八卦掌三十六歌
歌一:空胸拔顶下塌腰,扭步合膝抓地牢。沉肩坠肘伸前掌,二目须冲虎口瞧。
「空胸拔顶下塌腰,扭步合膝抓地牢。沉肩坠肘伸前掌,二目须冲虎口瞧。」
「胸前は空にし頭を引き上げ腰を下げくぼませ、歩みを転じるときは膝を合わせ地面をしっかりとつかむ。肩を落とし、肘を落とし前の手の掌を伸ばし、両目は虎口を通して見る必要がある。」
歌五:步即转兮手亦随、后掌穿出前掌回。去来来去无二致、要如弩箭离弦飞。
「步即转兮手亦随、后掌穿出前掌回。去来来去无二致、要如弩箭离弦飞。」
「八卦掌の手技は、先に転じている歩法の動きにしたがうものである。後ろに控えている掌(穿掌の場合は、穿出した手の肘の下にそえられている掌)を穿で穿出すると同時に先に出している穿掌を引く。引くと出す、出すと引くは同時に行われ、それは2つの段階なく一気に行われるものである。ちょうど矢が弩弓の弦から放たれて飛んでいく際一気に素早く止まることなく飛んでいくかのごとくに。」
歌二十一:用到极处需转身、脱身化影不留痕。如何变化端在步、出入进退腰先伸。
「用到极处需转身、脱身化影不留痕。如何变化端在步、出入进退腰先伸。」
「ひとつの技における最後において、同時に身をひるがえす。身はすっと消え影となり、痕跡を残さない感じである。いかなる変化もまず歩法からである。出る・入る・進む・退くも、まず腰から先に動く。」
「歌二十一」の解説ページへ行き、「敵前変化法」と「戦闘時の身法」を学ぶ
歌三十五:冰天雪地雨泞滑、前脚横使切莫差。翻身切忌螺丝转、高低紧避仍为佳。
「冰天雪地雨泞滑、前脚横使切莫差。翻身切忌螺丝转、高低紧避仍为佳。」
「雪が降り凍る時、雨が降り地がぬかるみ滑る時は、前足を横にだすことで、通常の天候状態の時足を進めるのと同じ状態となる。翻身する際は、ねじのように回転して翻身すること、身体を上下動させることは、とにかく避けることを勧める。」
「歌三十五」の解説ページへ行き、「悪条件(路面)下で身体を安定させる方法」を学ぶ
八卦掌四十八法
十二・決胜法(決勝法)
「彼力千钧快如梭、避强用顺快不挪。千人只有三五近、稍伸手脚不难遮。」
「敵の力が強大で速くとも、こちらはそれにつられて力強く速くで対抗せず、敵の力や速さに従う。敵が1,000人居ようとも、我に近づくことができるのは、せいぜい3~5人程度。手足を休まず出し続けて対処すれば、この局面に対処するのは難しくない。」
十三・用法
「高打矮兮矮打高、斜打胖兮不须摇。若遇瘦长凭捋带、年迈无功上下瞧。」
「身長の高い者に対しては、その者の低い部分を攻撃し、身長の低い者に対しては、その者の高い部分を攻撃する。恰幅のよい太った者はその側面を攻撃し、その重い身体に絡んで揺さぶったりするなどの無益な労力を投じないこと。もし痩せて身長の長い者を相手にするならば、その者をつかんで寄りかかり(投げ技や引き回し技などで)制する。歳を重ね武術経験も無い、練習量も少ない者に対しては、相手の身体全体が見える位置において、身体全体をじっと見据えてにらみつける。」
二十二・半圏手法
「他人手法多直线,跨上半步等如闲。即或指直打斜法,再跨半步不相干。」
「他人の攻撃手法はその多くが直線的なものであるから、半歩踏み出せば防いだも同じである。あるいはその直線攻撃を(こちらの)斜め攻撃に向けてきたとしても、再度半歩踏み出せば、互いに触れることはない。」
「半圏手法」の解説ページで、八卦掌典型身法「半斜翻身」の効果と方法を学ぶ
二十三:整圏手法
「四面敌人我在中、穿花打柳任西东。八方凭势风云变、不守呆势不守空。」
「四方を敵で囲まれ私がその中にいる時、ヤナギの葉のごとくその場・その居場所に居つかず通り過ぎ西に打ったり東に打うったりし、(通り過ぎる過程におけるその都度ごとの前面の敵は)そのままにし固執しない。八方の情勢は風・雲のごとくに変化するものだから、その時の情勢にそぐわない融通が利かない守りをしない、意味のない守りをしない。」
弱者生存の護衛護身武術を極めたい方へ~清王朝末期頃のままの八卦掌「清朝末式八卦掌」を国内で唯一伝える水野先生の道場「八卦掌水式門」入門方法
1.八卦掌水式門~清朝末期成立当時の原初スタイル八卦掌「清朝末式八卦掌」を国内で唯一指導する稀代の八卦掌家・水野先生の道場
八卦掌水式門で八卦掌第7世を掌継させていただいた、掌継人のsと申します(先生の指示で仮称とさせていただきます)。掌継門人の一人として、八卦掌水式門の紹介をしたいと思います。
八卦掌水式門は、清朝末期成立当時のままの原初スタイルの八卦掌「清朝末式八卦掌」を国内で唯一伝える八卦掌専門道場です。「単換掌の術理(単換掌理)」による「弱者使用前提」・「生存第一」の技術体系からぶれず、成立当時の目的を一心に貫く伝統門です。
八卦掌第6世の水野先生の伝える八卦掌は、強者使用前提・対一人・対試合想定の近代格闘術的八卦掌が主流となっている現代において、対多人数移動遊撃戦による弱者使用前提の撤退戦を貫いた極めて異色の存在となっています。
先生の伝える八卦掌の最大の特徴は、「単換掌の術理(水式門で先生は、「単換掌理・たんかんしょうり」と略して指導しています)」に徹している点です。
「単換掌の術理」とは、敵と接触を極力さけ、敵の力とぶつからない斜め後方へスライド移動しながら対敵対応をする、「相手次第」を排し「自分次第」にシフトした術理です。
間合いを取り、敵と力がぶつからない場所へ移動しながら「去り打ち」することを正当な戦法としているため、女性やお子さん・お年を召した方にとって極めて現実的な護身術となっています(※よって水式門では、私を含め、女性の修了者さんが多いです)。
単換掌の術理を理解するには、修行の初期段階に、術理に熟練した指導者による対面での練習を通して対敵イメージをしっかりと構築することが必要不可欠、だと先生は言います。
『八卦掌は「勢(せい)」が命の武術。前に向かってひたすら進み続けることで勢を維持せよ。後ろ敵は勢があれば追いつけない。横敵には単換掌の術理・斜め後方スライドで対応せよ。電撃奇襲をすることで、守るべき人に手を出させない、囮(おとり)護衛による中国産護衛護身武術なんだ』は先生の「口癖」化した説明ですね。
相手の侵入してくる角度や強度、そして敵動作に対する自分の身体の使い方を、先生の技を受け、または先生を試し打ちをしながら自ら身体を動かして学んでいきます。 先生は、「私の技を受けるのが最も上達する近道となる。しっかりと見てイメージを作り、独り練習の際、そのイメージを真似するんだぞ。」と語り、常に相手になってくれます。 それは初心者には果たせない役割。水式門では、先生はいつでも技を示してくれます。相手もしてくれるし、新しい技を指導するとき、使い方もしっかりと見せてくれるから、一人の練習の時でも、イメージが残るのです。
よって最初から全く一人で行うことは、リアルな敵のイメージが分からない点から、大変難しいものとなります。この問題は、私がこの場で、先生の指導を受けたほうがといいと強くすすめる理由となっています。
私も石川県在住時は遠隔地門下生でした。先生が富山に来たときは、集中的に相手になってもらいました。石川県という遠くであっても、先生の教え方のおかげで、ブレずにここまで来ることができました。
単換掌の術理に基づいた弱者生存第一の八卦掌を指導する八卦掌の教室は、日本国内では水式門だけです(それか、公にしていません)。
弱者使用前提がゆえの現実的方法で自分を守る武術に興味がある方。力任せの攻撃にも負けない護身術や八卦掌を極めたいと思う方は、水式門の扉を叩いてください。水式門なら、弱者が生き残る可能性を生じさせる八卦掌中核技術を、明快に学ぶことができます。
2.八卦掌水式門は、仮入門制の有る純然たる「伝統門」道場
八卦掌水式門は、代表である水野先生が、八卦掌第5世(梁派八卦掌第4世伝人)である師より指導許可を受けて門を開いた、純然たる「伝統門」です。それゆえ、入門資格を満たしているかを判断する仮入門制(仮入門期間中の人柄・態度を見て本入門を判断する制度)を、入門希望者すべての方に例外なく適用しています。もちろん私も仮入門期間を経て本入門しました。
水野先生が指導する八卦掌は、綺麗ごとのない護衛護身武術。一部に当然殺傷技法が伝えられ、昔の中国拳法と同じく実戦色が強い八卦掌。誰それ構わず指導することはいたしません。
特に先生は、拳法を始めた動機も真剣。他者への思いやりに欠ける人間に伝えてしまい、それで人が傷つけられてしまう事態を招くことを、心から心配しています。
よって各科に掲載された「入門資格」を満たした人間だと判断した場合にのみ、先生は本入門を認め、受け継いだ技法をお伝えしています。「八卦掌の伝統門として、門が負うべき当然の義務と配慮」。これも先生が常に話す口癖ですね。
水式門には『弱者生存の理で貫かれた護衛護身術「八卦掌」を日本全国各所に広め、誰もが、大切な人・自分を守る技術を学ぶことができる環境を創る』という揺るぎない理念があります。
先ほども触れたように、他者への思いやりに欠ける人間に伝えてしまうことは、技法が濫用され第三者が傷つく事態を招き、理念実現に真っ向から反する結果を生んでしまいます。
水野先生は、門入口を無条件に開放して指導し門を大きくすることより、たとえ仮入門制を設けて応募を敬遠されたとしても、他者への思いやりに欠ける人間に伝えてしまう事態を避けることを重視しています。
ここまで書くと、なかなか入ることのできない難しい道場だと思うかもしれませんが、そんなことはありません。仮入門制はありますが、一般的な常識と礼節、思いやりがあれば、心配する必要は全くありません。
指導を受けてみれば分かるのですが、先生はいつも、門下生のことを考え、熱心に指導してくれ、怒鳴ったりもなく、笑顔です。安心してください(無礼な態度や乱暴なふるまいには、ベテラン・初心者関係なく厳しいですが)。
仮入門期間を経て本入門となった正式門下生には、「誰もが大切な人、自分を守ることができる清朝末式八卦掌」の全てを、丁寧に、熱心に、真剣に教えてくれます。
迷ってるあなた。水式門には、積み重ねるならば、弱者と言われる者でも高みに達することができるシンプルで明快な技術体系があります。先生の温かく熱心な指導で、「守る」強さを手にしてみませんか。