「転掌式八卦掌」実技実戦解説」カテゴリーアーカイブ

八卦掌水式館が、国内外で唯一指導する、八卦掌成立当時のままの原点スタイル「転掌」の技術体系で構成された八卦掌「転掌式八卦掌」。八卦掌第6世であり、転掌第8世掌継人の水野が、弱者護身の戦いで用い自分と大切な人を護衛するための方法を詳しく解説。

目的は単換掌理「引き込み、虚打、転戦」を実行し生存する事

2023年4月16日・4月30日に愛知県刈谷市で行われる『強者に圧倒されない護身術に変える「生存」のための八卦掌「単換掌理」講座』講習会

講習でテーマとして採りあげる「単換掌理(たんかんしょうり)」は、八卦掌の真髄と私は確信しています。八卦掌は弱者が強者から生存し、己を守り、大切な人を守るための武術。己を守り、大切な人を守るための具体的な方法が「単換掌理」なのです。

私は学生時代の経験から、強者に打ち勝つための技術をひたすら求めてきました。しかし技術が上がるほどに性別・筋力・年齢あなどの身体的要素の脅威に打ちのめされてきました。

八卦掌は宦官の作った拳法(伝)。「私にはしょせん無理か。体格がよければ、運が悪かった、で終わってしまうのか」と挫折をしていた時、教えていた練習相手(女性)のスタイルから、ハッとしました。

「だって、どうせ前に進んで攻撃したって、私の攻撃なんて弾かれるだけでしょ?」

そういって老僧托鉢を繰り出す時、思い切り下がる少女。そういえば、もう一人の生徒さんも、同じことをいっておられた。気づかなかった。

これか!私はずっと、近世八卦掌の、猛然と前に出て、磨きぬいた巧みな技で圧倒するエリートスタイルに、出来もしないのに囚われていた。

八卦掌のエッセンス(真髄)と言える戦闘スタイル。「追撃してくる敵を間合いを保ち流し引き込みながら、不意に攻撃しつつ入り身、一気に身を翻し転戦離脱」。八卦掌では、この攻防を無意識でできるようになるために、全ての練習法が組み立てられ、そして帰結しています。

※転戦離脱時に前に現れた敵を斜進攻撃で引きつつ斬り込み攻撃するのは、単換掌理の派生性掌理である「順勢掌理(じゅんせいしょうり)」。単換掌理を理解すると順勢掌理も理解できる。

たったそれだけのものであるが、「追撃してくる敵を流し引き込みながら、不意に攻撃、一気に転戦離脱」の中に、弱者が強者に圧倒されないための工夫が、ふんだんに盛り込まれています。

八卦掌の練習目的は、この流れを実現するために考え抜かれた「工夫」を、どんな状況下でも実行できるようにすること。

圧倒的に多い独りでの想定練習と、想定練習におけるイメージを補うためのわずかな対人練習の組み合わせで、練習をする、と言ってもいい拳法。

このシンプルな流れの中にある、強者に負けないための工夫と練習法を、一人でも多くの、立場の不利な、でも自分を守り、大切な人を守りたい、と願う優しい人に確実に伝える。その一環として、今後も、「単換掌理」にからむ講習会は、人が来なくなっても開いていきます。

難しい技法は、やはり誰でもできるものではない。でも、水式門でとりあげる「単換掌理」ならば、練習を積み重ねれば、誰でもできる。内容は「え?これだけなの?」というもの。

上の動画中で、走圏で回っている最中に、後退しながら打つ、動作がある。ここが一番大切。これにたどり着くまでに、多くの失敗を繰り返してきた。

敵が向かってきたら、そのまま思い切り後退(もしくは横)スライドして、敵と離れながら、我の射程内に入る直前に、けん制攻撃(虚打)を放って、転戦、後方の敵に電撃攻撃をしていく。それだけ。

もちろん、練習が必要です。何度も何度も練習する必要があります。練習しないと、後方スライドができないし、そもそも歩きながら虚打を放つこともできない。

しかし後方スライドのおかげで、そもそも敵の攻撃はとどかない。届いたとしてもかする程度。自分の攻撃も届かない?届かなくていい。届いてしまうような、猛然と残酷に突っ込んでくる敵にだけ当たればいい。それ以外の敵に当てるために、あなたが危険な領域にとどまる必要はない。

生存こそが大事。立っていれば、守ることができる。

プロイセン総参謀長、モルトケは言った。「目的はパリ、目標はフランス軍」。わが軍がパリに進撃すれば、その過程で必然とフランス防衛軍がやってきて決戦となる。

少し意味は違うが、自分が立っていれば、生存していれば、敵は守るべき人ではなく、必然的に自分を攻撃してくる。獲物を確実に得るために、邪魔な存在である自分を排除するため攻撃をしかけてくる。

そして自分は、事前に鍛えぬいた八卦掌の両掌理で、徹底的に逃げまくって翻弄し、時に斬り込んで電撃戦を展開し、思うようにさせない。てこずらせる。そのうちに、助けが来る。相手を倒していない。でも、相手の意図が打ち砕かれた。

これだ!これしかない!10分もてばいい。

それを実現するための方法こそ、「単換掌理」。これから、解説ページ、動画、講習会、色んな場で伝えていきます。一人で練習する人も、昔単換掌を習った経験はあるがどう使っていいかわからない人も、そして今まさに習っている人も、是非見てほしい。そして実行してほしい。

八卦掌が、護身の切り札に変わることを実感できるはず。単純だけど、極めて実用的。いざという時に、自分と大切な人の命運を託すことができるようになるため、今すぐ練習しよう。

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転掌術理の八卦掌は対複数移動遊撃戦ゆえ護衛武術たりうる

八卦掌は対多人数戦専門の遊撃戦武術だから護衛武術たりうる(対多人数遊撃戦拳法だから、大切を人を守ることができる)。これは、30年以上八卦掌と向き合い、考え続けて実践してきたうえで確信したことがだから間違いない。

この命題は、私の中では揺るぎない真実となった。師伝で「対多人数専門だから」と言われたから言っているのではない。人に言われだけのもので、断言などできません。よって、人が「それは違う」と言っても一切変えることもないし、考え直すこともない。

なぜこんなことをわざわざ言うのか?まず動機から。

それは、八卦掌を信じ、日々苦しい練習と向き合う優しき修行者を後押ししたいから。「対多人数戦専門の遊撃戦護衛武術・八卦掌」の言葉を信じて弊門をくぐってくれた有志を後押ししたいから。

守るべき人を守ることができず、どん底からここまでやってきて、その努力が報われた瞬間もあったり、うまくいかないこともあったり・・・そんなことを繰り返す中で、明確に確信した。この道を進みたいがために、流派のネームバリューにも、ライトポップな路線にも進まなかった。

その決断が様々な苦痛を招き寄せたが、今この瞬間も、しっかりこの道を進んでいる。

では確信している理由を。

敵側が多人数であっても、我が動き続ける以上、敵は誰一人として油断することができない。滑歩で移動する際の八卦掌の動きは、速さもさることながら、次に進む方向を読むことができない。

高機動力拳法であるゆえ、不意をつかれて逆を取られると、逆をとられて慌てて振り返っても、逆を取った先でも我は移動しつづけているため、とらえることは難しい。

敵は対多人数の有利さを活かすことができず、移動し続ける我に気を取られ、かつ警戒して気を抜けないため、八卦掌で戦っている護衛者が守っている「ターゲット」に近づく余裕がないのである。

分かりやすい例を話そう。「人を護衛するために八卦掌で戦う者は、太平洋戦争において艦船を護衛するために戦った戦闘機(ゼロ戦)と同じ」という話である。

航空機の出現により、艦船にとって空からの爆撃攻撃は大変な脅威となった。

太平洋戦争初期の日本海軍の爆撃機(主に中島99式艦上爆撃機の急降下爆撃)による攻撃命中率は、80%を超えていた。このセンセーショナルな攻撃能力によって諸外国は航空機攻撃の有効性を知り、日本艦船にも攻撃爆撃機の脅威が跳ね返ってくるようになった。

通常爆撃隊は、数十機の大編隊(時に数百機)で押し寄せてくるため、対空砲火だけでは、防ぎきることはできない。そこで、機動力に劣る艦船や爆撃機・雷撃機を守るため、戦闘機が大活躍したのです。日本海軍の主力戦闘機は、もちろん零式艦上戦闘機、ゼロ戦です。

ゼロ戦の戦い方は、その高機動力性から、旋回・急激転身・きりもみ旋回などでアメリカ軍の戦闘機や爆撃機を圧倒しました。その戦い方は、移動遊撃戦を採り、敵を翻弄し続ける八卦掌戦闘者そのものです。

日本艦船や爆撃隊を攻撃しようにも、ゼロ戦が飛び回って護衛している以上、アメリカ軍戦闘機はゼロ戦を無視できない。無視して艦船を攻撃しようものなら、対空砲火に加えてゼロ戦による追撃攻撃を喰らい、たちどころに撃ち落とされる。

よってアメリカ軍戦闘機は、まずゼロ戦を叩き、そののちに後続の爆撃隊に攻撃のバトンを渡す必要がある。しかし開戦当初のゼロ戦の搭乗員の技術はすさまじく、アメリカ軍戦闘機は歯が立たず、戦闘機も攻撃隊も多大な被害を受け続け、日本艦船に打撃を与えることができなかった。

※そこで、高機能レーダーの開発や、戦闘機の横で弾けるVT信管技術の開発などでアメリカ軍は挽回を図った

八卦掌で護衛を志す者は、この歴史の出来事を、修行の励み、そして参考としてほしい。

どこを「参考」にするか。それは、ゼロ戦の戦闘スタイルである。ゼロ戦は、搭乗員の操縦技術の高さと、機の高機動力性によって、護衛の目的を果たした。

高い技術による絶え間ない移動遊撃戦で、敵の戦闘機を圧倒し、敵爆撃雷撃隊を蹂躙し、日本海軍爆撃雷撃隊を守ってアメリカ艦船に対する空襲を支えた。

基本技術の徹底的な身体浸透化による操身技術と身のこなしで自由に動き回り、多勢にモノを言わせようともそのメリットを活かない移動遊撃戦に慣れていない敵を、移動遊撃戦の渦中に引きずり込み、ほんろうして、圧倒せよ。

日頃から「滑歩移動」の激しい身体流の慣性がかかる状況下で、技を打ち込む練習をし、通り過ぎながら突然打ち、すぐ離れ、違う角度・方向から打つ、を繰り返す。

息が上がることを恐れるな。息が上がっても動き続けることができる体力を、日ごろの練習で養うことだ。息が上がった状態で動き続けるための練習は、大変苦しい。しかしそこから目を背け、気持ちいい移動速度で練習しても、実戦ではすぐに捕捉され、役に立たない。

移動遊撃戦の土台は、有酸素運動の積み重ねによる基礎持久力だ。この基礎持久力は、年齢が70を越そうが、女性であろうが、身体の小さい者であろうが、積み重ねるならば、積み重ねていない者を圧倒する要素となる。

八卦掌は言い訳の効かない拳法である。日ごろから移動遊撃戦を練習していなければ、実戦で息があがり身体をコントロールできず使い物にならない。しかし、逆を言えば、日ごろから練習している者ならば、敵の身体的優位さを乗り越える可能性を味わうことができるのだ。

ゼロ戦たれ。ゼロ戦となって、あなたが守りたいものを守り切って見せよう。大編隊で飛んでくる思いやりのない敵を、移動遊撃戦の渦中に引きずり込んで、徹底的に撃退せよ。

「八卦掌は対多人数戦専門の武術だから護衛武術なのである」

辛い時は、この言葉を、私がしているように心の中で何度も唱え、大切な人を守っていこうぜ。