掌水式門富山本科イメージ

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