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老八掌「単換掌」:八卦掌の攻防と発勁(発力)法を学ぶ基本型

(このページは、2021年9月16日に更新しました。)

老八掌第一の型・単換掌を解説する。

単換掌は、敵との最初の接触で多用する「老僧托鉢」の姿勢が重要部分として含まれて型が構成されている。

動作自体は、『推磨式の姿勢で走圏→扣歩(こうほ)→ハイ歩(はいほ)しながら老僧托鉢→進歩穿掌→推磨式→推磨式の姿勢で走圏』だけでありシンプルである。

しかし、多人数戦における乱打戦において、老僧托鉢の姿勢を使って敵の攻撃を瞬時にさばく(受ける)ことは、かなり熟練しないと難しいものである。そもそも流れる動きの中で、老僧托鉢の姿勢をとりにくい。

だが老僧托鉢の姿勢で受けることができたら、その後の攻撃は穿掌の射程距離の長さ・肘下からの攻撃ゆえに相手に見えにくいこともあって、大変強力である。

また、当門で習う、多人数戦を想定した単式練習のもっともシンプルで基本的な技(前方へ穿掌→ハイ歩しながら後方敵へのハイ歩一体の蹴り+拍掌)の原型でもあるため、当ホームページを見て練習している方は、ぜひ単換掌に真摯に取り組んで熟練度を上げて欲しい。

老八掌「単換掌」を動画で動作解説

定歩では、各動作をあえてしっかりと区切り、動作の過程の動きと各動作に対する要求事項をしっかりと意識ながら練習します。早い動きで練習するのではなく、一動作一動作、確認するように練習することが大切であります。単換掌は動作が少なくシンプルであるため、「定歩」という練習段階の意義を理解するうえで最適であります。

慣れてきたら、目の前や後方に敵がいることを想定して練習しましょう。そうすると、各動作の意味が分かるようになります。どのように想定するかは、「単換掌の各動作解説」における各動作中で説明する。

全体の動作は協調して、内三合と外三合の「六合」を一つにまとめて動く(内外合一)。内三合とは、「心と意、意と気、気と力」のことを指す。外三合とは「手と足、肘と膝、肩と胯」のことである。

反時計回りで円を回って反対方向に転じる時、老僧托鉢の姿勢となる。その時、前にある左掌も身体のすぐ目の前にある右掌も、肩をいからせず下にゆるやかに、それでいて意識はしっかりと腕中に途切らせず、下がっている状態となる。腕を伸ばし過ぎても、曲げすぎてもいけない。そうすると、虎口で円を支えることができなくなる。

腕を収めて肛門を提げて、ひざを曲げて足を曲げる。胸をリラックスしてくぼませて、それに伴い背中は丸くなり(含胸抜背)、意識は丹田に落ち着かせる(気沈丹田)。目の方向は動作に伴って追随していく。

足の裏を地面でこすりながら回らない。転身するときはハイ歩とコウ歩を明確に分けて転身すること。

単換掌の用法(使い方)解説

一番オーソドックスな用法は、老僧托鉢で敵の前面からの攻撃を受けて、受け手の肘下から穿掌で敵の上半身の急所を攻撃するものです。

また、前面だけでなく、斜め後方や完全に後ろからの攻撃に対し、身を翻して攻撃する、という用法もあります(回身老僧托鉢式)。回身老僧托鉢式は、八卦六十四掌に頻繁に登場する技であり、いかに八卦門の中で重要視されているかわかります。

八卦掌の発勁(発力)とは~「老僧托鉢」編

八卦掌は多人数を想定した拳法なので、回身老僧托鉢式の力の使い方は極めて重要となります。回身老僧托鉢式による相手への力の伝え方は、八卦掌の代表的発勁(発力)となります。

八卦掌の発勁(発力)は、大きく分けて一定の法則性を伴った複数の動作群から発揮されます。その代表的動作が、単換掌で学ぶ「老僧托鉢式」です。

コウ歩することで生じた股関節から上半身にかけてのねじれを、ハイ歩で身体を開きながら解放します。その時の、開放する勢いとねじれ戻しの力が、もともと螺旋と張りによって一定の強さを持っていた老僧托鉢している腕に伝わります。

この3つの力をうまく合わせて敵に伝えることで、八卦掌なりの力を発揮することができます。

八卦掌は、遊撃戦の中で「移動ついでに倒す」拳法なので、一発一発の発力は大きくありません。滑らかな歩法で止まることなく縦横無尽に歩き続けていると、身体を翻したり向きを変える瞬間に、力を相手に伝える好機が訪れます。その時にさりげなく自然に手を出すことが、八卦掌の発勁動作です。ですから、その時々で形は異なります。

単換掌の各動作を連続イラストで詳しく解説

単換掌動作解説
図1

走圏で円を回る。

梁派では、反時計回りから走圏・定式八掌・老八掌を始める。程派・尹派でも、多くは反時計回りから行う。

実戦アドバイス:走圏で円周上を歩いている際に心掛ける点

回っている際には、張り・らせん・滑らかな歩法・基本姿勢をしっかりと意識する。意識して保った状態のまま、単換掌の技に入ること。張り・らせん・滑らかな歩法は、基本姿勢が出来ている状態で行いやすくなる。よって、走圏の練習でしっかりと基本姿勢を保ち続けることを訓練すること。

単換掌動作解説
図2

円の外側の足をコウ歩(下動画参照)する。

この時、上半身はほぼ不動の状態(推磨式のまま)。そうすることで、股部分にしっかりとウネリが入る。

実戦アドバイス:推磨式のままコウ歩する理由

遊撃戦を展開している際、後方からの攻撃について推磨式を変えないままに反転すると、伸ばしている手によって相手の後方からの突きを受けることが可能となる。綺麗に受けることができなくとも、無意識にこちらの手を相手に差し出しているだけで、相手は非常に攻撃がしにくくなる。

実際の多人数戦練習では、この動作と同時にコウ歩した足と反対側の足をハイ歩しながら引き上げ、ローキックを受けることもある。ムエタイや蟷螂拳のような、上下コンビネーション傾向の強い相手の際は、後方からの攻撃でも上下攻撃をしてくることがあるからである。

単換掌動作解説
図3

円の内側の足をハイ歩(下動画参照)。

ハイ歩と同時に、伸ばしていた手の掌側を上に向けて差し出す。もう片方の手は、差し出した手の肘部分に寄せる。この姿勢を『老僧托鉢(ろうそうたくはつ)』という。年老いた僧が、托鉢の際、お布施を請う姿に似ているのでそう呼ばれる。

実戦アドバイス:当たりやすい理由と当たりやすくするための練習方法

「老僧托鉢」は、遊撃戦や一対一の戦いにおいて、敵と最初に接する際によく使われる。この姿勢で攻撃を受けることは慣れるまでは難しい。しかし咄嗟に老僧托鉢の姿勢を採ることできるようになると、老僧托鉢後の攻撃は敵の意表を突くことしやすいためよく当たり、有利となる。しっかりと磨いて欲しい。

受け手の肘下は相手側からは見にくい死角となり、そこから軌道や接近する軌跡が見えにくいと言われる穿掌が相手の攻撃している手の下からスッと、我の前進とともに突き出されるから。

よって、老僧托鉢で受ける際は、受け手と反対側の手は必ず受け手の肘下付近に添えること。添えは無意識に行われるまで反復すること。穿掌を突き出す際は、必ず(わずか少しでもいいので)歩を進め前進しながら突き出すこと。そして、突き出しと同時に、後ろ足をコン歩(下動画参照)で前足に寄せること。そうすることで、突き抜けるような穿掌が連弾で突けるようになる。

単換掌動作解説
図4

老僧托鉢の姿勢のまま、前足を一歩前に進める。

実戦アドバイス:穿掌での第一発目は、進歩によって突く意識で

老僧托鉢の姿勢において、前に伸ばしている手は、前足を進めるに付随して前に移動させることによって、立派な第一発目の攻撃となる。拳譜にいう「歩カバ即チ手ガ至り」(歩くと同時に手が相手に当たる)である。

単換掌動作解説
図5

後ろ足を一気に前に出す(『快歩』という)。その足を出しながら肘下に添えていた手を前に出す。足の着地終了と穿掌の突き出し終了は同時であること。

突き出し終了の瞬間に、後方の足はコン歩する。勢いあまって近づけすぎたりしないこと。

実戦アドバイス:突き出す穿掌は、相手を突き抜けていく意識で打つ

突き出す穿掌は、攻撃目標そのものの表面が到達点であると思わないこと。穿掌を打ち出す意識として、攻撃する部分よりもさらに後ろまで技が届いていくように練習をする。相手を穿掌で突き破っていく感覚ともいえる。

単換掌動作解説
図6

穿掌で突き出した手を顔の前に引いてくる。同時に、突き出した手の肘下に添えていた手も、そのまま肘下から離さずに連動して引いてくる。

腰を後方へ引きつつ回しながら、図の姿勢となる。この腰の動作は、両手の動作と連動して行う。つまり、腰を引きつつ回しながら、両手も身体のそばまで引く、ということ。

実戦アドバイス:図6の動作の意味

腰の引きと手の引きは連動して同時に行われる。そのようにすることで、大きな力による攻撃を横方向へと受け流すことができる。

腰は『引く』をしながら回すのであって、ただ回すのではない。股を畳むように行う(動画参照)。

単換掌動作解説
図7

推磨式の姿勢へ。

顔前の手を円の中心へ推し出す。肘下の手もそのまま連動して押し出す。肘下に添えて胸付近を守る。

実戦アドバイス:推し出す時の意識

顔前の手を円の中心に向かって推し出す際は、推し出しながらも逆に引っ張られているような感じで行う。そのように意識することで、手の貼りを感じやすい。

単換掌動作解説
図8

前足をショウ泥歩で一歩前に出す。

実戦アドバイス:前足先行の八卦掌

八卦掌の多くの門派では、型の際、ショウ泥歩で前足を前に一歩滑り出して始動する。散手(散打)や組手では、前足をわずか少しでも先に動かした方が、動作の波に乗りやすくなる。

その理由で先に前足から動かすかは不明であるが、前足先行で動くことは可能にしておいた方がいい。

単換掌動作解説
図9

反対まわり(時計回り)の走圏へ。

実戦アドバイス:前足先行の八卦掌

時計回りの時と同じ歩数を歩いてから単換掌の動作に入ること。このことは八卦掌の練習においては重要なことである。

老八掌に限らず、様々な場面で、円を描きながら攻撃することが八卦掌では多い。その時、片方回りばかり練習していて反対側回りをおろそかにしていると、自由闊達な動きが制限され、実戦の場において遅れをとってしまう。

老八掌・単換掌の滑歩練習

滑歩の練習では、ゆっくりでもいいので、動作が途切れないように練習することが大切である。

滑らかな歩法と上半身と下半身の動作の連動、各技において緩急をメリハリよく付けるのではなく、意識を通わせた状態で一定速度を保ちながら動作を進めていく。

つまり、動作は大きく、滑らかに、分かりやすく、一定速度で行う。熟練してもこのように練習する。時折やや早めの動きで練習もすると、早い動きに慣れることができ技術上達に貢献する。早く動く際も、「動作は大きく、滑らかに、分かりやすく、一定速度で」は守ること。

実戦八卦掌をより深く学んでみたい方へ。代表・水野より。

代表・水野の写真

順勢掌の解説はどうでしたでしょうか?

八卦掌を学んでみたいけど、家の近くに指導者がいない・・・護身術として、実戦的な中国拳法を学んでみたい・・・。大切な人を守るために強くなりたい・・。

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一般参加可練習会の詳しいページ入口

参考文献

李子鳴 2001 『梁派八卦掌(老八掌)』 人民体育出版社 

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