「これだけでいいんでしょ、違うの?」とこの子はいう。
私が人に教え始めの頃、まだ自信とか、指導方針が定まっていないころ、この子は確かめるようにこう質問をしてきた。
今ならば、はっきりと「これだけでいい」と答える。
女性の筋力は、考えている以上に、男性より少ない。よって力と力がぶつかる技では、簡単に弾き飛ばされてしまう。
「私の攻撃なんて、弾き飛ばされるだけ」がこの子の口癖だった。
映画の影響で、「八卦掌=女性」というイメージを持っている人も多い。インターネットの検索エンジンでも、その言葉で調べている人が結構いる。
たしかに、斜進攻防の八卦掌は、敵の目の前から動かず、激しく打ちあう武術に比して、女性に向いてそうなイメージを持つ。
しかし多くの八卦掌は、斜形スタイルなれど敵とぶつかり合うスタイルである。我の力のベクトルと、敵の力のベクトルが、正面きってぶつかってなくとも、抗する形が少しでもあれば、その部分で負け始め、勝敗が決する
映画の八卦掌でも、攻防を見ていただければ、まともにぶつかり合っているのが分かる。
このスタイルは、女性にとって厳しい結果を生む可能性があるにせよ、見ていて格好のいいものだ。よって多くの人(男性も女性も)こチラのスタイルの方を採るし、憧れる。
しかし実戦では、見栄えが通用しないのは、常に言われていること。実戦でないにしろ、組手・散手・乱取り等で試してみると、いかに体格等の要素が勝敗に影響を与えるかがわかる。
体格の良い、筋力のある初心者が、鼻穴を広げて力任せに攻撃をしてくる。初心者なのに、力任せの攻撃で我の攻撃がおくれをとったとき、言いようのないむなしさを感じてきた。
多くの人間はここで「体格差があるから仕方ない」で終わらせる。
冗談じゃない、私は常に、そこから考え続けてきた。答えは、単換掌の術理の中にあった。
眼前攻防こそが八卦掌のたった一つのスタイルだと思っていたが、負けるたびに湧きおこる悔しさが、八卦掌成立当時のスタイルにたどり着かせた。
たどり着いた原因に、この子の「弾き飛ばされるだけ」の口癖は大きかった。
君がいじめられている原因が、色々な面での「弱さ」からならば、迷わず八卦掌を選ぶがいい。できるなら、昔日の八卦掌を学ぶがいい。女性であるならば、なおのことだ。
昔日の八卦掌の利点は、「弱者が強くなるためになぜ八卦掌が適しているのか?その理由」 で説明している。
理解でき、本当に克服したいと思ったら、さっそく動こう。動いた瞬間から、事態も動き始める。
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