夏は護衛官武術家の血が騒ぐ・・そんな風に感じてみよ

どうせ拳法をやっていくならば、誰かを守るためにやってみよ。

どうせ拳法をやるならば、誰かを守り切ることができるくらいまでになってみよ。

これは、今でも私が弟子らに言う言葉である。

「ボディーガードでもあるまいし」と思われるだろうが、私は常にド真面目に、そのように考えて練習してきた。

自分のため、よりも、人のため、大切な人のため、とした方が、断然やる気が湧いてくる。

大切な人たちのことを考え、その人たちに、ほんの少しでも、苦しい想いや悲しい想い、痛い想いをさせたくない

多くの人は、きっとそのように考えるだろう。子供がいたり、配偶者がいたり、家族がいたり、恋人がいたりする人なら、共感もしてくれると思う。

以前、夏祭りに関する話をした。護衛官らの夏、だ。

今年も、8月に、護衛官の任務を授かった。毎年恒例ながら、私はこの任務を授かると、がぜん練習に気合が入る。わたしにとっては、この日、この時期こそが、最も身体をピークに持っていく時期だ。最高のパフォーマンスで護衛の任を遂行するために。

護衛の依頼者も八卦掌第7世の掌継人で、もはや護衛もいらないのかもしれない。しかしこの時期、ずっと任を授かっていたために、これが恒例行事となった。

おおげさだろうか?子供じみてるだろうか?

ここまで人を守るために考えぬかれた護衛武術を追い求めていると、自然とそのような考えも湧いてくる。何より、血が騒ぐ。

守りたい。確実に守り切りたい。まだこの部分が甘い、もっと磨けば、より確実に、守ることができる・・・そんなふうに、よりリアルな緊張感の中で練習もできる。

私は、託されている。これからもずっと、守っていって、と託されている。その人も私に護衛を依頼してくれて、練習する意味を与えてくれた。その人の子も今、それを理解し、必要なあるない関係なく依頼してくれて、私に練習する意味を与えてくれる。

「私には大切な人などいない」と言うならば、周りをみてごらん。

皆、誰かにとって大切な人。

嫌悪感を抱くような「嫌な奴」に対してまで、そんなことを無理に感じる必要もない。しかし君が「いい奴だなあ」とか、惹かれる人に対して、もしくは「素敵な人だなぁ」「すごい奴だなぁ」と感じる人には、「この人も誰かにとってかけがえない人」と考えてみると、何かあった時に、「ちからになってあげたい」「まもりたい」と思うことができる。

だから誰にも、「守るべき人」は存在する。

そして何より、君自身も、誰かにとって大切な、かけがえのない存在だ。

天涯孤独の人でも、自分は「自分」にとって大切な存在なのだ。

生存し続けようとすることは、生物の本能である。人間はその本能に、生きる意味や、楽しいこと、したいこと、大切な人、などが加わって、「もっと生きたい」という気持ちを持つ

そんな気持ちを持った自分のために、練習をしてごらん。大切な君自身を守るために、練習をしてごらん。

八卦掌は護衛武術だ。一定時間生存して敵を引きつけ、時間稼ぎをして守るべき人を守る囮(おとり)護衛の武術だ。

一定時間生存するための技術を徹底的に磨き、まず自分を守り切るスキルを得てごらん。

そうすると、世界が変わる。嫌な要求・いわれなき言動に対し、「おかしい」「受け入れられない」「納得できない」「それは嫌だ」と考えるようになり、それが態度にはっきりと表れ、ごく自然に、「NO!」ということができるようになるから。

そうしたら自分の気持ちに正直になり、立ち向かうこと。相手を倒す必要なんてない。ただただ、移動し続けて、翻弄してやればいい。君は現実的な方法で護身を果たすことができ、よってたかってかかっても捕まえることすらできないいじめ側連中の権威は失墜するから。

もし君が、いじめられている・暴力にさらされている大切な人を守るなら、その磨きぬいた移動攻防の技術で、ぞんぶんに我に気を引きつけ、引きずり回し体力を奪い、そのうえで電撃的に襲い掛かれ。

単換掌(もしくは推磨掌転掌式)と双換掌(もしくは陰陽魚掌転掌式)、順勢掌理による単招式(平穿掌・双按連捶・一按一捶・遊歩連捶)、転掌刀理による棒操法だけでいい。

いじめや暴力から我が身を守る方法は、いじめ護身部~取り返すための技術解説最低限の時間で仕上げる「清朝末式八卦掌」護身術にすべて書いてある。

今年の夏は、かけがえのない誰か、かけがえのない自分を守るために、時をすごしてみないか。

君にとって「誰かを守る」という映画の主人公のような生き様は、決して非現実的な話ではないのだ。

今この瞬間から、受け入れられないものと戦うために武術を始めた時点で、それは確実に現実的なものへと変わっていく。

花火の下で、海で、うだるように暑い市街地の一角で、夏祭りの灯りがともる中で、心に熱い想いをもって、大切な人・大切な自分と過ごそう。

後に続く護衛官らよ。今年の夏も、「誰かにとって大切な人」を守る任務を任せたぞ。

八卦掌水式門富山本科イメージ

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