「あの技ができるようになった」ごとにその都度行動してきた

次から次へと行動して、数多くの失策や嘲笑(あざわらい)を受けてきた。

辛いこともあったし、人前で恥をかいたこともあったけど、行動して得たものの方が圧倒的に多かったと、今この時点で振り返って思う。

いつも、今までできなかった技や身法ができているとふと気づいた時、「これはいける、チャンスだ」とよりどころにして行動してきた。例えば、その技をメインとして講習会を開いたり、その技の動画を元に生徒募集動画作って、生徒を募集したり。

今思うと、その時は今より一層未熟だったので、生徒さんの前で失敗したり、答えた内容に整合性がなく矛盾を生じたり・・・、そんなミスばっかりだった。

しかしその失敗が、今自分に足らないものを教えてくれる。身をもって教えてくれるその教授方法は、精神的にはかなりこたえる教え方。ふと「やめてしまうか」と思う時もある。しかし「やめてしまったら、全国指導旅で逢って伝えるはずだったみんなに逢えない」と考えて思いとどまった。

本当に心からそう考えていたし、今でも思っている。

今水式門のホームーページには、多くの解説動作がある。そのなかで、通信受講生をとって教える目的で作成している自分が納得できる動画は、ほんのわずか。

圧倒的に、通信講座教材として耐えうることができないものばかり。それは無駄だったのか。それらの動画を作成して、失敗作が試作と化したから、次に作る動画の質が少しづつ上がっていく。だから決して無駄になってない。

その意味もあって残してある。その軌跡があるからこそ、今の場までたどり着くことになった。

指導動画を作成をし続けてきたから、どこでつまづいたのかが分かり、それが弱点として認識され、次の動画に活かされ指導動画作成技術が上がってきたのだ。何かしらの理由をつけて行動しなかったら、作成技術は昔のままで何らの変化も、無かっただろう。

いきなり動画作成から入ったが、これは、対多人数遊撃戦の練習でもまったく同じこと。

「絵空事」「漫画や映画の中だけの話」と決めつけて行動しなかったら、そこで完全に終わっていた。

自分が対多人数遊撃戦の習熟を願い、行動し始めた時も、そこに詳しい方法を示した書籍やサイトは無かった。そのような中での模索ゆえ、多人数組手中で試行錯誤するたびに徹底的に打ちのめされた。

これは武術の経験などほとんどない仕事仲間が相手の時の話。武道や武術の経験を持つ人たちが相手だと、10秒ももたず打ちのめされたり、掴まれたりした。

きっと私の所属していた会の仲間たちは、私が倒されているイメージしかもっていないはずである。地面に倒され、時には疲れて勝手に倒れ込み、砂だらけになっているイメージしかないはずである。

しかしそれを「恥」だと思ったことはない。人に教える立場となっても、同僚や門の生徒さんたちの前で失敗してできなくても、それはいい機会ととらえ、その都度できるように努力してきた。

できなくて大したことないとして、去っていった人もいる。それは寂しいことだが、それも行動したことで経験できた貴重な財産であり、そこから何かを生み出すことができたため、良かったと、思っている。

自分の描く「理想の状態」になってから行動しようと考えた時もあった。しかしその時は今まで一度も訪れたことがないことにある時気づき、もうそんなためらいは止めてしまおうと思った。

極端な話、練習をしていて、ある一つの新技をマスターしたと思ったら、それを材料に発信したり、多人数組手で堂々と試したりした。もちろん、うまくいかない。うまくいかないけど行動はしたため、その行動から、新たな展開が生まれたりもした。

この「新たな展開」こそが、きっと思いがけない世界へと私を連れて行ってくれるのだろう。実際、今の自分の位置も、昔では想像できない位置。

八卦掌練習し初めに、家族に撮ってもらった動画の中で、「大したものでしょう」と笑っている自分が居た。今撮影した動画と見比べてみると、天と地ほどの差がある。当時はあの動きで、よかれと思っていたのだろう。そこまで自分は進んできたのだなと思った。

当時のその動画の中で「(この動画も)使うんでしょ?」と問われたので、「そんな、これを人に見せるなんて」と私。

「せっかく撮ったんだから。そんなこと関係ないのに。」と話が続いたのをハッキリと覚えている。そこまで撮り続けておけばよかった。本当にその通りだね。その通り。なんて言い得てるんだろうか。

きっと今も同じことを言うだろうから、その言葉を胸に、ささやかな機会あるごとに、どんどん行動していく。

思い立った時に、すぐ練習を始められるような役立つ動画、ぜひ待っていてほしい。

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