八卦掌基本功1「回肩功」:人・自分を守るための第一歩。護衛護身武術「八卦掌」基本講座

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毎日行うことで肩の可動域を開拓し射程距離の伸長につなげる

「回肩功」は、八卦掌独特の基本功ではありません。腕を激しく伸ばしたり振ったりするような拳法流派で、よく見られる基本練習です。その名称は、各拳法流派によって異なっています。

八卦門においても、流派によって言い方が異なりますし、動作に若干の違いも見られます。しかしここで示す方法だと思ってもらって構いません。

回肩功では、肩を回転の元として、おおきくゆったりやや大げさに回します。この単純な動きを、練習を始める最初に行います。

このような、身体の各部位を動かす練習は毎日行うのがベストです。各功とも、多くの時間を割く必要はありません。サッと行うだけでもいいでしょう。

私が毎日練習開始前に行っているのは、以下の基本功(名称は一部オリジナル)です。

  • 回肩功
  • 伸肩功
  • 螺旋功(龍玉遊掌)
  • 仆腿功(仆歩功)
  • 金鶏独立功(バランス功)
  • 推磨式基本功(推磨式五法)

日頃から肩を可動域一杯に回すことで、有事におけるとっさの防御反撃の動作の中で肩が攻撃の動きの速さ・精度を邪魔することがなくなります。

そして何より、肩を柔軟にしておくことで、穿掌を放つ際の射程距離が格段に伸びます。その差五センチも。「なんだ、たったの五センチか?」と思われた方は、間合いの重要性についてもう一度考えてもらいたい。

五センチの差で当たる、当たらないが決まったらどうでしょうか。当たらなければダメージは一切ない(穿掌に対する脅威は感じるかもしれないが)が、当たれば大きなダメージを与えることができる。

それは当たりまえのことではありますが、その違いで倒すことができた相手を倒すことができなかったら、特に対多人数戦で一人でも人を減らしたい場面では、倒すことできなかった相手によって後々大きなマイナスの結果が生まれるかもしれないのです。

ですから、射程距離を大きく取るような武術では、肩の可動域を伸ばす基本功(回肩功や伸肩功など)が発達しているのですね。

「開・合」を意識して目いっぱい大きく行う

動画中では、腕の動きを使って肩を回す動作を助けていますが、肩のみで行う場合もあります。皆さんのやりやすい方で取り組んでください。初学のうちは、腕を使って肩の回転を助ける方法がやりやすいでしょう。

回肩功の目的は、肩の可動域を開拓して、自在な動きを得る、もっと具体的に言えば、肩をフレキシブルにして穿掌の射程距離を少しでも長くする、というものであり、その点からも練習時に「大きく大げさに」は理にかなっています。

回肩功で重要な内的意識は、「開・合」の意識。大きく肩を回している場合、後ろ方向に回しきっている場合を開、そして前方向に回し戻してきた場合を合、というように、肩を回すことによる胸の開きと閉じを意識します。

多くの技は、開と合をもって、動作が始まりそして完結します。よってこの「開」「合」の意識を養うことは大変重要であるのです。

動画中の回肩功では、両手指を肩の起点に置き両肩を同時に同じ方向へ回す方法、両肩を違う方向へ回す方法、左右の肩を互い違いに方向を逆に回す方法、腕を伸ばして行う片腕づつ行う方法、そして両腕互い違いに同時に行う方法を紹介しています(方法はほかにもありますが、これだけでも十分です)が、すべてに開・合の意識を伴わせます。

両腕を互い違いに違う方向へ、同時に回す回肩功では、膝の動きも伴わせると、腕の動きが安定しかつ可動域目いっぱいに回すことができます。

回肩功は、拳法の本格修行者のみならず、健康志向で拳法に取り組みたい方にも大変お薦めする基本功となります。その際は、ゆったり大きく、ゆっくり行うことで、身体に負担をかけず行います。

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