後退スライド身法は、弱き者同士で模索した形。今からだ!

相手の状況や技術、体格などに影響されないこと。

そのためには、相手と接触することは極力さけること。私が習ってきた武道・武術・護身術は、皆、敵の力とぶつかるものばかりだった。

敵の攻撃を、手で防御している時点で、すでに敵の力とぶつかっている。武術・武道をやる男性の中で、私は確実に体格が劣る。体重は少なく、背も低い。自分の未来を変える戦いの後、ずっと、力任せの攻撃に、弾き飛ばされてきた。

八卦掌に初めて出会った時、間もなく、この技術が力のぶつからないスタイルを目指しているものだと分かった。普通はその点に気づかない。佐藤先生の本には、力がぶつからないスタイルであることにあまり触れていなかった。それでも分かった自分は、やはり八卦掌の天才のようだ。

それ以後習っていく八卦掌技法は、まともに力がぶつかるものが多く、中国拳法の会得の方法が「師匠から習う」ことしか思いつかなかった当時の自分は、愕然とした。

力がぶつかった時に、それを補うため、繊細な技法、秘伝めいた技法、何年も練習しないと習得できない技法が必要となるからだ。

その現実を知った時、一部の高度技術を習得した人間の周りでしか、弱者は守られない、と思った。この先、たとえ自分がその技術を習得したとしても、自分の周りの人間しか守ることができない。何も、現実は変わらない、と思った。

目指していたのは、「誰もが習得できる弱者向けの護身術」だった。一部の才能ある武術家と、その周りの人間だけしか救われないのでは、やっている意味がない、とまで思った。

「何か突破口はないか・・・」その現実に気づいたときから、人知れずの、探求の日々が始まった。人知れず・・・本当にほぼ誰にも言わなかった。

協力してくれた(シャアを敬愛している)バイトの後輩とその友達たちには話したが、「その(拳法)のことって、よくわかんねぇえっすよ!」とのことで、さりげなく襲って(協力して)くれた(本当にありがとう)。

だから、自分の目指すものは、誰にも知られることはなかった。身内以外は。

時間がないと思った。体が動くうちにその技術体系を確立し、志ある者に伝えたいと思った。

その瞬間、自分を偽って合わせている集まり・人との関係から、一切身を引き、ひたすら練習をする態勢を作り始めた。

うっすらと分かり始めてから、すでに20年以上、やっと形になって、何が重要で何が重要でないか、分かった。そこから初心者や武術にまったくなじみのない人が練習できるようなものを考え出して・・・やっと公開することができる。

攻撃の成功よりも、移動による防御の成功を目指す昔日の体系。難しい言葉、実在しない空想の動物の名を冠して気取りたくなりから、そのままの名称で呼ぶことにした。

斜め後方スライド撤退戦対敵身法。

清朝末期頃、この技法をどう呼んでいたかはわからない。しかし水野義人という中興の祖の中で再び体系化したのだから、このように呼ぶ。

単換掌の術理による、力がぶつかるのを避ける清朝末頃の八卦掌の中核技法を出来る限り簡素化したもの。

今まさに、いじめにあっていて、理不尽な要求をのまされる屈辱を味わっている君に練習してほしいもの。あの時から、ずっと君たちと同じく、戦ってきた成果を、やっと少し形にできた。

自分も、すべてを自分自身で考え出したのではない。やはり協力してくれた人がいた。ほぼ同時の一番弟子で、傍にいて、一番一緒に練習してくれた二人。まもなくまた一人加わって三人。

記念すべき動画の見出しイラストは、後退スライドを海岸で一緒に練習している時の一番弟子の子供の写真をイラストにしたもの。

女性でも通用する技法にたどり着いたのは、彼女らが試し、時にダメ出しをし、時に「これいける!」とはしゃいでくれたからだった。繰り返しになるが、あの時から今日まで、何度言っても言い足りないくらいのありがとうがあった。

理不尽な暴力を跳ね飛ばすことを夢見た君は、跳ね飛ばすための才能がある。この技法を見て、自分にもできるのでは?と思ったならできる。この技法を見て、興味を持った君ならできる。

自分も、敗北から始まって、力任せや体格による圧倒に負け続けて、それでも食い下がってきたもの。膨大な失敗の果てにたどりついた境地は、まさに弱者使用前提の技術体系なんだ。

実績もある。ある子は、言い寄ってきた中年男性の手を触れる前に振り切り、1キロ先まで後退スライド離脱して、難を逃れた。

ある子は、どさくさに紛れて後ろから抱き着いてきた男性に拍打ではたいて弾き、二度とその集まりに参加しなかった。

私は、アスファルトの上で突進速度がすさまじかった猪の突進を何とかかわし、後退しながら応戦することで、なんとかその難を逃れた。

かっこいい戦いではないが、君の戦いにも、きっと役立つ。何より、練習すれば、自信がつく。今までではできなかった動きができるようになり、空が高くなり、開放感に満ち、「さあ、やってやろうか!」と気持ちが前向きになる。そして、君が君自身を誇りに思うだろう。

動画は是非見てほしい。そして解説ぺージも読んで欲しい。動画では触れることができなかったポイントも書いてある。堅苦しい解説ではなく、いじめで自分と大切な人を苦しめられた先輩として、詳しく真剣に解説している。他人事(ひとごと)じゃないから当然のことさ。

君の健闘を祈る。きっとうまくいく。きっと取り返すことができる。

失ったものがある。取り返せないことがある。しかし、動いたことで、色んな景色を見て、色んな人の優しさに気づき、自分なりのドラマが生まれた。さあ、今から、主人公になって歩き出そうぜ。

八卦掌水式門富山本科イメージ

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