水式門で教えている八卦掌は護身術として使えますか?
このようなことをたびたび聞かれることがあります。形を変えて聞かれることもあります。水式門の八卦掌は護身法としての役割を果たし得るか・・・
水式門の八卦掌は、護身術として使うことができます。そもそも、護衛護身のためにだけ考えて練習し、工夫してきたため当たり前です。
試合で勝つため、や、健康増進のため、美容・ダイエットのため、という視点で練習や工夫をしてこなかったから、護衛護身の目的以外の成果について、「効果あります」と安易にいうことはできません。
試合での勝利・美容・健康・ダイエットで成果を挙げるためには、それに見合ったカスタマイズが必要です。それを考えてこなかった当門の八卦掌について、これらの成果がでることをうたうのは不誠実だと考えています。
八卦掌は、ルールのある中で用いることを前提としていない武術です。これは、試合形式の格闘技を馬鹿にしているわけではない。
格闘技は、フィジカルの優位性を除かれた極めてフェアの条件の中で、己の技術とか精神力でのみしのぎを削る、苛酷で壮烈な世界。あの世界で戦う格闘家らの肉体が皆研ぎ澄まされているのは、その壮烈さの現われです。
八卦掌水式門には、初学者向けにふたつの道があります。
八卦掌の従来からの履修課程にのっとり、着実に八卦掌体から構築していく「八卦掌基本科」過程。
今まさに必要とされる方に、土台の構築に不完全さを残すのを前提として「典型攻防」を通して、典型基礎に絞って学ぶ、短期速習問題集形式の「八卦掌式護衛護身法」過程。
どちらの科でも、習うものは八卦掌。八卦掌式護衛護身法でも、他の拳法要素は入っていません。
私ごとき中途半端に習ったものを八卦掌に組み込み、門下生に押し付けるなどもってのほか。練習すればするほど、その奥深さに魅入られ、新しい自分の拳法など創始する意欲も失くしてきました。
奥深さとは、八卦掌の持つ、弱者のための実戦での戦闘性です。体格差などの優位性で支配される敵前攻防を徹底的に避けるためのいさぎよい技術体系に、多人数の暴力による敗北からスタートした私は、心底魅せられてしまっています。
これは盲目になっているのではなく、柔道などの他武道を経験したうえで改めて感じている本心です。
体格がいい。筋力に自信がある。若いため、身体がどれだけでも動く。フィジカル面での優位性がある人であれば、眼前攻防主体の武術・格闘技でも、当然、護身護衛の成果が得られるでしょう。
しかしそれらの優位さを持ち合わせていない者。私のように、背も低く、体重も軽い方などは、是非とも八卦掌を練習してもらいたい。
このブログでも、八卦掌の基本動画を、今まさに挙げている最中です。それらを学習に役立てて欲しい。
当門で指導する、対多人数遊撃戦八卦掌は、護衛護身を実現することを第一に考えている八卦掌。そのほかの効果は、護衛護身の実戦力を追い求めていく過程で、自然とついてくるもの。そのようにとらえてください。