トップページ八卦三十六歌・八卦四十八法から学ぶ清朝末式八卦掌戦闘理論>八卦三十六歌訣21~攻撃に固執しない去り打ちと翻身旋理

三十六歌訣21|「当てる」に固執しない去り打ちと翻身旋理

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「八卦掌三十六歌(三十六歌訣):歌二十一」の和訳

用到极处需转身、脱身化影不留痕。

yòng dào jí chù xū zhuǎn shēn 、tuō shēn huà yǐng bù liú hén。

ひとつの技における最後において、同時に身を翻すことである。身体を敵の目の前より引き抜くことで、我の身体は影の如く消え、痕跡を残さない。

如何变化端在步、出入进退腰先伸。

rú hé biàn huà duān zài bù 、chū rù jìn tuì yāo xiān shēn 。

いかなる変化のはじめにも、まず歩法が存在する。出る・入る・進む・退くも、まず股関節の畳みによる腰の無駄のない転回があって、そのうえで実行される。

「八卦掌三十六歌(三十六歌訣):歌二十一」の解説

用到极处需转身、脱身化影不留痕。

用到极处需转身

これは、昔日の八卦掌の大きな特徴である「眼の前の敵に固執しない」を指している「対多人数・対強者・対武器」の不利な状況における「生存」のための要訣となる。

多くの武術では、敵に我の攻撃を当て、かつその攻撃を大きな力で行うために、身体を敵の眼の前に残して打つ。

攻撃は当たりやすくなり、かつ自分の身体を敵の前において、安定させて打つため、この攻撃威力は大きくなる。

しかし同時に、我の身体が敵の前にとどまるということは、敵の攻撃にも当たりやすくなる、ということを意味する。

対多人数戦・対強者戦・対武器戦において、敵の間の前にとどまるこということは、一瞬で、自分の生命に危害が及ぶ攻撃を喰らうことにもつながる。

上記動画「老僧托鉢式単換掌」における転身時の動きを見て欲しい。老僧托鉢後、攻撃をする際は、すでに攻撃目標を見ていない。

我の攻撃(ここでは、敵の足を止めるためのけん制攻撃を指す)を出す際は、我の肩を入れながら打つことで、我の手が敵に到達する時にはすでに、我の身体は敵から引き離し行動を開始させることができ、攻撃があたらない代わりに、我の身体を敵の攻撃から守ることができる。

弊門では、「斜め後方スライド撤退戦」と呼んでいる。我の肩を入れて離脱の動作に入りながら打つから「撤退戦」と呼ぶのである。

脱身化影不留痕

「用到极处需转身」を実行した際、敵が我の動きに対し感じることを示している。

敵が接近してきたと同時に、我は鋭い翻身旋により後退スライドに入り、翻身旋で上半身の肩が入る動作に合わせて手が出て、手が出た時には、すでに敵から引き離し行動をする動作に入っている。

我のけん制攻撃に足を止められる、もしくは攻撃を避けるため顔を背けている間に、我は引き離し行動により、大きく離れている。よって「影のごとく消え」るかのように感じるのだ。

攻撃に固執し敵の前にとどまる時間が1秒でも長いと、我の身体は敵に正面を向いた状態で相対することになる。

ゆえに敵は、攻撃する我の姿をしっかりと目にとらえることができ、「影の如く消える」ように感じないうえに、攻撃面積の広い我の身体に力ののった攻撃をしてくる。

近代梁派八卦掌「老八掌」の順勢掌は、その別名を「脱身化影掌(だっしんかえいしょう)」ともいい、目まぐるしい仆歩穿掌の三連続で激しくダイナミックに動く。昔日の老八掌では、単換掌ののち、単招式の平穿掌を行って前敵に対し、その勢を利用して駆け抜ける型内容となっている。

如何变化端在步、出入进退腰先伸。

如何变化端在步「いかなる変化のはじめにも、まず歩法が存在する」

成立当時の八卦掌たる清朝末式八卦掌では、移動することで、すべての行動を行う。

すべての行動とは、「防御」「攻撃」である。他の拳法においては「移動」が独立した行動として含まれる。しかし清朝末式八卦掌では、移動こそが防御となり、攻撃となる。

よって各呼名も、「移動防御」「移動攻撃」となる。

敵の居ない場所へ移動することで防御となり、振り向きざま、目のまえに立ちはだかった敵にスライド回避で移動しながら手を出すことで、攻撃となる。

清朝末式八卦掌を知らない人間は、斜め後方スライドや前敵スライド回避、もしくは旋回移動を、「逃げている」ととらえる。それが的外れであるのがおわかりだろう。

そもそも昔日の対刃物・対多人数が想定された武術では、移動は、防御と攻撃の中に含まれる土台的な技術であった。

それら昔日武術に対し、八卦掌は「一定時間の生存」を実現するために、攻撃すら、敵とぶつからない方向へ移動しながら行う技術体系とした。それゆえに、宦官や女官でも護身技法として使用できる武術となったのである。

つまり、まず移動することで、その移動が結果的に防御となり攻撃となるため、戦いの初めには必ず、こちらから移動しはじめて勢を発出させ、勢を利用した移動防御・移動攻撃を展開し、生存を図るのである。

出入进退腰先伸「出る・入る・進む・退く(ひく)も、まず股関節の畳みによる腰の無駄のない転回があって、そのうえで実行される」

弊門伝承八卦掌たる原初八卦掌「清朝末式八卦掌」では、推磨式基本功における股関節の畳みによる後方転身のことを、「翻身旋(ほんしんせん)と呼んでいる。

翻身旋こそ、原初八卦掌の最重要技法である。原初八卦掌の命「勢」を維持するための要となるからである。

翻身旋の動作

この歌訣において、こう読んでみるとよい。「敵の攻撃射程圏内から出る・敵に対する我の攻撃軌道に沿って入る・敵のいない場所へ進む・敵の眼の前から退く」と。

おおよそ対多人数戦においては、その流れに一定のパターンがある。

緒戦(戦いの初め)において、我は敵の居ない場所へ移動する。つまり「進む」である。

敵の居ない場所へ移動すれば、敵はおのずと、我に対して近付いてくる。敵の猛接近である。この時の対処法の最も基本的で最も重要な技法が、単換掌である。例えば、その単換掌を用いて、敵の眼の前から斜め後方へとスライドして回避する。それが「退く」となる。

斜め後方へとスライドする撤退戦一回だけでは、おおよそ敵を振り切ることができない。そこでその敵の攻撃射程圏内から翻身拍打等の身体ごと使う技をもって、射程圏内から「出る」のである。

後方敵から出た先、つまり振り返った先で、また別の敵が待ち構えているかもしれない。その際は、我の描く攻撃軌道・・・具体的には「スライドして回避しながらの攻撃」によって「入る」を行う。

その後は再び、回避ののち「出る」→「進む」へとつながり、対多人数戦をこなしていくのである。

これら「出る・入る・進む・退く(ひく)」のうち、特に「出る」「退く」は、翻身旋の術理をもって急速に身体をスライドさせ敵から身を引く。

その引きの動作で移動速度が速まった状態で、「進む」「入る」へとつなげていく。

弱者生存の護衛護身武術を極めたい方へ~清王朝末期頃のままの八卦掌「清朝末式八卦掌」を国内で唯一伝える水野先生の道場「八卦掌水式門」入門方法

1.八卦掌水式門~清朝末期成立当時の原初スタイル八卦掌「清朝末式八卦掌」を国内で唯一指導する稀代の八卦掌家・水野先生の道場

八卦掌水式門代表・水野の写真
八卦掌水式門代表・水野義人先生

八卦掌水式門で八卦掌第7世を掌継させていただいた、掌継人のsと申します(先生の指示で仮称とさせていただきます)。掌継門人の一人として、八卦掌水式門の紹介をしたいと思います。

石川県・遠隔地門下生

八卦掌水式門は、清朝末期成立当時のままの原初スタイルの八卦掌「清朝末式八卦掌」を国内で唯一伝える八卦掌専門道場です。「単換掌の術理(単換掌理)」による「弱者使用前提」・「生存第一」の技術体系からぶれず、成立当時の目的を一心に貫く伝統門です。

八卦掌第6世の水野先生の伝える八卦掌は、強者使用前提・対一人・対試合想定の近代格闘術的八卦掌が主流となっている現代において、対多人数移動遊撃戦による弱者使用前提の撤退戦を貫いた極めて異色の存在となっています。

先生の伝える八卦掌の最大の特徴は、「単換掌の術理(水式門で先生は、「単換掌理・たんかんしょうり」と略して指導しています)」に徹している点です。

「単換掌の術理」とは、敵と接触を極力さけ、敵の力とぶつからない斜め後方へスライド移動しながら対敵対応をする、「相手次第」を排し「自分次第」にシフトした術理です。

間合いを取り、敵と力がぶつからない場所へ移動しながら「去り打ち」することを正当な戦法としているため、女性やお子さん・お年を召した方にとって極めて現実的な護身術となっています(※よって水式門では、私を含め、女性の修了者さんが多いです)。

単換掌の術理を理解するには、修行の初期段階に、術理に熟練した指導者による対面での練習を通して対敵イメージをしっかりと構築することが必要不可欠、だと先生は言います。

『八卦掌は「勢(せい)」が命の武術。前に向かってひたすら進み続けることで勢を維持せよ。後ろ敵は勢があれば追いつけない。横敵には単換掌の術理・斜め後方スライドで対応せよ。電撃奇襲をすることで、守るべき人に手を出させない、囮(おとり)護衛による中国産護衛護身武術なんだ』は先生の「口癖」化した説明ですね。

相手の侵入してくる角度や強度、そして敵動作に対する自分の身体の使い方を、先生の技を受け、または先生を試し打ちをしながら自ら身体を動かして学んでいきます。 先生は、「私の技を受けるのが最も上達する近道となる。しっかりと見てイメージを作り、独り練習の際、そのイメージを真似するんだぞ。」と語り、常に相手になってくれます。 それは初心者には果たせない役割。水式門では、先生はいつでも技を示してくれます。相手もしてくれるし、新しい技を指導するとき、使い方もしっかりと見せてくれるから、一人の練習の時でも、イメージが残るのです。

よって最初から全く一人で行うことは、リアルな敵のイメージが分からない点から、大変難しいものとなります。この問題は、私がこの場で、先生の指導を受けたほうがといいと強くすすめる理由となっています。

私も石川県在住時は遠隔地門下生でした。先生が富山に来たときは、集中的に相手になってもらいました。石川県という遠くであっても、先生の教え方のおかげで、ブレずにここまで来ることができました。

単換掌の術理に基づいた弱者生存第一の八卦掌を指導する八卦掌の教室は、日本国内では水式門だけです(それか、公にしていません)。

弱者使用前提がゆえの現実的方法で自分を守る武術に興味がある方。力任せの攻撃にも負けない護身術や八卦掌を極めたいと思う方は、水式門の扉を叩いてください。水式門なら、弱者が生き残る可能性を生じさせる八卦掌中核技術を、明快に学ぶことができます

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2.八卦掌水式門は、仮入門制の有る純然たる「伝統門」道場

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八卦掌水式門代表・水野義人先生

八卦掌水式門は、代表である水野先生が、八卦掌第5世(梁派八卦掌第4世伝人)である師より指導許可を受けて門を開いた、純然たる「伝統門」です。それゆえ、入門資格を満たしているかを判断する仮入門制(仮入門期間中の人柄・態度を見て本入門を判断する制度)を、入門希望者すべての方に例外なく適用しています。もちろん私も仮入門期間を経て本入門しました。

水野先生が指導する八卦掌は、綺麗ごとのない護衛護身武術。一部に当然殺傷技法が伝えられ、昔の中国拳法と同じく実戦色が強い八卦掌。誰それ構わず指導することはいたしません。

特に先生は、拳法を始めた動機も真剣。他者への思いやりに欠ける人間に伝えてしまい、それで人が傷つけられてしまう事態を招くことを、心から心配しています。

よって各科に掲載された「入門資格」を満たした人間だと判断した場合にのみ、先生は本入門を認め、受け継いだ技法をお伝えしています。「八卦掌の伝統門として、門が負うべき当然の義務と配慮」。これも先生が常に話す口癖ですね。

水式門には『弱者生存の理で貫かれた護衛護身術「八卦掌」を日本全国各所に広め、誰もが、大切な人・自分を守る技術を学ぶことができる環境を創る』という揺るぎない理念があります。

先ほども触れたように、他者への思いやりに欠ける人間に伝えてしまうことは、技法が濫用され第三者が傷つく事態を招き、理念実現に真っ向から反する結果を生んでしまいます。

水野先生は、門入口を無条件に開放して指導し門を大きくすることより、たとえ仮入門制を設けて応募を敬遠されたとしても、他者への思いやりに欠ける人間に伝えてしまう事態を避けることを重視しています。

ここまで書くと、なかなか入ることのできない難しい道場だと思うかもしれませんが、そんなことはありません。仮入門制はありますが、一般的な常識と礼節、思いやりがあれば、心配する必要は全くありません

指導を受けてみれば分かるのですが、先生はいつも、門下生のことを考え、熱心に指導してくれ、怒鳴ったりもなく、笑顔です。安心してください(無礼な態度や乱暴なふるまいには、ベテラン・初心者関係なく厳しいですが)。

仮入門期間を経て本入門となった正式門下生には、「誰もが大切な人、自分を守ることができる清朝末式八卦掌」の全てを、丁寧に、熱心に、真剣に教えてくれます

迷ってるあなた。水式門には、積み重ねるならば、弱者と言われる者でも高みに達することができるシンプルで明快な技術体系があります。先生の温かく熱心な指導で、「守る」強さを手にしてみませんか。

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