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何度も打たれ強くなった鉄の意志だから

うまいこと言ってあげようか

意志の強さは「鉄」だね、そう「鉄の意志」。

強いってこと?それだったら、はがねの意志、とかでもいいんじゃない?鉄ってさぁ、燃え盛る火の中で、何度も何度も打ちのめされるんでしょ?そして強くなるんだよね。私はその例を、そばで見てきた。

何度も何度も打ちのめされるには、打ちのめされるたびに、へこたれて脱落してたんじゃ、打ちのめしようがないよね?私って、何度も打ちのめされたこと、知ってるのよね。

いっつも何か為そうとするときに、大きな邪魔や困難がやってきて、いっつも箸にも棒にもかからず、敗れ去ってるの。でも、いっつも、ここで終わるわけにはいかない、自分の苦しみなんて、そよ風だ、なんて言って、毎日、台風の日も、出かけてる。

これから先も、ずっとこのままかもしれないね。下のまま。どこにも行けないかもね。でも、一つだけわかることは、毎日の積み重ねは、これからも続いていくんだろうなぁって、こと。

きっと、本当に身体が動かなくなるまで、続くんだろうなぁ。練習が途切れるのは、きっとその時までないのかも。他の人なら大げさでも、あなたならあり得ることね。

見てみたい気もする。でも正直、あまりにも行き過ぎないでねって、言いたくもなるの。

鉄って、はがねにはならない。強くなっても、ある一定の力の下では、もろいものよ。曲がってしまったら、なまじ強いだけに、元に戻らないじゃない。

そこまでいかないでね、それは見たくないわ。

「ぶつける」に徹する現代刀術~逆転発想の清朝末式八卦掌

逆転の発想で護衛護身武術を八卦掌を極め、現代における護身を果たす。

今回は、刀術について考えてみたい。

私は、常日頃から疑問に思っていた。刀術だからといって、「斬る」ことに現代もこだわらないといけないのか?

なぜなら、現代(特に日本)では刀など持ち歩くことができないからだ。刃がついてない模造刀であっても持ち歩けないのである。

武士は常に、刀を持ち歩き、かつ、いつでも抜けるように腰に差していたので、剣術を練習する意味があった。裏を返せば、帯刀を許されなかった庶民にとって、剣術など、いざという時に役立たない無用のものであった。

例えば、庶民が襲われた時、ありえない話であるが、何らかの理由でその場に日本刀が転がっていたとしても、日頃扱ってない(練習してない)から、意味が無いのだ。

慣れないのに真剣など使用したら、自分を斬ってしまうのがオチである。

私は自分で技術体系を編み出す過程で、まず長年引っかかっていた、「斬る」技術をなんとか処理しようと考えた。これから先、いくら社会情勢が変化しようとも、刀を庶民が持つことができる時代は来ないだろうと考えたからだ(海外では不明)。

そして「斬る」よりも「斬られない」ことを目指した。暴漢は、法律で禁じられても持つ。刃物で襲われることは、十分想定できる。「斬られない」ために、刀を棒で防ぎ、生還することを目指した。

「斬られない」ための技術は八卦刀術なのに、「斬る」をあてにしない。「斬る」をしないなら、その分、八卦刀術の他の攻撃技法「ぶつける」をメインにしようと考えた。

「ぶつける」だけにするなら、不利なのでは?

ぶつけるために、重く、長い物を振り回す。長くなくてもよい。遠心力がかかるものを、身体操作(移動)で自在に操り、自分は重たい物の柄の付近にとどまり、自分と敵の刃物との間に、重たい物の先を常に回し続けて刃物の到達を妨害し、防御・攻撃する。

「斬る」だと、刀(刃物)が必要であるし、所持が法律違反なので、多くの不安が残る。しかし重たい棒であれば、そこら辺に転がっているし、使う際に手にするだけなので、法律を犯すリスクもないのだ。

つまり「斬る」手段に見切ることの代わりに、「ぶつける」ことで身を守ることに意識を集中させることで、法律を犯してないという安心感と、その時の環境を味方につける現場対応力・事前準備をするモチベーションを得るのである。

護身術は、事前の準備が必要である。事前の準備には、当然「練習」も含まれる。練習と同じくらい、実際に使うことが想定される場面で、自分が持っている物で何が一番確率が高いか?もしくはどの「物」であれば、いつも持っていられて、かつ有事に身を守る道具に流用できるか、を考えるのである。

持ち歩くことができる道具と、自分の生活環境の中で「これならいざという時流用できる」と想定できる道具を特定し、それらは間違いなく「刃物」でなく「斬る」攻撃ができないのだから、それらの物で「ぶつける」技法を磨くのだ。

私の場合、自前のシャッターフック棒であったり、細長い径の小さい水筒であったり、長めの降りたたたみ傘であったりする。

私の環境の中で振り回すことができる物は、物干しざおであったり、シャッターフック棒であったり、カバンであったり、工事現場にある進入停止バーなど。

それらは「斬る」ことはできないが、「ぶつける」攻撃に流用できる。ならば、それら「ぶつける」ための武器でない物を使って、「ぶつける」攻撃ができる事前の練習を徹底的に実行ことで、「ぶつける」攻撃と心中するのである。

刀は現代で使うことができない→ざという時護身の技術となり得ない→「斬る」型は見切りをつけ、『ぶつける』技法を磨く

という逆転の発想で、大切な人を守って欲しい。

八卦掌水式門富山本科イメージ

本科と護衛護身科、私はどっちがいい?

本科と護衛護身科、私ならどちらのコースがいいのでしょうか?という質問を受けることがあります。

明日護衛護身科の内容が大きく変わってリニューアル開講するため、この記事をあげます。

どちらがいいのか?どちらも八卦掌なので、八卦掌にこだわりたいと思っているだけなら、どちらでも問題ないということになります

多くの人は、実戦か伝統か、護身として使えるか、実際につかうことができるのか、キレイに型を演じられるようになるか、そして付随してダイエットにもなるか?など、特定の目的に興味が向いています。

その興味の向いている方向性に沿って決めるのがいいでしょう。

いろいろな例をとって考えてみましょう

「将来的に、人を守るための術を身につけていきたい」場合

例えば、将来は警察官や警備員など、人を守る仕事に就きたいと考えている人。その人がいますぐ保安職に就く場合で、短期間でスキルを手にしたいのなら、護衛護身科の方が向いていることになります。

その人が保安職に就くのが先の場合(2~3年先)や、すぐにではなく、じっくりと実力をつけていきたいなら、本科でよいでしょう。

本科では、八卦掌技法を行う身体を作るためある程度の時間をかけますが、それは実際の場面で役立たないことを学ぶわけではありません。

相手の様々な攻撃に対抗しつつ、プレッシャーを与え続け得る土台を作るためです。相手は様々な攻撃をしてくるでしょうが、内情をよく観察すれば、仕掛けてくる攻撃はある程度パターン化できます。

格闘技や武術を練習してい居ない、もしくは経験があっても未熟な者・今は練習していない者の場合、違う攻撃をしているように見えても、実は変化の域を超えていないだけで、ほとんどパターンは同じです。

その場合に対抗手段としては、目まぐるしく我を移動させて翻弄する八卦掌の移動遊撃戦で十分対抗できることになります。本科では、徹底した移動遊撃戦を実現するためのプログラムが組んであるため、時間的猶予があるならば、本科をおすすめするのです。

「今まさに、大切な人を守る必要性がある」場合

今まさに、大切な人を守る必要性がある場合。例えば、家族・恋人・友達が、変質者やストーカーに付きまとわれている場合など。しかるべき相談機関への連絡などの対応のほかにあなたが選択する方法の一つは、護衛護身科で学ぶことでしょう。

私が中学生の時がそうでした。同級生に対するいじめがあり、ケンカ自慢のいじめ連中にいざというとき対抗するために、身を守る術が今すぐにでも必要だったケースでした。

本科では着実な実力をつけることを目指しますが、ある程度の時間をかける必要があります。護衛護身科では、インプットではなく、いきなりアウトプットからのスタートとなるため、護衛護身五型の型がその人にとってやりやすいものであれば、割と短期間で身体の変化を実感できるようになります。

護衛護身科では、短期間(1~3カ月くらい)で一通りの対抗手段を身につけることができます。後はそれを有事に備えて繰り返すのみです(一通りやるだけではダメだから)。

「対抗する手段は一通り学んだ。あとはできる限り精度を上げるのみ」と、迷いも無くなり、自信も湧いてきます。この自信、精神論云々ではなく、本当に大事なことです。

組手や散手をやることの大きな意義の一つが、組み合う際の恐怖を克服し、戦いのスイッチを入れることができるようにするため。一人のみで練習する者に、組手を行う機会はほぼ無く、実戦速習型のひたすらな繰り返しで自信をつけるしかありません。

「人を守りたいという考えはないが、護身術を学びたい。どうせなら伝統武術を学んで強くなりたい」場合

人を守りたいなどと大それた考えはないが、護身術を学びたい。しかしどうせなら伝統武術を学んで強くなりたい。そう考える方がおられるなら、それはまさに護衛護身科のコンセプトに合致するため、護衛護身科をおすすめします。

手軽にできる護身術の最大の欠点は、練習にのぞむ際のモチベーションの維持の難しさです。

護身術は、単純シンプルで有効なものでしっかり練習すれば効果はありますが、自分を守る目的以外のものがありません。今まさに迫っている危機に対抗するためのみ技法であり、それ以外も目的(奥深い技術体系や、形として見えるスキル)がないからです。

護衛護身科で指導する「護衛護身五型」は、当然に八卦掌技法で構成されており、「着実」より「速習」に焦点を当てて履修課程を変えただけのものであり、八卦掌そのものです。

よって護衛護身科を学ぶということは、護身術を学んでいると同時に、伝統中国武術を学んでいることにもなるのです。水野が勝手に技を生み出し、それを教えているのではありません。

護衛護身の型は、短期間に移動遊撃戦を学ぶためのものであり、型に習熟したら、当然に個々で変化をしていくもの。

「型ではこうなっているけど、自分はここでこうした方がやりやすいぞ。」・・・自然とそうなります。その時は、その感覚に従ってください。そうすることで、一段と「強く」なっていくのです。

変化した先で行きついたものが、水野の教えた型と大きく(まったく)違っていても、それが八卦掌を出発点にしたものであり、かつ当門で学んだ者が八卦掌を名乗ることを希望するならば、水式門では当然に八卦掌後代を名乗ることを公認し、バックアップします。

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八卦掌は護身術として使えるか~八卦掌は護身護衛専門拳法。

水式門で教えている八卦掌は護身術として使えますか?

このようなことをたびたび聞かれることがあります。形を変えて聞かれることもあります。水式門の八卦掌は護身法としての役割を果たし得るか・・・

水式門の八卦掌は、護身術として使うことができます。そもそも、護衛護身のためにだけ考えて練習し、工夫してきたため当たり前です。

試合で勝つため、や、健康増進のため、美容・ダイエットのため、という視点で練習や工夫をしてこなかったから、護衛護身の目的以外の成果について、「効果あります」と安易にいうことはできません

試合での勝利・美容・健康・ダイエットで成果を挙げるためには、それに見合ったカスタマイズが必要です。それを考えてこなかった当門の八卦掌について、これらの成果がでることをうたうのは不誠実だと考えています。

八卦掌は、ルールのある中で用いることを前提としていない武術です。これは、試合形式の格闘技を馬鹿にしているわけではない。

格闘技は、フィジカルの優位性を除かれた極めてフェアの条件の中で、己の技術とか精神力でのみしのぎを削る、苛酷で壮烈な世界。あの世界で戦う格闘家らの肉体が皆研ぎ澄まされているのは、その壮烈さの現われです。

八卦掌水式門には、初学者向けにふたつの道があります。

八卦掌の従来からの履修課程にのっとり、着実に八卦掌体から構築していく「八卦掌基本科」過程。

今まさに必要とされる方に、土台の構築に不完全さを残すのを前提として「典型攻防」を通して、典型基礎に絞って学ぶ、短期速習問題集形式の「八卦掌式護衛護身法」過程。

どちらの科でも、習うものは八卦掌。八卦掌式護衛護身法でも、他の拳法要素は入っていません。

私ごとき中途半端に習ったものを八卦掌に組み込み、門下生に押し付けるなどもってのほか。練習すればするほど、その奥深さに魅入られ、新しい自分の拳法など創始する意欲も失くしてきました。

奥深さとは、八卦掌の持つ、弱者のための実戦での戦闘性です。体格差などの優位性で支配される敵前攻防を徹底的に避けるためのいさぎよい技術体系に、多人数の暴力による敗北からスタートした私は、心底魅せられてしまっています。

これは盲目になっているのではなく、柔道などの他武道を経験したうえで改めて感じている本心です。

体格がいい。筋力に自信がある。若いため、身体がどれだけでも動く。フィジカル面での優位性がある人であれば、眼前攻防主体の武術・格闘技でも、当然、護身護衛の成果が得られるでしょう。

しかしそれらの優位さを持ち合わせていない者。私のように、背も低く、体重も軽い方などは、是非とも八卦掌を練習してもらいたい。

このブログでも、八卦掌の基本動画を、今まさに挙げている最中です。それらを学習に役立てて欲しい。

当門で指導する、対多人数遊撃戦八卦掌は、護衛護身を実現することを第一に考えている八卦掌。そのほかの効果は、護衛護身の実戦力を追い求めていく過程で、自然とついてくるもの。そのようにとらえてください。

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八卦螺旋功解説4「左右分掌」:護身護衛武術「八卦掌」基本講座

左右分掌は、左右へ肩を入れながら螺旋をかけて身体を絞ることで、螺旋のテンションと感覚を股や足などの各部位に掛け、実感させる螺旋功です。

動作は単純ですが、ねじりながら腕を伸ばす動作は意外と難しく、速く行うと腕が曲がったりするなど、各螺旋功の中で出来るようになるまで最も時間のかかる螺旋功となります。

典型用法としては、(1)穿掌で突いたあと後方の敵へのけん制攻撃をする(2)突いた腕を引かずそのまま相手の腕をつかみ走り去りながら引き倒す、などの例があります。

左右分掌・動作解説

まず両足を肩幅より大きい幅で並べて立ち、腰を落とし、その状態から一方にねじっていきます。

ねじりきったら、ねじりきった状態をいったん戻してねじりを解消し両腕を伸ばした状態にし、そこから反対方向へねじりこんでいきます。

自分一人で自分の身体をぞうきんで絞るがごとくねじりこんでいきます。

ねじって螺旋をかける時は、肩を入れることでねじる動作を後押ししてねじります。

肩を入れながら伸ばすことで、もう片方の腕も自然とねじれます。その腕にもねじる意識を伝えて螺旋の意識の通った「強い腕」を作っていきます。

左右分掌・用法解説

用法(1):後方けん制

左右分掌で練った身体動作は、穿掌などの突き攻撃後の後方けん制動作に用います。

転身攻撃では、穿掌を用いることが多いのですが、「拍」・「撩」も用いやすいでしょう。

後方へのけん制攻撃後、再度眼の前に居た敵に攻撃しなおす動作も練習しておきましょう。

用法(2):引き倒し

突いた腕で相手の腕や手をつかみ引き倒す動作は、左右分掌の代表的用法です。

突いた腕を引きながら相手の手をつかみ、引き倒しながら後方敵へのけん制攻撃をします。

軟体側へ身体と目線を移した状態で引き倒します。

腕をつかむことができなくても次の敵へと向かっていき、固執しないのがコツとなります。

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八卦螺旋功解説3「翻身旋掌」:人・大切な人を守るための第一歩。護衛護身武術「八卦掌」基本講座

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翻身旋掌・概説

翻身旋掌は、後方・側面敵からの攻撃を、螺旋の意識の通った強い腕で払う意味などを含んだ螺旋功です。
胸前で手のひらを上にして、脇下から後方へ伸ばし、伸ばしきった所から大きな円を描いて胸前まで回し戻す、という動作で構成されます。

身を翻すと同時に、螺旋の意識の通った腕を後方へ伸ばして後方敵の攻撃を不意に弾き、意表を突かれた相手が反応する前に穿掌の連打を打ち込みます。

翻身旋掌・片手練習

最初は片手のみで動作を身につけます。そのあと螺旋の感覚を強く意識していきます。

胸前で手のひらを上にした状態で指先を自分の身体の方へ向け、脇下を刺すようにして後方へと伸ばし、伸ばしきったところでねじれている腕ごとねじりを解消して手のひらを上に向け、そこから大きな円を描いて胸前まで回し戻す、の動作を繰り返します。

胸前における「手のひらを上にした状態で指先を自分の身体の方へ向ける」動作と、「その状態のまま後方へと伸ばす」動作をしっかり行うと、敵の攻撃を不意に弾き得る力強い螺旋の腕を作ることができます。

後ろから前に戻す動作は、後方敵への防御後、眼の前の敵に再度攻撃をしてけん制する意味もあるため、戻す動作も意識を通してしっかりと行います。

翻身旋掌・両手練習

両手練習では、後方敵への攻撃を防ぐ動作を行いながら眼の前の敵へのけん制攻撃をするという対多人数遊撃戦動作を、腰の回転によってより速く、より滑らかに行うつもりで練習していきます。

翻身旋掌では、腰の回転は「回す」というより「腰をたたみながら回す」つもりで行います。後方へ腕を伸ばす軌道が小さくなり、素早く伸ばすことができるからです。

後方へ腕を伸ばしきったと同時に、胸前にあるもう片方の腕の手の指先を自分に向け、脇下にさしはじめ、後方の腕を胸前まで回し戻す、という動作を腰とともに行い、繰り返します。

両手練習では、後方へさす動作も前に戻す動作も、腰の回転と一緒に行う意識を強く持ちましょう。

敵の横での変化攻撃をする際、身体の固まりを防ぎ、かつ足が動きやすくなり、加えて腕を出す威力も高まるからです。

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八卦螺旋功2「分開旋掌」:人・自分を守るための第一歩。護衛護身武術「八卦掌」基本講座

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分開旋掌とは

分開旋掌は、払う・つかむの意味を含んだ、内から外への螺旋動作で行う螺旋功です。

内から外へ螺旋をかけながらかき分けつつ脇下までもっていき、脇下から手のひら上にした状態の穿掌で突き出し、またかき分ける・・・の動作を繰り返します。

分開旋掌には、敵の攻撃を払って、次の攻撃につなげる意味と、敵の手をつかんで動きを制御し、大きな打撃をくらわす意味が含まれています。

分解旋掌・片手練習

内から外へ、払う・つかむを意識しながら大きく回します。

脇下に手のひらを上にして置き、そこから胸前を横切って斜め前に出し、出し切った場所から、大きくかき分けるようにして後方へ回し、再び脇下まで戻します。

前方よりも後方・側面へ回す際の円の半径の方が大きいくらいであることが分かると思いますが、それは後方・側面からの敵の攻撃にも対応し得る動作であることを示しているのです。

脇下に手を置く際は、しっかりと手のひらを上にして穿掌を作りましょう。螺旋のかかっている感覚を腕に感じやすくなります。

分開旋掌・両手練習

両手同時行う際は、腰の回転で腕を出す意識で行います。

腰の回し方は、翻身旋掌や推磨式基本功における腰の回し方と同じです。ただ単に回すのではなく、「たたみ折りながら回す」意識で行います。

かき分け動作を終えて脇下へ手をひるがえして穿掌を作って戻すと同時に、もう一方の手を脇下から斜め前方へと突き出し、そしてかき分け動作に入っていく・・・を繰り返します。

両手同時の練習では、動作の意味を理解するよりも、たたみ折る腰の回転と、腕の動きの滑らかな連動を目指します。

腰と腕の連動に気を取られ過ぎて、腕に螺旋のテンションをかけることを忘れないようにします。かき分けのあと脇下に戻す際は、しっかりと手のひらを上にした穿掌を作るように心がけましょう。

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八卦掌基本功1「回肩功」:人・自分を守るための第一歩。護衛護身武術「八卦掌」基本講座

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毎日行うことで肩の可動域を開拓し射程距離の伸長につなげる

「回肩功」は、八卦掌独特の基本功ではありません。腕を激しく伸ばしたり振ったりするような拳法流派で、よく見られる基本練習です。その名称は、各拳法流派によって異なっています。

八卦門においても、流派によって言い方が異なりますし、動作に若干の違いも見られます。しかしここで示す方法だと思ってもらって構いません。

回肩功では、肩を回転の元として、おおきくゆったりやや大げさに回します。この単純な動きを、練習を始める最初に行います。

このような、身体の各部位を動かす練習は毎日行うのがベストです。各功とも、多くの時間を割く必要はありません。サッと行うだけでもいいでしょう。

私が毎日練習開始前に行っているのは、以下の基本功(名称は一部オリジナル)です。

  • 回肩功
  • 伸肩功
  • 螺旋功(龍玉遊掌)
  • 仆腿功(仆歩功)
  • 金鶏独立功(バランス功)
  • 推磨式基本功(推磨式五法)

日頃から肩を可動域一杯に回すことで、有事におけるとっさの防御反撃の動作の中で肩が攻撃の動きの速さ・精度を邪魔することがなくなります。

そして何より、肩を柔軟にしておくことで、穿掌を放つ際の射程距離が格段に伸びます。その差五センチも。「なんだ、たったの五センチか?」と思われた方は、間合いの重要性についてもう一度考えてもらいたい。

五センチの差で当たる、当たらないが決まったらどうでしょうか。当たらなければダメージは一切ない(穿掌に対する脅威は感じるかもしれないが)が、当たれば大きなダメージを与えることができる。

それは当たりまえのことではありますが、その違いで倒すことができた相手を倒すことができなかったら、特に対多人数戦で一人でも人を減らしたい場面では、倒すことできなかった相手によって後々大きなマイナスの結果が生まれるかもしれないのです。

ですから、射程距離を大きく取るような武術では、肩の可動域を伸ばす基本功(回肩功や伸肩功など)が発達しているのですね。

「開・合」を意識して目いっぱい大きく行う

動画中では、腕の動きを使って肩を回す動作を助けていますが、肩のみで行う場合もあります。皆さんのやりやすい方で取り組んでください。初学のうちは、腕を使って肩の回転を助ける方法がやりやすいでしょう。

回肩功の目的は、肩の可動域を開拓して、自在な動きを得る、もっと具体的に言えば、肩をフレキシブルにして穿掌の射程距離を少しでも長くする、というものであり、その点からも練習時に「大きく大げさに」は理にかなっています。

回肩功で重要な内的意識は、「開・合」の意識。大きく肩を回している場合、後ろ方向に回しきっている場合を開、そして前方向に回し戻してきた場合を合、というように、肩を回すことによる胸の開きと閉じを意識します。

多くの技は、開と合をもって、動作が始まりそして完結します。よってこの「開」「合」の意識を養うことは大変重要であるのです。

動画中の回肩功では、両手指を肩の起点に置き両肩を同時に同じ方向へ回す方法、両肩を違う方向へ回す方法、左右の肩を互い違いに方向を逆に回す方法、腕を伸ばして行う片腕づつ行う方法、そして両腕互い違いに同時に行う方法を紹介しています(方法はほかにもありますが、これだけでも十分です)が、すべてに開・合の意識を伴わせます。

両腕を互い違いに違う方向へ、同時に回す回肩功では、膝の動きも伴わせると、腕の動きが安定しかつ可動域目いっぱいに回すことができます。

回肩功は、拳法の本格修行者のみならず、健康志向で拳法に取り組みたい方にも大変お薦めする基本功となります。その際は、ゆったり大きく、ゆっくり行うことで、身体に負担をかけず行います。

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八卦掌基本歩法2「扣歩(こうほ)」:人・自分を守るための第一歩。護衛護身武術「八卦掌」基本講座

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扣歩について

擺步(ハイ歩)とともに八卦掌の遊撃戦性を支える筆頭格の歩法が、「扣歩(こうほ)」となります。

八卦掌水式門では、擺步と扣歩は、歩法という枠を飛び越えて、水式門入門後一番最初に指導する最重要基本です。

その役割は、以下に挙げる通り、多岐に及びます。

  • 敵の脚を引っかける
  • 敵の脚を蹴飛ばす
  • 敵の蹴り技を防ぐ
  • どんな態勢からでも打つ。その時間合いを詰めるための基本歩法として用いる
  • 鋭い転身動作を可能にするための、起動歩法にする

八卦掌水式門の八卦掌は、対多人数戦時において、どのような状況下であっても、一つの場所にとどまらない徹底した移動遊撃戦と敵に対するプレッシャーを保って攻撃させない、が大きな戦闘スタイルとなっています。


そのスタイルを実現するために。

まず、こちらの出す蹴り技は移動を妨げるものであってはなりません。

そして、敵が蹴りを出して応戦してくるのは、こちらの動きを止めるため。よって、動きを止めない防御をしなければなりません。

加えて(これが最も重要)、敵がそもそもこちらに自由に攻撃することができないようにするために、どんな態勢からでも、接近している(わずかな)時間中は、手を出して相手になんらかの防御をさせ、攻撃をやめさせる必要があります。

後ろや側面から迫ってくる、眼前の敵以外の敵に対して、臨機応変に転身動作をしてけん制する必要もあります。

これらの必要事項を前提に、扣歩の役割と用い方を説明していきます。動画の中では、それらの点について触れていますが、ここで当ブログを読んでくださる方に、もっと詳しく説明をしたいと思います。

動作解説

「扣(こう)」には、中国語で(ボタンなどを)かける・留める・はめる、という意味を持っています。その意味の通り、扣歩の第一の用法は、相手の脚を引っかけること。

この用法は、私が説明する前から、八卦掌に興味のある人であれば知っている可能性が高いくらい、有名な扣歩の代表的用法となります。

もしあなたが、八卦掌を遊撃戦武術として捉え、実行したいのであれば、扣歩で相手の脚を引っかけるためにわざわざワンモーション用意するのは止めておきましょう。

相手は、動作の止まった眼前敵からの下腿蹴り(ローキック)など、いくらでも対応できます。足を少し前に出せば、こちらの扣歩蹴りの攻撃軌道などいとも簡単にふさがれてしまいます。

よって、半斜翻身で相手の眼前で急速に逸れたり、鋭く伸びる穿掌などの射程距離の長い突き技で動きつつ、気持ちを下腿周辺からそらして扣歩でひっかけます。

移動による慣性が脚にかかっているため、引っかけることに成功すると、相手は思い切り態勢を崩すか、足を激しく痛めることになります。

この場合、発勁や、螺旋など、難しい意識など考えなくても大丈夫です(移動遊撃戦がある程度できるようになっているころは、八卦掌の勁放出や螺旋意識などは、考えなくてもできるようになっている。そもそもこれらは難しくないから、心配しなくていい)。

実は「扣」には、中国語で、かぶせる・当てはめる・レッテルを貼る・(罪を)かぶせる・拘留する・差し押さえる・(物を物理的に)押さえる、という意味があります。

私が八卦掌で遊撃戦スタイルを確立したのは、この中国語の意味を知ったことが大きかったと思います。それまでは、「ひっかける」という用法しか知りませんでした。

遊撃戦では、敵は我の移動を止めるため、ある程度戦いの時間が押してくると、蹴り技を出してくる。対多人数で不利な状況下では、相手の蹴り技術が未熟であろうとなかろうと、大変な脅威となります。

「扣」の意味を知り、「足で相手による下腿部への蹴りをかぶせて、もしくは押さえてしまえば、移動を止めてブロックせずとも防ぐことできるのでは」と思い付き、実行したら、十分対応できることが分かりました。

相手の蹴り技に対する「かぶせ方・押さえ方」は、扣歩で押さえるだけではありません。半斜して擺步で防ぐ方法もあるし、トウ脚で蹴り返す方法もあります。

しかし、扣歩によるかぶせ防御は、流れを一層妨げない自然の防御として、最も習得しやすいものでした。遊撃戦における蹴り技防御に興味のある方は、是非とも練習してもらいたい。動画中で少し触れています

遊撃戦では、単独で入り身の練習をしている時よりもはるかに激しい移動慣性が働きます。これを当門では「身体流(からだながれ)」と呼んでいます。

遊撃戦スタイルを会得するためには、この身体流を克服しないといけません。しかし身体流が生じることは、悪いことばかりではない。身体流が我に生じるということは、遊撃戦をする我を追いかける敵にも、身体流が生じています。

私たちは、事前に身体流がかかることを知っている。よって平素から、身体流が生じた状態で敵に移動しながら攻撃を当てる練習をしている。相手は身体流に対応できてない以上、こちらが対応する技術を持っているならば、身体流が生じる現実は、逆に有利となります。

身体流が生じていても、敵から大きくそれず、技が届く距離にしっかりとコントロール可能な状態を保って移動し続けるには、よりストレートな内転動作が基本の「扣歩」が大きな力となってくれます。

攻撃や防御で、敵から身体が逸れた際、その位置から攻撃するためには、扣歩で移動を内転方向へ導き、穿掌などで斜打します。この技術は何度も練習する必要がありますが、ある程度マスターできたならば、どんな態勢からでも手を相手に伸ばしてプレッシャーを与えることができ、相手に自由に攻撃させない状態を作り出すことができます。

扣歩の用い方

最後に。扣歩を、転身動作の起動動作に用いることについて。

八卦掌には、「扣歩せずして転身するなかれ」という拳訣があるくらい、扣歩を用いた転身動作の有効性が説かれています。

もちろん、扣歩なしで(例えば擺步のみで)転身することもあるし、その動作を用いた技もあります。しかし八卦掌で力を伝えるためには、この「扣歩→擺步」の動作が最もやりやすい動作であり、練習する機会も多いのです。

例)単換掌・回身老僧托鉢式・翻身拍打・回身斧脚など

また、走圏の功力が得られていない初学時における起動力向上の強い味方である「点歩」も、八卦掌に流用するならば、扣歩の変化型と言っても過言でなくなります。

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八卦掌基本歩法1「擺歩(はいほ)」:人・自分を守るための第一歩。護衛護身武術「八卦掌」基本講座

ハイ歩は、扣歩とともに八卦掌を遊撃戦スタイルせしめる歩法です。

私は八卦掌を中学生の時に始めた(その時は本で独学)のですが、動画というものがなかったあの当時でも、練習することでその有効性というものをかんじていました。

扣歩〜ハイ歩、もしくはハイ歩〜扣歩へとつながる動作は、八卦掌の技の動作をよく見ると、あらゆるところで見られます。

以前動画であげた半斜翻身は、敵の側面に半斜するときは滑らかなハイ歩、そして敵に近づいて一発目の穿掌を打つ際の歩法も、後方から途切れることのないハイ歩で前に出し、最後の2発目の穿掌を打つ際は、扣歩で接近しています。

走圏に取り組むことで得られる効果はなかなか実感できないのに対し、扣歩ハイ歩とその連動練習の成果はすぐに感じられるため、初心のうちにぜひ取り組み、修行の勢いをつけてもらいたいとおもっています。

歩法の一つとして区切ってしまうと、移動手段の一つとなってしまいますが、ハイ歩で特筆すべきは、攻撃と防御能力の高さです。

ハイ歩は扣歩よりも動作が大き目で、大きいということは力を出しやすい動きであるということです。

力が出しやすいということは、防御面では、蹴り技などの破壊力のある攻撃を真向から受け止めることができ、攻撃では、相手の脚を砕き得る斧脚をぶつけることを可能にします(斧脚も足腹部を前に出す動作のため、ハイ歩動作の中で違和感なく放つことができる)。

敵の目前で半斜しつつハイ歩で受ける防御は、考えていたのでは間に合いません。無意識に行うことができるくらい繰り返し、身体に染み込ませることが重要です。

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