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最低限の時間で仕上げる「清朝末式八卦掌」女性護身術講座

弱者武術「清朝末式八卦掌」伝承門が教える短期で仕上げるための唯一の女性護身術

身の危険を感じ、短い時間で己を守るための技術を身につける必要のある女性向けの護身術を、このぺージ内にまとめ学びやすくしました。ここでは、徒手技法(素手による技法)に限って指導します。

清朝末期頃成立当時のままの八卦掌(以下「清朝末式八卦掌」と呼ぶ)は、今まさに命の危険にある力の弱き者が、短時間で護身能力を身につけるための技術体系を持っていました。

日本国内で唯一、清朝末式八卦掌を伝える八卦掌水式門(以下「弊門」)が、清朝末式八卦掌で伝えられるままに、短時間で超実用的な護身術に仕上げるための伝承された方法を、この場を借りて完全解説します。

「短い時間で」「最低限の時間で」と書くと、簡単に練習もせず習得できると考えがちです。しかし、遠慮や理性のブレーキのない暴漢を撃退するための技術(護身術)が、「お気軽」に習得できることはありません。それを理解し真剣に練習する真摯なあなたに、短期間で仕上げるための練習プログラムを本気で伝授します。

女性が短期間で真に身を守ることができる護身技術を身につけるためには、以下を心にとめて習う技術を選びましょう。

短期間で仕上げる以上、意味のない練習は何一つできません。型を綺麗に演じるための練習をしても「その時」に意味をなさないため練習しません。ここで指導するものは、我が身を守るために必要なものばかりなのです。

真に我が身を守りたいならば、その点を常に頭に入れ、迷うことなく練習を重ねてください。とにかく「繰り返す」ことです。頭で考えないと動くことができないようでは、敵の突進に反応できないと心得てください。

※本ページ中の使用画や名称は、使用画のネット中外での流布による思わぬ被害を防ぐため、全人物画をイラスト・名称を仮称にて統一しています。

「清朝末式八卦掌」女性護身術の5つの鉄則

鉄則1:とにかく距離を保つ技術を磨く。接触するな。敵の力とぶつかるな。手技による防御はできないと心得よ。

まず、敵の攻撃に接触しない技術を身につけることを最優先します。言い換えるならば「敵が突撃してきたら、自分も速度を落とさずに後方に下がる技術」を身につけることを最優先するのです。

「手を出して、技で防御する」概念を頭からまず追い払う必要があります。護身術教室の紹介動画や紹介画像では、女性が男性インストラクターの攻撃を手技で防御するものがよく紹介されていますね。

あれらの動画のおかげで、護身術に興味のあるほとんど多くの女性は「技で防御する」概念を頭に植え付けられているのです。

弊門で護身術を指導する際は、「敵と距離を置くこと、敵と接触しないこと=ほぼ唯一の防御法」だとひたすらに説きます。そのための技法が、清朝末式八卦掌中核技法の ふたつの『後退スライド』なのです(イラスト参照)。

これはとても大切なことです。刃物を持ち寄って戦うことが常だった昔日の武術では、「防御」とは「間合いをとる」ことだったのです。

事実、日本剣術を実際に研究し、練習していた兄弟子の話しによると、昔日の間合いは5~10メートルが当たり前とのこと。そうでないと、いくら防御し続けても、いずれに刃先が触れて致命傷になったのです。

弊門でも、間合いは3メートル以上をとることを目指しています。

敵と離れていれば、技の技術はほぼ必要ありません。敵が接近してきたとき手を前に出しながらすぐさま後退スライドする(慣れれば必ずしも手を出さなくてもよい)技術のみが、重要なものとなるのです。

鉄則2:構えるな。手を下げ、敵から逃げながら後退して距離をとり、「敵接近に際し、急速回避する技術」をまず磨け。

構えるな。敵と向き合うな。構えた瞬間、あなたはその場所にドカッと居座ってしまい、敵の猛然攻撃に反応できなくなります。

敵が襲う意志を示したら、まず向き合って構え、様子を・・・・この概念が、あなたを逃げにくくしていることに気づく必要があります

敵が襲う意志を示して迫ってきたら、斜め後ろに横目でとらえながら速い速度で後退し始め、とにかく距離をとります。「敵が動き始めたら動く」ではなく、敵が動き始める前に、自分がさっさと後ろに速い速度で動いてしまうこと。敵が動いたら後退スライド・・・では、少し反応が遅れただけで、敵の手があなたに到達してしまいます

目線を合わせるな、と言い切ってしまうことはあまりにも危険です。横目で敵を捕らえながら斜め後方へ移動する練習をします。それこそが八卦掌の対敵イメージ走圏なのです。

そして手を下げリラックスし、必要に応じて素早く後退し、かつ手を出すことが可能となる姿勢・状態を保つ・・・これこそが基本姿勢走圏なのです。

走圏を難しく考える必要は一切ありません。神秘的な練習でもなんでもない。出始めの対敵動作を学修するための練習法なのです※走圏については、後でしっかりと説明します。

鉄則3:攻撃も後退移動しながら行う「撤退戦」を貫く。攻撃はけん制防御である。当たらなくてもいいので、攻撃だからと前に出て敵の力とぶつかるな。

女性護身術においては、攻撃する時であっても、我が身を危険にさらすことはありません。つまり攻撃も、必ず後ろに下がりながら行うことです。日頃の練習の中で、後ろに下がりながら攻撃する練習を重ねていきましょう。

つまり習得する攻撃技術は「撤退戦」なのです。防御を後退スライドで行い、いざ攻撃は前に出て・・・では、前に出た瞬間に敵の射程圏内の内側まで入り、攻撃を喰らうことになります。

「下がりながら攻撃したら、自分の手が届かないじゃないか」という意見は、真の護身術を知らない者がいう意見です。護身術とは、敵を倒すための術ではなく、我が身を守る(護る)技術です。昔日の真の護身術しか無かった時代、攻撃で当てる技術よりも、敵の攻撃に当たらない技術(間合い取りの技術)の方が圧倒的に重要だったのです。

敵の突進に対し、後退スライドを止めずに移動(防御)し、敵が我の射程圏内に無理して入りこんできた際には、手持ちの道具などで打ち、追撃を終わらせる(敵の足を止める)。この大きな流れを常に頭に入れて練習していきましょう。

鉄則4:蹴り技練習はしない。なぜなら、脚は常に「勢(せい)」を保った「移動」という名の「防御」に使うため、蹴り技を打っている暇がないから。

女性護身術においては、蹴り技を練習する必要はありません。なぜなら、蹴り技を出している暇がないからです。脚は常に「勢(せい)を保った移動」という名の「防御」のために使うため、蹴り技を使う暇がないのです。

後退スライドの使用例を見てください。とにかく「移動速度を下げないこと(勢を保つこと)によって敵との距離を保つ」観点から、移動を妨げるような技・動きはしないことに徹しています。つまり、蹴り技を使ってないことがお分かりでしょう。

通常蹴り技を放つ際は、身体を支える身体軸を、蹴る方の脚の反対側の脚で作ることになります。

身体軸を形成する際は、軸足として身体を支えるため、一時、敵の前面もしくは側面にて止まることになり、その瞬間だけ移動(=防御)ができないことを意味します。

清朝末式八卦掌では、「止まる=死」と例えるくらい、身体が止まることを避けます。防御ができなくなり、敵にとって「動かぬ的(まと)」となってしまうからです。

よって、極力使わないように努める「蹴り」技を、貴重な時間を使って練習する必要はないことになります。これは、清朝末式八卦掌をじっくり練習する時間・期間がある弊門の門下生でも同じことです。

脚を攻撃として使うのは、倒れている敵の急所・弱い箇所を、移動のついでに踏みつける時だけです。

鉄則5:「離脱」はキロメートル単位で行うこと。持久力は当然に必要。後退スライドで敵が疲れ、距離が開いたら、一気に離脱せよ。

護身術の基本は逃げること・・・そんな非現実的な方法を謳う護身術レクチャーサイトをたまに見かけます。

ただ逃げて、逃げ切れるはずがないことは、冷静に考えればわかることです。敵は、理性のブレーキが無くなった状態で、我の欲望を実現するために、抵抗なく逃げるだけの相手を、無我夢中で追いかけてくるのです。

古来の戦争においても、戦意を無くし、一切の抵抗もしないでただ逃げるだけの部隊の被害は悲惨を極めました。逆に、伏兵(ふくへい・待ち伏せの兵)を置いて追撃してくる敵にダメージを与えながら撤退する部隊は、その被害を最小限に抑えることができました。

清朝末式八卦掌における、後退スライド時に出すけん制攻撃は、敵に警戒心を与え、追撃の速度を落とさせるための有効な手段となります。そしてそこから離脱のチャンスが生まれるのです。

離脱の際は、キロメートル単位で離脱します。十数メートル敵から離れただけでは、体力のある敵に効果を発揮しません(すぐさま距離を縮められてしまう)。それは離脱ではなく単なる「回避」にすぎません。

昔日の達人は、武術の技術をまったく持たない庶民には、「逃げる技術」と、「逃げ続ける体力をつける練習方法」を教えました。この場でも、その2つをしっかり教えます。

技術解説1:基本姿勢走圏で、移動時姿勢「基本姿勢」・構え方・歩き方を学ぶ

基本姿勢

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「基本姿勢」とは、敵に追いかけられた時、敵に言い寄られた時、言い寄られながら追われている時に、とる姿勢となります(※本門八卦掌では、多人数相手に旋回しながら回避行動する際に最も多用する)。

弱者使用前提拳法の八卦掌が、命を賭けた戦いにおいて身を守る身法「後退スライド」対敵身法を最も出しやすい姿勢として考え出したのが、ここで解説する「基本姿勢」なのです。

八卦掌というと、「グランド・マスター」をはじめとする幾多のカンフー映画の影響で、手を敵に推し出して構える姿勢が有名となっています。しかしあの姿勢では、あの姿勢のままで固まってしまい、自身の自由な移動を妨げ、敵の突進に反応しづらくなります。

手は必ず下げ、各身体箇所に過度の力を入れないように意識します。全体的にリラックスしておきましょう。移動する際、手が移動の振動で揺れるくらいがちょうどいいのです。

胸をくぼませると、広背筋周辺がアーチ状に左右に広がります。手は下げ、腕を軽く内側に絞りましょう。足をほんの少し曲げ、高い椅子に座っている時のような腹部状態を作ります。その状態こそが、移動遊撃戦時の「基本姿勢」として清朝末式八卦掌では伝承されます。

女性護身術においても、全く同じです。女性護身術が最も想定する「敵が一人」の場合であっても、後方へ移動しながら敵に対することは変わらないからです。

構え

先ほども触れましたが、テレビ放映されて見る機会のある格闘技試合のように、腕を眼の前に差し出し、特定のポーズをとって敵に対することを「清朝末式八卦掌」女性護身術では採用しません。

理由は、「姿勢をとる=身体ごとその場所に居着く=素早く動くことができなくなる」からです。

そもそも、清朝末式八卦掌は、移動することが防御であるため、特定の場所に立って特定の姿勢をとることはありません。維持するのは、無意識レベルでの基本姿勢のみです。基本姿勢であるため、両手は当然、下に下げられていますね。

その状態で移動し、機会を見て手を出し、敵の攻撃軌道を防いだり、敵を驚かせて足を止めたり、突出した部位(首など)を打ちます。

よって、基本姿勢こそが、目に見える「構え」と言えるでしょう。

歩き方

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歩き方は、八卦掌独特の歩き方「ショウ泥歩(しょうでいほ)」で歩きます。

実はこの歩き方、八卦掌の使い手のみがしている歩き方ではありません。サッカー選手、多人数想定練習を行う時の実戦合気道家などが、採っている歩き方となります。彼らに共通する点は、高速移動時、急速転身をする技術を求められるという点。

清朝末式八卦掌におけるショウ泥歩は、高速移動の速度を落とさないで急速転身を可能とする、命綱的技術なのです。最も重要な技術の一つとなります。「ショウ泥歩無くして、清朝末式八卦掌なし」と言ってもいいでしょう。

また、ショウ泥歩は、その場に居着かないための重要極意でもあり、居着かないことで、最初の攻撃に対し機敏に動き出し後退スライドにつなげることができます。

「移動=防御」の清朝末式八卦掌における、移動の最重要スキルであるショウ泥歩を、以下で詳しく解説します。熟読のうえ、練習してください。

着地と離陸方法~「抓地牢(そうちろう)」(地面を足指でひっかく)

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着地は、足指付け根と土踏まずの間の、盛り上がった部分で行います。慣れないうちは、大変な違和感を感じますが、繰り返すことで、「居着く瞬間のない移動行動」を手にすることができるでしょう。

盛り上がり部分で、地面にスタンプを押すかのように、歩を刻んでいきます。着地する際、斜め後ろに引くように着地するのは、昔日の八卦掌家が説く大変重要なポイントとなります。このポイントを守ることで、足場の悪い場所(整理されてない地面・滑りやすい地面)でのバランスの崩れを最小限に抑えることができます。

八卦三十六歌訣(八卦掌のポイントを短歌形式でまとめたポイント)の第一番目の「歌1」に「抓地牢(そうちろう)」というポイントがあります。日本語に訳すならば、「地面をひっかくように着地する」です。このポイントは、着地する瞬間足を手前に少し引きながら落とすことで実現できます。何か物をひっかく時(かゆい部分をかく時など)、前に伸ばす感覚ではなく、自分側にひっかくのと同じことです。

近代スタイル八卦掌の指導の現場では、つま先を前に出しながら、着地する瞬間にスッと一層前に出します。これは手を前に伸ばしながらかゆい箇所をかこうとするのと同じことであり、引き込むイメージで物をひっかく「抓地牢」の感覚を得られません。動画において、足を着地させる瞬間をよく見てください。

この動画には解説音声があります

着地の瞬間、一層前に足をスライドさせつつ伸ばし着地することの最大の欠点は「滑りやすい」ことです。それは、路面状況が悪い場合(凸凹路面・凍った路面など)で、足を滑らし、バランスを崩したり転倒してしまうこ。移動遊撃戦において、倒れることは大変なリスクを伴います。

着地時スライドの美しさを優先させるために、着地時前スライドショウ泥歩が原型ショウ泥歩と違い滑りにい性質を失った点が知られず広まりました。着地時前スライドでも「滑らない」と認識されたまま広まってしまったのです。そして現代修行者は、足場のいい場所でしか練習をしなくなったため、着地時前スライドショウ泥歩が滑りやすいことに気づかなかったのです(もしくは、戦うこともなくなったため、さほど重大視しなかった)。

私は富山の雪中でも練習する機会が多いため、すぐにこの弊害に気が付き、そこから現在弊門で指導している「手前に気持ち引きながらの着地」の要領へとシフトしました。

余談ですが、着地する瞬間、自分側に少し引きつつ着地する動作は、倒れている敵を踏みつける際にも役立ちます。蹴り技を一切行わない清朝末式八卦掌における、唯一の脚使用攻撃となります。

「平起平落(へいきへいらく)」という着地・離陸方法で、居着かない移動を確保する

八卦掌や他の中国拳法でよく出てくるのが「平起平落」です。悪条件の路面状況下であっても、日頃の練習でつちかった機動力を発揮するための秘訣となります。

足裏全体を平らに上げ、平らに下ろすとよく説明されていますが、やってみると分かるのですが、足裏全体を平らに上げることはできません。かならずかかとから上がってしまいます。ましてや移動遊撃戦の激しい移動の最中に、足裏全体を垂直に引き上げるなどできないのです。

この動画には解説音声があります

では「平起平落」は実現不可能な要求なのか?

実は「足裏全体」ではなく、先ほどの「足指付け根から土ふまずの間の盛り上がった部分」を平らに上げ、平らに下ろすを実行することで可能となるのです。

※昔日の地面は当然アスファルトや整地された地面などほぼ無かった。路面など整理されてなく凸凹であったため、足を引き上げ凸凹の上を超えて足を進める必要があったため「平起平落」の要領を求められた。近代スタイル八卦掌が行っているような、地面に平行にスライドさせて滑らせるように着地する動作は、地面が平らではないためできなかった。

平起平落を実行すると、かかと部分が地面に着く時間は、ほんのわずかとなります。

「足指後ろ付近で着地~かかと着地~足指後ろ付近で離陸」ではなく「足指後ろ付近で着地~足指後ろ付近で離陸~(前足のかかと着底とほぼ同時に、後ろ足が前足を通り過ぎるためかかとに体重がほとんど乗らない)」「実質の2ステップ」となるため、すばやくテンポよく、足を繰り出すことができるのです。

技術解説2:対敵イメージ走圏で、移動時視界力を養う

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歩き方を養う走圏練習において、八卦掌修行家のほとんどが、円の中心を向いて歩きますく。特定の方向へ頭を向けることは、知らずうちに一方向への意識の過度の集中を招きます。

敵を斜め後ろに置きながら対応する際、その移動の過程で、敵の位置が変わることがあります。対多人数戦であれば、我に迫り来る複数の敵の位置が目まぐるしく変わるのは当然のこと。しかし、女性護身術で想定している「対一人戦」でも、後退スライドしながら移動する際、自分と敵の位置関係で、立ち位置は常に変わります。常に敵が、回っている円の中心から我に迫ってくるわけではないのです。

その際、頭を円の中心に向けていては、円外側から来る敵に対応できません(気づくことすらできない)。

よって、命を賭けた護衛護身武術の清朝末式八卦掌では、必ず走圏練習を行う際、前を見て歩くのです。

「後方から来た敵に気づかないのでは?」という疑問が湧くと思います。しかし思い出してください。八卦掌では、常に勢いを保って前方向へと進み続けることを。つまり後方から迫って攻撃しようとする敵の攻撃は、勢いが落ちない限り当たらないのです(当たっても、触れることができる程度である)。

移動遊撃戦において、速度を落とさないことは、後方敵への防御すらも想定しているのです。頭が特定方向へ向いていては、高速移動を維持できません。よって進行方向前にまっすぐ向け、視界に入ってくる敵のみ対応します。

視界に入ってない敵の攻撃など、自分が止まらない限り当たることがないため、対応する必要がないのです。

技術解説3:後退スライドにおける足の運び方(運足技術)

まずはじめに、後退スライドの足の運び方(運足技術)をマスターしていきます。

八卦掌では、敵からの防御を、「移動」で防ぎます。手技は、移動防御の「補助・予備」でしかありません。防御の重要性を「足90・手10」で表現するくらい、移動によぶ防御を重視しています。

ここでしっかりと運足技術を理解し、徹底的に繰り返して、何も考えないでも後退スライドの運足ができる状態にしていきます。

運足技術を極めると、手と足が分離し、「移動しながら攻撃」において、「この技を出す時は右から・・」などと考える必要もなくなります。弊門ではこの状態を「足の制約から解放される」と呼んで、目指すべき技術段階として指導しています。

後退スライド時の運足の基本は「小さな擺歩→小さな扣歩→大きな擺歩→大きな扣歩」

足は、小さな擺歩(はいほ)→小さな扣歩(こうほ)→大きな擺歩→大きな扣歩の順で滑らかに運び、この歩の連動によって後退スライドさせます。

写真1~2が小さな擺歩、写真3が小さな扣歩、写真4~5が大きな擺歩、写真6~7が大きな扣歩です。

※写真6~7の大きな扣歩は、身体が開いた状態から、足を寄せ身体の開きを収束させるため、扣歩時の身体運用となるため、足先が開いて着地していても、実質扣歩となる。

以下に、擺歩・扣歩の仕方を動画にて掲載しました。下の運足技術を少し練習してから、後退スライドの動きにチャレンジしてください。

 

八卦掌最重要要訣「翻身旋理」を実行し、敵の力と抗しないキレある斜め後方スライドを確保する

「斜め後方スライド」術理で生存を確保することができるための「翻身旋理」と「刀裏背走理」

下掲載の写真3~6に際しては、「推磨式基本功」で触れる「翻身旋(ほんしんせん)」理の要領を守ります。

「翻身旋理」とは、股関節部分を畳んで、身体を後方へと「ずらし向け」する方法です。後退スライドによる身体の転身を、身体回転軸から極力はみ出さずに、キレよく斜め後方を向くための秘訣です。

敵に向けけん制の意図で差し出した手を、翻身旋理によって、引っ張って体軸に戻します。そうすることで、伸ばした手の遠心力によって体軸が振られたり、我の身体が敵に向かうことを防ぎます。この理を、「刀裏背走理」と言います。翻身旋理の補助的役割的な理でありながら、八卦掌重要技の各所に登場する、極めて重要な術理となります。

※八卦掌の核心術理「翻身旋理」と、技を出すことで振られやすい身体軸を安定させ翻身旋理によるキレを鈍らせないための補助的理たる「刀裏背走理」については、「単換刀」翻身旋理にて学びます。

股関節をずらし向けすることによって、後方展開時に身体の横振れが大きくなったり、転身半径が大きくなって後退スライド速度が鈍くなることを防ぎます。

これから手技を出して敵の攻撃を防ぎ、もしくはけん制しますが、その時、伸ばした手を股関節のずらし向けをすることによって「引っ張り」、伸ばした手を体軸にから極力離した状態にしない感覚を、忘れないでください。

敵の力にぶつからず、敵の力のベクトルの反対側へ移動し続けるためには、移動推進力が高いままの状態を維持することです。この状態を「勢(せい)」といいます。

勢を維持するうえで、斜め後方スライド時の減速が、最大の課題だったのです。創始者は、この課題に、「翻身旋理」と「刀裏背走理」という明確な術理を示し、勢を維持する方法を伝えてくれたのです。

「翻身旋理」による斜め後方スライド動作解説

まず推磨式基本功において、両足を固定した状態で、股関節を畳んで後方を向く要領を身体に覚えさせます。

股関節を畳むと、太ももから膝までの部分が近付き、擦れるまで近付きます。これを「磨脛(まけい)」状態と呼びます。後退スライド時は、翻身旋法によって磨脛の状態の中、キレよく斜め後方転身を行います。

腰を回転させて後方を向くと、転身半径が大きくなり、転身に要する時間が長くなります。加えて、差し出す手の軌道が大円軌道となり、敵に手の軌道を見切られやすくなります。

腰を回転させて転身すると、腰の回転分敵に近づき、敵の力のベクトルに向かう形となり、敵と接触しやすくなり、力で押し込まれる可能性を高めます。

翻身旋法を守ると、後退スライド動作中、常に敵から離れる方向へ移動できるため、敵の力にぶつかることなく、撤退戦を行うことができるのです。

翻身旋法は、上記の基本姿勢を採り、身体の重心がリラックスした状態で下腹部上に乗っている状態で、かつ足が少し曲がっている状態、を意識すると行いやすいでしょう。

技術解説4:護身戦の始め方(緒戦の対敵行動法)

最悪の事態を考え躊躇なく対敵行動をする

だれもが口をそろえて言うこと。それは、後退スライドを主軸とする護身戦において「最も難しい段階は、緒戦(戦いの始まり)だ」.ということ。

襲い掛かってくるかどうか分からない段階では、日頃平穏な日常生活を送っている人間であれば、多くの迷いやためらいが生じるものです。

「相手はそんなつもりまでないのかも」「いきなり逃げだしたら相手に失礼では」と考えたりして、思い切った行動を採ることができないかもしれません。

また「いきなり人に襲われている状況に陥った」現実に気持ちが反応できない場合もあります。

日常職業生活中に命の危険が想定される要素が入り込んでいる職業軍人や保安警備系職の人間ならともかく、「戦う」要素が日常生活中に全く存在していない者にとって、護身のため急遽戦う気持ちにシフトさせることは、実は大変難しいことなのです。

ここでは、命を守るための行動を躊躇なく行うことができるために、いくつかの手段を提唱することにします。

それぞれのケースで採用している緒戦の対処法のポイントは、「合図」があったら、ためらないなく一気にトップスピードに持っていくということ。トップスピードとは八卦掌や中国古来の兵法にいう「勢(せい)」が伴っている充実した戦闘行動段階のこと。

あなたは動乱期清朝末期頃中国の護衛武術を練習している人間です。遠慮する必要はありません。ためらいなく「戦う」モードにシフトして欲しい。

トップスピードまで持っていけば自然と、命を守るために必死で行動する決意・戦闘意欲が湧きます。躊躇する考えが湧く余裕もなくなるからです。躊躇する心のリミットが外れることで、日頃練習している動作も自然と出てくるようになります。

敵に背中を向けて待ち構え、後退スライドする

敵に自分背中を若干見せた状態で立ち、気持ちは「手を出しながら後方へ走るぞ」モードにしておきます。敵の危害行動がない状態でいきなり走り出す、よりも、大義名分を得た最も一般的な緒戦対敵法となります。

敵が近づいてくる、敵が手を出してくる、など、自分に何らかのアクションをする段階を、護身対敵行動の合図ととらえます。

アクションがされたら、後退スライドをしながら、後方へ高速ショウ泥歩で移動し始めます。

この際出す手技は、なくてもいいですし、出してもいい。出した手技は、相手に全く届かなかったり、全く違った場所に打たれたりするでしょう。しかし気にすることはありません。

動画を見てください。下がりながら、その際の勢を利用して、手を出しています。敵が本気で向かってきているなら、この手は当たるでしょうし、当たらなくても有効なけん制となります。

そして身体が後方へ向いたら、とにかく敵から離れる行動(敵から離れる方向への高速ショウ泥歩での移動)をとり、敵との間に距離をおきます。

息が上がるでしょう。しかし敵も一気に息が上がっているのです。気持ちが恐怖でいっぱいとなるでしょう。しかし、恐怖のない戦いなどないのです。

命をかけて、人生をかけて、何も考えずただ猛然と、してきた行動を、敵の行動が止まるまでし続け、敵の足が止まったら、最後の力を振り絞ってキロメートル単位での離脱行動に入ります。

機先を制し高速ショウ泥歩で一気に間合いを空ける

相手が近寄って来たことを合図とした緒戦対敵法です。

相手は「近寄って」きているだけで、いまだ危害行動に出てない状態のため、ためらう気持ちが湧きやすい緒戦状況です。しかし「近寄ってくる」ことも、大変重大なアクションなのです。こちらはそれだけで十分恐怖を感じるのです。

そして、本当に近寄ってきているだけなのか、それはこちらには分かりません。ひょっとしたら、命を奪う行動・自分の貞操を奪う行動をもって近付いてきているのかもしれないからです。

護身の戦いでは、「常に最悪の状況を考える」ことが鉄則です。性善説ではなく、性悪説を採る。相手にそのような意図がなくとも、近寄ってきている時点で、相手に非があるのです。治安の悪い国だったら、それで撃たれても文句は言えないのです。銃社会のアメリカであれば、いきなりそのような行動を女性にとれば、銃で撃たれても文句は言えません。

日本でいきなり銃で撃つ、は想像ができないでしょう。せめて私たちは、心を知り得ない相手の接近に対し、機先を制し高速ショウ泥歩で距離を空け、キロメートル単位の離脱につなげていきましょう。

敵の何らかのアクションを合図に、高速ショウ泥歩で一気に間合いをあける

近寄ってきている相手が、何らかのアクションをしたら、それを合図として高速ショウ泥歩で駆け抜ける緒戦対敵法です。

この場合、「アクション」は何でも構いません。手をこちらに差し出す行為だけでも、合図たるアクションに入れます。

先ほども言いましたが、こちらに相手の意図は分からないのです。手を差し出してくる動作も、本当は腕をつかみに来た動作だったのかもしれません。自分の顔を殴るための動作だったのかもしれません。それらがたまたま当たらなかっただけなのかもしれないのです。

「アクション」があったのです。近寄ってくるだけでも、十分なアクションです。しかしその段階から一層先の段階となったのです。迷うことはありません。相手は、近寄ってくるのみならず、手まで出したのです。人を恐怖に陥れた責任をとるのは、彼自身なのです。

ためらわず、敵の居ない方向へ、抗そうショウ泥歩で移動し、さっさと「勢」を帯びた状況までもっていきましょう。後はひたすら撤退戦を繰り広げ、敵の足が止まったら、持てる力をすべて使って、キロメートル単位で離脱します。

技術解説5・移動防御法(1):敵に背を向けない後退スライド(内転翻身斜め後方スライド撤退戦対敵身法)

 

敵に背を向けない後退スライド~基本型練習で動作を覚える

後退スライド時の運足方法を学んだら、いよいよ次は、本護身術の中核技法たる、「敵に背を向けない後退スライド」を練習していきましょう。

ここでは、動作がシンプルで初心者でも行いやすく、それでいて熟練者も頼りにする、「推磨掌転掌式(すいましょうてんしょうしき)」を用います。

「転掌式」とは、敵のいないところに移動している最中に、斜め後方や側面から迫ってきた敵に、移動の速さ・勢いを落とさずに一瞬でやりすごす、八卦掌の最重要中核技法のこと。

敵に背を向けない後退スライド・要点と動作・練習の仕方

この動画には音声解説があります

推磨掌転掌式は、後退スライド対敵身法の代表的な技であり、八卦掌の原点「単換掌(たんかんしょう)」のシンプル版でもある主要技です。弊門で最も最初に指導する技であるが、後々までも多用する実績技であります。弊門一番弟子をはじめ、多くの門弟が、この技で危機やトラブルと回避しています。

推磨掌転掌式は、敵に背を向けないで、自分の胸前で対処する後退スライドの代表的技となります。動作が大きく、繰出す軌道がシンプルで割と直線的なため、初心者にとっても大変練習しやすい技です。

後退スライドしなが敵方向に手を出して攻撃軌道をふさぎ、すかさず反対側の肩を入れけん制しながらスライドして敵から距離を遠ざけます。

カニのような「横歩き」や、まっすぐ後方へ下がる「退歩」移動では、追撃する敵の速さに負け、押し込まれてしまいます。

後退しながらも、前方向移動のベクトルを後退スライド法で保つことで、勢いをさほど落とさずに敵中を駆け抜けつづけることができるのです。

敵に背を向けない後退スライド・スロー解説で真似てみましょう

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ショウ泥歩で旋回しながら、後方から敵が迫ってくるイメージを強く持ちましょう。

敵が一気に距離を縮めてきたと仮定したら、斜め後方へ移動しながら手を差し、すぐさま肩を入れながらその手の手刀部を敵に押し出します。

押し出したと同時に完全に身体を転換し、先ほどの旋回と反対側の円孤上を歩き出します。

敵に背を向けない後退スライド・実戦化練習~弱者護身の極意「対強者・対多人数入身法」で行い実戦へつなげる

敵の接近に際する手だし動作

基本型で、「敵に背を向けない後退スライド」の動作を覚えた後は、敵の突進を交わして防ぐための、実戦直結の「基本型」練習をしていきます。

後で行う「対人想定練習」も含めた全ての練習の中で、この練習を最も取り組んでもらいたい。迫る敵のイメージさえ持つことができれば、一人でいくらでも練習できるのが最大の利点です。膨大な繰り返しを重ねれば、人を使った対人練習ができない環境にある人であっても、有事の際に無意識に回避行動ができるようになります。

敵が一気に距離を縮めてきたと仮定したら、斜め後方へ移動しながら手を差し出します。スッと出すだけで良いのですが、この際、身体を入れず、手を出すだけであり、敵に当てようとする必要もない点は注意してください。

手を出す際に身体まで入れてしまうと、身体が敵に対して真正面に向くことになります。真正面に向いた状態で、敵が前に激しく突出してきたら、敵の突進の力のベクトルをまともに受け、押し込まれてしまうでしょう。

身体が入ってなければ、手出し動作の後に敵が強く突進して押し込んできて次の動作「肩を入れる動作」に入ることが出来なくても、そのまま後退スライドし、流しかわせばいいのです。攻撃はできないが、敵の突進のベクトルを自分からずらし離すことで「身を守る」という目的はしっかりと果たすことができます。闘牛士のような対処法をイメージしてください。

重要なことなので繰り返しますが「手を出す=敵に当てる」ではないのです。出した手は、敵の攻撃の手や敵の身体に当たらなくても全く問題がありません(むしろ「当たる」状態というのは、敵と距離が近いことを意味するため望ましくない)。

出した手が敵に当たる当たらない関係なく、次の入り身動作へと移っていきます。

手だし動作→入り身(肩入れ)による攻撃動作

手出し動作で出した手を引きながら、引き続き後退スライドしつつ、次の動作「入り身(肩入れ動作)」に入ります。

敵に向かって気持ち肩を先行して入れ、入れきった瞬間に、けん制攻撃の手をねじり込むが如くスッと敵方向へ伸ばします。肩は完全に入り、身体が開き切った状態となります。

この身法は対強者・対多人数を可能とする昔日の「入身法」であり、対多人数移動遊撃戦を採る清朝末式の八卦掌独特の要求であり、かつ、大変重要なポイントとなります。

肩を先行させ、肩を入れ切った瞬間に手を出すことで、自分の身体を後方へ逃がしながら攻撃します。つまり、「肩入れに伴う斜め後方敵に対する手出し」動作は、後方へのスライド回避開始の動作ともなっているのです。

この動作を行うと、出した手の起点たる肩は、思い切り開き切った状態となります。他の武術ではこの状態はNGですが、昔日の八卦掌は違います。

昔日の清末式の八卦掌は、強者の力とぶつからない(接触しない)ことを最善とする後退スライド武術であるため、けん制攻撃でも間合いが詰まらない打ち方が求められます。その打ち方が、肩を入れついでに打つ打ち方なのです。肩を入れながら打つと、自分の身体には、入れついでに敵と反対側へ向かう力のベクトルが働きます。その力のベクトルを利用して「打ち去り」をするのです。

「打ち去り」をすることで、敵から自分へとつながる攻撃軌道上に、自分の入り身した肩と手が入るため、敵の攻撃を妨げることになります。それが「防御」の役割を果たすのです。

つまり、「敵の攻撃軌道上に、自分の入り身した肩と手を入れる防御」と、「入り身しながら後退スライドして敵から離れる防御」の2つの防御で、敵の攻撃の都度自分の身体に攻撃が当たることを防ぎ、離脱のチャンスが訪れるまでもちこたえ、生存することを目指すのです。

敵に背を向けない後退スライド・対人想定練習

まず「敵に背を向けない(内転翻身)斜め後方スライド」の実際の攻防を知ってイメージを作る

対人想定練習を擦る前に、実際の攻防を見てみましょう。

内転翻身斜め後方スライド撤退戦の対敵身法は、主に旋回軌道の内側から迫る敵に対し、背を向けず、敵に身体の表側を半身で向けながらスライドして肩を入れ(入り身)、対処する対敵身法となります。

敵が急速接近し自分の身体に手が届きそうになったら、転掌式にて斜め後方スライドを開始し、身体(肩)を入れてけん制攻撃して敵の足を止め、反対周りの円弧に沿って旋回による回避行動を開始します。

この際、当てることにこだわり一人の敵前にとどまったり、大きな力でもって倒すために力を込めた攻撃をするためとどまったりしては危険です。敵に手をつかまれたりする可能性があるためです。

敵の急速接近時にのみサッと手を出しけん制することで、効率よく敵の足を止めることができます。清朝末式八卦掌の攻防は、「生存」が第一のため、これだけで十分なのです。

敵の追撃は一度で収まることはないため、攻撃は肩を入れた後ろ方向へのけん制攻撃に徹し、常に身体を逃しながら敵の居ない方向へと移動をし続けます。

この身法と、後述の外転翻身斜め後方スライド撤退戦対敵身法をその時の状況によってうまく使い分け、何度もかわし、敵の足が大きく止まり、距離が開いた瞬間に、ためらいなく、キロメートル単位の離脱を開始するのです。持久力が大変重要なことが分かります。

対人想定練習・良い例

この動画には音声解説があります

目標物を敵に見立てて練習する対人想定練習の際は、必ず、目標物を通り過ぎてから後退スライドを開始すること。ここがもっとも重要です。手の出し方なんかは、実はさほど重要ではありません。

このポイントを守って練習すると、スライド開始と同時に差し出す手・その後のけん制攻撃の手、は目標物に当たりません。

その状態こそが「敵の力とぶつからない」技法の練習が正しく行われている状態なのです。

後退スライドする際、目標物に手が届かず、かつ、後退スライドで目標物が遠ざかっていく状態であることを常に確認しながら、練習をしていきます。実は、目標物を使った練習とは、自分が後退スライドしているか否かを、確認するための練習なのです。

大事なことなので繰り返します。敵の攻撃を防ぐ方法は、あくまで「後退スライドして後ろに下がること」です。手を出す練習をし始めると、途端に手技によって敵を防ごうとする意識が働くから要注意です。

練習の充実感を得たいため、目標物の手前もしくは横でスライドし始め、防御の手を目標物にぶつけているならば、冷静に己の動作を観察してください。あなたの身体は、後退スライドどころか、敵に身体を向かわせながら手を出しているのです。

対人想定練習・悪い例

”悪い例”の動画を見てください。

目標物に意図的に防御の手をぶつけること、それは敵の力のベクトルに向かっていることを意味します。そして、敵の攻撃が我に到達するまでの時間を早めていることにもなります。加えて、自ら向かうことで、敵の攻撃威力を増加させていることにもなるのです。

このような練習で敵に向かうクセをつけてしまっては、程よく遠慮しあう対人練習の時ですら、相手の攻撃をくらったりくらわなかったりと安定しなくなります。

何度も言いましょう。下がりながら手を出すだけ、なのです。手は、敵の突き(パンチ)が自分に届きそうな場合に、敵の突きの軌道上に出して、自分に当たらないようにするだけのイメージにとどめるのです。間違っても、出した手を無理に敵に当ててやろうなどと思わないことです。防御は、あくまで、自分が後退スライドすること。手技はおまけに過ぎない、と言ってもいいのです。

後退スライドの際に、自分の攻撃手を当てようとすると、最悪、敵に向かって自分の力のベクトルが働き、敵と力がぶつかります。敵と力がぶつかると、そこで移動推進力が遅くなり、その場にとどまることで、他の敵につかまったり、眼の前の敵の力任せの攻撃が自分に届いてしまったりします。

敵を倒そうとすると、特定の敵との攻防のやり取りが生じます。敵の眼の前での攻防は、急速転身や反転などの動作のオンパレードであるため、体力の消耗が激しく、体格・筋力で劣る女性には大変不利な戦い方となるのです。

後退スライドで、敵の再度の攻撃をやり過ごし、相手が疲れを見せた時や大きく引き離された時などの機を見て、一気にキロメートル単位で離脱すること。その戦い方を身につけることが、「最低限の時間で仕上げる女性護身術」の目指すところなのです。

技術解説6:移動防御法(2)・敵に一瞬背を向ける後退スライド(外転翻身斜め後方スライド撤退戦対敵身法)

敵に一瞬背を向けて思い切り後退スライドするのが「外転翻身斜め後方スライド」となります。主に用いるのが陰陽魚掌転掌式(いんようぎょしょうてんしょうしき)です(※名称は参考程度で構いません)。

敵が複数人で、一気に襲い掛かってきたとき、その場からとにかく離脱する必要があります。もしくは、後方から迫る敵に不意に間合いを詰められ手を出すことができない場合があります。その際に、身体だけをとりあえずその場から引き離す必要があります。

もしくは、大きな円を描いて旋回移動している最中に急に向きを変えたい時、陰陽魚掌転掌式の身体操作法に従い、身をひるがえして敵の予測している進行方向の裏をかき、引き離す。

陰陽魚掌転掌式は、移動遊撃戦を採る八卦掌において、欠かすことのできない身体操作法であることがお分かりでしょう。

敵に一瞬背を向ける後退スライド・基本型練習で動作を覚える

この動画には音声解説があります

この欠かすことのできない身体操作法には、敵に背を向けて身体を移動させる八卦掌の3大身法のひとつである、急速転身の身法 「外転翻身法」を利用します。そして、力の発し方は、扣擺発力(こうはいはつりょく)翻身発力(ほんしんはつりょく)の順で力を出して、一つの場所にとどまらず、移動し続けていきます(転身の最中でも、一切移動を止めない、ということ)。

この転掌式によって勢いよくその場から離脱することで、今の場所よりも安全な領域へと一気に自分の身体を移動させることができます。斜め後方スライド動作に入る前に一瞬敵に背を向け回る遠心力を利用して身体をくるっと回し、その後スライド動作に入ることで、滑らかに大胆に、敵の予測を裏切ることができるのです。

勢いよくその場から離脱する方法を身につけるため、最初は大きく振りかぶって後退スライドしましょう。慣れたら、振りかぶり動作なしでの後退スライド技法も練習していきましょう。

この動画には解説音声があります

後ろから来る敵をとりあえず振り払わなければならない場合とは、一人ではなく「複数人に追われている場合」です。

複数人に追われて追いつかれそうな時、内転翻身斜め後方スライドでは対処が心もとない。内転翻身斜め後方スライドは、今まさに到達しそうな敵が一人である場合のスライド身法だからです。

外転翻身斜め後方スライドは、スライド始動時の動作の意表性も相まって、今まさに迫っている危機的状況をゼロリセットすることが可能なスケールの大きい身法となります。

外転翻身で一瞬敵との間合いを空け、スライドしながら悠然と大きく、相手に向けてサッと手をだせばいいのです(当てる必要もなく、ただ手を出せばよい。運よく当たる場合もあるし、当たらなくとも、相手の動きを止めることができる)。

一人練習をする際は、必ず、迫りくる敵のイメージを頭に持つこと。外転翻身してから後退スライドする際、自分を追ってくる敵を想定し、その敵に対し下がりながらけん制攻撃を放ちます。

外転翻身での一瞬離脱~斜め後方スライドまで下がりながら行うこと。敵の力のベクトルに対しぶつかってないのに、攻撃時だけ敵に向かうことで力がぶつかっている人がいます。弱者使用前提の清朝末式八卦掌をせっかく練習しているのだから、ここは最後まで、敵の力に抗しないで戦う心構えを持ちましょう。

敵と力がぶつかることで生じるデメリットについて、少し触れておきましょう。体格差等の影響を受け、その敵に時間がとられ移動遊撃戦ができない、などの明確なデメリットが生じます。よって女性の八卦掌修行者は、より一層「下がりながら対敵」を意識して練習するといいでしょう。

この動画には音声解説があります

スローで見てみましょう。

ショウ泥歩で旋回しながら、複数の敵が後方から迫っているイメージを持ちます。

敵が一気に距離を縮めてきたと仮定したら、円の外側の手を頭上に持ち上げて身をひるがえし、持ち上げた手を背中の後ろに移動させながら、もう片方の手を頭の上を回して顔前に推し出していきます。

顔前に推し出しながら今まで回っていた円を外れ、反対回りに向きを変えて再び旋回動作に入ります。

敵に一瞬背を向ける後退スライド・対人想定練習

まず「敵に一瞬背を向ける(外転翻身)斜め後方スライド」の実際の攻防を知ってイメージを作る

敵に一瞬背を向ける後退スライドは、後方の様々な角度から迫る敵から身を守る身法です。主に、回っている円の外側の敵の攻撃の接近回避に使用します。

旋回時、敵に敵に背を向けて後退スライドして旋回方向を変えることで、わずかながら、敵の追撃の意表をつきます。

一回の後退スライドだけで追撃を振り切ることは難しいのですが、敵は旋回方向の変化に急に対応することで体力と戦意を奪われるため、何度も繰り返すならば敵の息を上げ、離脱のチャンスを作り出すことにつながるのです。

敵に背を向けて後退スライドすることで、急な追撃軌道の変化に慌てて焦って迫った敵に不意打ちけん制攻撃を行い足を止め、後の追撃をためらわせることも可能となります。

後退スライド時、キレのある「翻身旋法」と「刀裏背走(とうりはいそう)」理によって、旋回方向を変えても速度を保ち続け、生存につなげていきます。

この動画には音声解説があります

対人想定練習をする際は、敵に背を向けない後退スライドの場合と同じく、後方の多方面より迫りくる敵のイメージを頭に持ちます。

目標物を通り過ぎてから、敵の手を下から引っかけるイメージで目標物側の手を上に引き上げ、振りかぶって身をひるがえします。目標物を通り過ぎてから行うよう心掛けるのも、背を向けない後退スライドと同じ練習要領となります。

手を引き上げ転身する動作は、刀を「持ち上げ斬り」し、上げた刀の下をくぐりながら後退スライドして上げた刀を下ろして攻撃する、単換刀の中核術理「刀裏背走」をもとにしています。

八卦掌は、清朝末期の太平天国の乱頃の、戦場藤牌(とうはい)刀術(藤製の盾を持った刀武装の歩兵のこと)をもとにした拳法。刀の動きが、ふんだんに盛り込まれています。

旋回の最中に行う後退スライド対人想定練習では、まず、「振りかぶった後、後方から迫る敵を引き離すために旋回の進行方向を変える練習」に取り組みます。

本来の清朝末式八卦掌では、その動きにある程度慣れたら、今度は、前方に敵がいる場面に対処するため、単招式の遊歩連捶のような電撃戦につなげる練習を行っていきます。しかし「最低限の時間で仕上げる女性護身術」では、己の護身を最優先するため、とにかくここで伝授したふたつの後退スライド技法を磨き続けるのです。

伝統武術として極めたい方へ|八卦掌水式門・女性護身術科(女性本科)について

女性護身術科・練習開催場所

基本的に、愛知県刈谷市築地町の刈谷市総合運動公園のバス停横芝生広場にて開催しております。※雨天時は、ウィングアリーナの軒下等に変更します。

清朝末式の八卦掌は、徹底した移動遊撃戦を採る移動戦術拳法であるため、ダンススタジオ・カルチャーセンターなどの狭い室内では、接触事故が発生する危険があります。よって指導は一貫して屋外開催となります。

弊門では女性護身術科に入門を希望する方にも必ず仮入門期間(有料)を経てもらいます。弊門は、女性が護身を果たすために、暴漢を殺傷する技術も教授します(断息殺手など)。思いやり・最低限のマナーなどを持ち合わせない人間に、そのような技術を流すことは、護身術道場が負う社会的責務に反するからです。

また、体験で学ぶ当たり障のない一般技術とは違う、清朝末式八卦掌の中核技法につながる重要基本を学ぶことで、学ぶ側も八卦掌が自分に合っているかを判断できるという理由もあります。

仮入門参加希望の方は、 申し込みフォーム にて必ず事前に連絡の上、練習場所までお越しください。※連絡なしでの来訪者はお断りさせていただきます。

屋外ですので、日焼け対策・暑さ寒さ対策・熱中症対策等は各自忘れずにしてきてください。

女性護身術科・指導日時

毎週木曜日:10時30分~12時30分

第2・第4土曜日:10時~12時

※遠隔地生科の女性門下生で、女性専用の時間を希望する方は、上記時間に以外に補講もしますのでご連絡のうえ愛知まで来所してください。

女性護身術科・料金体系

入門費:無料

年会費:無料

月 謝:月額5,500円(税込)

「女性護身術科」を申し込む

女性護身術科で学ぶ内容

仮入門教程

代継門人教程(八卦掌の第7代目代継門人を目指す教程)

通常の本科と指導内容は変わりません。しかし、女性は男性修行者が知っているような拳法用語を知らない可能性があるため、より一層、通常生活中のイメージしやすい言葉を使用して指導します

代継門人教程を修了し、技法に成熟し対敵能力が一定以上に達したと判断した者には、「八卦掌第7代」を公認(第三者からの問合せに対し「拝師正式門弟に相当」と回答すること)します

掌継人教程(八卦掌の伝承者たる第7代目掌継人を目指す教程)

掌継人教程を修了した方には、水式門本部が「八卦掌第7代掌継人」と公認(第三者からの問い合わせに対し、正式に指導許可を与えた「伝承活動可能門弟」であると回答すること)します。

  • 清朝末式による後退スライドの梁振圃伝老八掌
  • 八卦双身槍
  • 八卦双短棒(八卦双匕首)
  • 八卦遊身大刀術
  • 対人約束散手(対1~対4)

仮入門希望の方は、 申し込みフォーム にて必ず事前に連絡の上、練習場所までお越しください。※連絡なしでの来訪者はお断りさせていただきます。

7.女性護身術科入門に際する流れ

女性護身術科の入門手続き

八卦掌水式門は、殺傷技術を伴う昔日の武術を伝える伝統門となります。普及に際し、技法が悪用されるのを防ぐため、伝える者の人格を考慮する責任と義務があります。

女性護身術科から入門しようとする方には、「仮入門⇒正式入門」の2段階入門制を採用させていただきます。下記で示す、入門資格を満たしており、入門時誓約事項を誓約し、入門時特記事項を理解した方が、仮入門教程期間中、常識的な学習態度等であることを確認した際に正式入門となり正式門下生(八卦門生)となります。

以下の手続きに従い、入門申請をしてください。

手順1 申込フォームにより仮入門科参加申込み

以下の問い合わせフォームに必要事項を記載のうえ仮入門教程参加の申請をする。

手順2 引き続き1カ月経過まで、練習に参加

仮入門教程にて、八卦掌の初学時重要基本を学んでください(無料体験入門ではない。水式門は初日から重要基本を指導するため、有料の仮入門教程としています。本入門をするかどうかの判断材料にしてください)。

※無料体系入門ではありません。水式門は初日から重要基本を指導するため、有料の仮入門教程としています。この期間中の学習を通して、本入門をするかどうかの判断材料にしてください。

手順3 仮入門期間教程本入門へ

仮入門教程修了後、本入門の可否のメールを送信しますので、本入門を希望する際は、フォームより意向をご回答ください。本入門を希望する方は、仮入門教程期間中に手渡された「入門誓約書」を確認。誓約書の内容に同意するならば、同書類を代表水野宛の住所に郵送、もしくは練習時手渡ししてください。※誓約書における現住所の記載については、個人情報保護の観点より、市区町村までにとどめてください。

※正式入門が許可されなかった場合についてのクレーム・理由開示要求には、例外なく対応いたしませんのでご了承ください。

手順4 練習会に引き続き参加

グーグルカレンダー記載の練習会に引き続き参加する。※参加ごとに、前日の24時までにメールにて簡潔に「○○です。明日参加します。」とだけメールをすること。

女性護身術科・練習開催場所

基本的に、愛知県刈谷市築地町の刈谷市総合運動公園の屋外芝生広場にて開催しております。

八卦掌は、徹底した移動遊撃戦を採る拳法であるため、ダンススタジオ・カルチャーセンターなどの狭い室内では、接触事故が発生する危険があります。よって指導は一貫して屋外開催となります。

弊門では女性護身術科に入門を希望する方にも必ず体験をしてもらいます。実際に体験をしてもらい、八卦掌や女性護身術科の指導方針が自分に合っているか否かを判断してもらうためです。

体験希望の方は、 申し込みフォーム にて必ず事前に連絡の上、練習場所までお越しください。※連絡なしでの来訪者はお断りさせていただきます。

屋外ですので、日焼け対策・暑さ寒さ対策・熱中症対策等は各自忘れずにしてきてください。

女性護身術科・指導日時

毎週木曜日:18時30分~20時30分

第2・第4土曜日:10時~12時

※遠隔地生科の女性門下生で、女性専用の時間を希望する方は、上記時間に以外に補講もしますのでご連絡のうえ愛知まで来所してください。

女性護身術科・料金体系

入門費:無料

年会費:無料

月 謝:月額5,500円(税込)

「八卦掌護身術科」の体験入門を申し込む

女性護身術科で学ぶ内容

代継課程

通常の本科と指導内容は変わりません。しかし、女性は男性修行者が知っているような拳法用語を知らない可能性があるため、より一層、通常生活中のイメージしやすい言葉を使用して指導します

基本科を修了し、技法に成熟し対敵能力が一定以上に達したと判断した者には、「八卦掌第7代」を公認(第三者からの問合せに対し「拝師正式門弟に相当」と回答すること)します

掌継課程

遊撃戦本科を修了した方には、水式門本部が「八卦掌第7代掌継人」と公認(第三者からの問い合わせに対し、正式に指導許可を与えた「伝承活動可能門弟」であると回答すること)します。

  • 八卦双身槍(背身按槍・翻身按槍などの単式練習)
  • 単換掌・順勢掌以外の老八掌
  • 対多人数移動遊撃戦応用練習
  • 八卦双匕首(双短棒)
  • 対人約束散手(対1~対4)

体験希望の方は、 申し込みフォーム にて必ず事前に連絡の上、練習場所までお越しください。※連絡なしでの来訪者はお断りさせていただきます。

7.女性護身術科入門に際する流れ

八卦掌水式門は、殺傷技術を伴う昔日の武術を伝える伝統門となります。普及に際し、技法が悪用されるのを防ぐため、伝える者の人格を考慮する責任と義務があります。

女性護身術科から入門しようとする方には、「仮入門⇒正式入門」の2段階入門制を採用させていただきます。入門資格を満たしており、入門時誓約事項を誓約し、入門時特記事項を理解した方が、仮入門期間中(1カ月)、常識的な学習態度等であることを確認した際に正式入門となり正式門下生(八卦門生)となります。

入門資格・入門時誓約事項・入門時特記事項

入門資格

以下の条件を満たした方が、体験入門を受け、かつ入門を申請することができます。

  • 1)中学生以上の方 ※18歳未満の未成年者は保護者の同意が必要
  • 2)(※遠隔地生通信併用科のみ)愛知県以外に在住で、本科・護身術科に定期的に通うのが困難な方
  • 3)弊門指導の八卦掌を、師伝に従い誠実・素直に学ぶことのできる方
  • 4)指導者・先輩・同期入門生・後輩、その他の人に対して、常識的な礼節と思いやりをもって接することのできる方
  • 5)他門派・他流派に対し尊重ができ、非礼な態度をとることのない方
入門時誓約事項

体験入門後、入門誓約書に以下の誓約事項に誓約をしてもらいます。誓約できる方に限り、誓約書をご郵送ください。※誓約事項を守ることができない場合、退門させることがあります。

  • 1)暴力団員、もしくは反社会的団体の構成員ではないこと。
  • 2)八卦掌水式門の活動に関し、社会的な信用を失墜させるような行為はしないこと。
  • 3)月の最初の練習会日に、必ずお釣りのない形で、現金にて月謝を支払うこと(※通信併用科の教授料については、前月末までに次月分を、銀行振込にて門指定口座に支払うこと)。
  • 4)稽古中は指導員の指示に従い、指導者・先輩・同期入門生・後輩、その他の者に対して、常識的な礼節と思いやりをもって接し、ハラスメント等が発生しない場の構築に貢献し、日本国の法を遵守すること。
  • 5)練習中外を問わず、他の門下生に対し、営業・布教・勧誘活動もしくは本人の望まない私的交際勧誘等、他の門下生の迷惑となり、拳法学習と関係のない行為をしないこと。
  • 6)他門派・他流派を尊重し、礼節と配慮に欠けた情報発信や、態度をとらないこと。門伝保護・個人情報保護の観点より、弊門、個人、団体が望まない情報を無断で発信・公開しないこと。
  • 7)八卦掌水式門が一般的な安全配慮義務を怠った場合でない限り、練習中に負った怪我等につき、その責を門に対し追及しないこと。
  • 8)以上の事項に反し門から退門等の処分を受けた際は、その処分につき異を唱えないこと。また違反・不正・不行跡行為によって生じた民事上・刑事上の責任を全うすること。
入門時特記事項

入門の際、また入門後に守っていただく具体的な約束事項となります。※入門申請時、必ず目を通し、ご理解の上、ご応募ください。

  • 1)弊門指導の八卦掌は「~派」色の薄い八卦掌成立当時(清王朝末期頃)の昔日の八卦掌である(基本功・老八掌の定歩・単式等は梁振蒲先生伝)。よって修行後に程派・尹派・梁派などの著名流派の伝承者の肩書きを希望する者は、他教室での学習を検討すること。※弊門で公認するのは「八卦掌第7代」(「伝人」呼称は、梁派特有の伝承者の呼称。「第○代」とは、八卦門において八卦掌の技法を一通り修め、師から指導を正式に認められた弟子のこと)となる。弊門では、第7代継承後、指導に足りうる技能を持った弟子に対し、「掌継人」弟子として公認し、指導許可を与えたことを明確にしている。
  • 2)拝師の儀式は行わないが、「八卦掌第7代」を弊門の名で公認した門下生は、拝師弟子と同じ扱いとする(自己紹介の際、「拝師弟子」と名乗ってよい)。
  • 3)上記入門資格・入門時誓約事項・当特記事項を満たすことができない者は、口頭注意の対応をとる。なお改善されない場合は退門処分とする(他の門下生の学習環境・安全を守るための措置)。この処分は、新参・古参を問わず厳格に行う。「他者への思いやり」「常識的な礼節」、そして「他流派への礼節」の資質については特に重視する。
  • 4)弊門各科は、児童向け専用教室ではない一般の方が参加する場であるため、学習環境配慮の観点より、保護者・近親者・知人・友人等による見学行為は認めていない。
  • 5)中学生以上~15歳未満の方を含め、すべての入門申請者は、必ず本人の意思で応募すること。第三者・保護者の意向による入門申請は認めていない。

※中学生以上~15歳未満の方は、拳法学習の志望動機をいかんで参加の可否を決定します。必ず本人が、15歳未満向けコースがある科における、希望する科の申込みフォームに、志望動機等必要事項を記載の上、お申し込みください。保護者の意向による参加・入門申請は認めません

女性護身術科の入門手続き

八卦掌女性護身術科では、他の科と違い、「仮入門⇒正式入門」の2段階制入門制を採用しています(女性が対象のコースであるが、指導内容が殺傷技術を伴う武術であるため)。以下の手続きに従い、入門申請をしてください。

手順1 申込フォーム記載申請と体験入門参加

以下の問い合わせフォームに必要事項を記載のうえ体験入門を申請する。

手順2 引き続き1カ月経過まで、練習に参加

体験後、引き続き練習に参加してください(本入門をするかどうかの判断材料にしてください)。

手順3 1カ月後、本入門へ

初回参加から1カ月経過後、本入門の可否のメールを送信しますので、本入門を希望する際は、フォームより意向をご回答ください。本入門を希望する方は、体験入門時に手渡された「入門誓約書」を確認。誓約書の内容に同意するならば、同書類を代表水野宛の住所に郵送、もしくは練習時手渡ししてください。※誓約書における現住所の記載については、個人情報保護の観点より、市区町村までにとどめてください。

※正式入門が許可されなかった場合についてのクレーム・理由開示要求には、例外なく対応いたしませんのでご了承ください。

手順4 練習会に引き続き参加

グーグルカレンダー記載の練習会に引き続き参加する。※参加ごとに、前日の24時までにメールにて簡潔に「○○です。明日参加します。」とだけメールをすること。

八卦掌水式門・代表 水野義人 略歴

八卦掌水式門代表・水野の写真
八卦掌水式門代表・水野義人先生

10代中ごろ、佐藤金兵衛先生の「中国拳法 八卦掌」を地元の小さな本屋で見つけ、本の情報とカンフー映画(のちに『武林志』と知る)の動きを頼りに、独学で八卦掌を練習し始める。

28歳までは、地方の道場で柔道、やや健康志向のカンフー道場で弾腿と八卦掌(しかし実は形意拳だった)に取り組む。習っているものが八卦掌でないことに気づき、八卦掌を習うため、再び独学をしながら八卦掌を教えている道場を捜す日々が続く。

29歳の時、馬傳旭先生拝師弟子の先生の道場があるこを知り、すぐに入門する。十数年の時を経て、初めて正式路線に沿って八卦掌を習い始めることになる。

会社におけるトラブルで、道場をいったん離れることを余儀なくされるが、その間も練習し、再び2012年に再師事する。

2019年に指導許可を得たので、初めて生徒をとり指導活動をし始める。「八卦掌水式塾」と名づけ、地元で指導開始。

2022年1月、師の勧めた道場に行き梁振蒲伝八卦掌伝人となる道に進むか、八卦掌成立当時(清朝末期頃)の対多人数移動遊撃戦のスタイルを追い求めるかを選択する局面に立つ。しかし一切の迷いもなく清朝末期成立当時のスタイルを追い求める決断をし、「八卦掌水式門」と名前を変更して本格的に志の実現に向けて再出発する。

・・・より詳しいプロフィールへ

中国拳法八卦掌伝承系統図

9.八卦掌水式門・女性修了生の声~「弱者生存の護衛護身術を極めたい方へ。昔日(清王朝末期頃)の八卦掌を伝える水野先生の道場」

石川県・30代女性・会社員・富山本科女性部修了門下生・八卦掌第7代掌継人

1.「単換掌の術理(単換掌理)」に貫かれた成立当初(清王朝末期頃)の八卦掌を追求し指導する、国内でまれな八卦掌家・水野先生

石川県・遠隔地門下生

八卦掌水式門は、成立当初(清王朝末期頃)の「単換掌の術理(単換掌理)」に貫かれた生存第一の八卦掌を指導する、国内で数少ない八卦掌伝統門です。

八卦掌第6代の水野先生の伝える八卦掌は、敵前変化攻防の近代スタイル八卦掌が主流となっている潮流において、対多人数移動遊撃戦による撤退戦を貫いた異色の存在となっています。

先生の伝える八卦掌の最大の特徴は、やっぱり、「単換掌の術理(水式門で先生は、「単換掌理」と呼んで指導しています)」に徹している点。

「単換掌理」とは、敵と接触を極力さけ、敵の力とぶつからない方向へ移動しながら対敵対応をする術理です。間合いを取り、逃げることを正当な戦法とし、力がぶつからないため、女性やお子さん・お年を召した方にとって最も現実的な護身術となっています(※よって水式門では、私を含め、女性の修了者さんが多いです)。

単換掌理を理解するには、修行の初期段階に、掌理に熟練した指導者による対面での練習を通して対敵イメージをしっかりと構築することが必要不可欠、だと先生は言います。

「単換掌理系の技は、対人走圏で養った移動による間合い取りと、敵の引きつけ引き込み技術、転身技術とで実行する技。現実的で明確な敵のイメージを持って練習しないと、実戦でとまどうことになる」は先生の口癖ですね。

相手の侵入してくる角度や強度、そして敵動作に対する自分の身体の使い方を、先生の技を受け、または先生に試し打ち(!)をしながら自ら身体を動かして学んでいく必要があります。それは初心者には果たせない役割。水式門では、先生がいつも相手をしてくれるし、新しい技を始動するとき、使い方もしっかりと見せてくれるから、一人の練習の時でも、イメージが残るんです。

よって最初から全く一人で行うことは、リアルな敵のイメージが分からない点から、大変難しいものとなります。この問題は、私がこの場で、先生の指導を受けたほうがといいと強くすすめる理由となっています。

私も遠隔地門下生。先生が富山に来たときは、集中的に相手になってもらいました。石川県という遠くであっても、先生の教え方のおかげで、ブレずにここまで来ることができました。

単換掌理に基づいた弱者生存第一の八卦掌を指導する八卦掌の教室は、全国にほとんどありません(それか、公にしていません)。弱者使用前提がゆえの現実的方法で自分を守る武術に興味がある方。力任せの攻撃にも負けない八卦掌を極めたいと思う方は、水式門の扉を叩いてください。水式門なら確実に、弱気が生き残るための技術を学ぶことができます

2.八卦掌水式門は、入門審査のある純然たる「伝統門」道場ゆえ、単なる護身術で終わらない。未来は八卦掌後継者としての未来もあり。

八卦掌水式門は、代表である水野先生が、八卦掌第5代(梁派八卦掌第4代伝人)である師より指導許可を受けて門を開いた、純然たる「伝統門」です。それゆえ、入門資格を満たしているかを判断する入門審査(問いあわせ~体験までの態度を見ての総合判断)を、入門希望者すべての方に例外なく行っております。もちろん私も受けたうえで入りました。

水野先生が指導する八卦掌は、護身術であれど、一部に当然殺傷技法が伝えられ、昔の中国拳法と同じく実戦色が強い八卦掌。誰それ構わず指導することはいたしません。

特に先生は、拳法を始めた動機も真剣。自分を律することができない人間に伝えてしまい、それで人が傷つけられてしまう事態を招くことを、心から心配しています。

よって、以下で掲げてある「入門資格」を満たした人間だと判断した場合にのみ、先生は受け継いだ技法をお伝えしています。「八卦掌の伝統門として、門が負うべき当然の義務と配慮」。これも先生が常に話す口癖ですね。

水式門には『弱者生存の理で貫かれた護衛護身術「八卦掌」を日本全国各所に広め、誰もが、大切な人・自分を守る技術を学ぶことができる環境を創る』という揺るぎない理念があります。

先ほども触れたように、己を律することのできない人間に伝えてしまうことは、技法が濫用され第三者が傷つく事態を招き、理念実現に真っ向から反する結果を生んでしまいます。

水野先生は、門入口を無条件に開放して指導し門を大きくすることより、たとえ審査を設けて応募を敬遠されたとしても、少なからずいる暴力的・非常識な人間に伝わってしまう事態を避けることを重視しています。

ここまで書くと、なかなか入ることのできない難しい道場だと思うかもしれませんが、そんなことはありません。審査はありますが、一般的な常識と礼節、思いやりがあれば、心配する必要は全くありません

指導を受けてみれば分かるのですが、先生はいつも、門下生のことを考え、熱心に指導してくれ、怒鳴ったりもなく、笑顔です。安心してください(無礼な態度にはわけへだてなく厳しいですよ)。

審査を通過した正式門下生には、「誰もが大切な人、自分を守ることができる八卦掌」の全てを、丁寧に、熱心に。真剣に教えてくれます。迷ってるあなた、ぜひいっしょに仲間になりませんか。先生の温かい指導で、いっしょに強くなりましょう。

愛知県・60代女性・主婦・女性護身術科修了門下生・八卦掌第7代掌継人

亭主の勧めもあり、参加した教室でした。武道なんてのは初めてでしたが、練習相手も、先生や亭主がいたため困らず、それが良かったと思います。

とにかく褒めてくれるので、先生の言ってる「7代目」が、いつでもリアルに感じられて、それが継続につながりましたね。無事卒業できました。

仕事がら、周りに護身術など興味を持っている人もいるので、勧めてみたい教室です。

ただ、健康志向という点では、少しずれているかもしれません。実用重視の方にはいいでしょうが。あと、実際に使うには、日頃のジョギングも必要?