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八卦掌四十八法・十三:用法

対する相手のユニークさに、攻めあぐねた経験のある武術経験者は多いと思います。特に我より体格において有利な者(身長の高い者・太った重い者)への対処法は、普遍的な悩ましい問題です。

それは私も同じです。私自身、身長は168センチ、体重も63キロくらいと、決して体格がよいわけではないため、重たくて背の高い者と戦う方法は常に考えています。

八卦掌の戦闘理論ともいえる八卦掌四十八法・十三の「用法」では、自身の体格を基準として相手を分類し、その対処法をアドバイスしてくれています。

「十三・用法」で立ち向かう相手として想定しているのが

  • 自分より身長の高い者
  • 自分より身長の小さい者
  • 体格のよい恰幅のよい者
  • ひょろひょろとして痩せた者
  • 高齢で武術の心の無い者(もしくは練習量の少ない者)

の5タイプです。

「おおまかすぎる分類ではないか」と思う方もおられるかもしれませんが、余計なことを考える暇のない実戦では、この分類で対処するだけでも十分です(これ以上細かい分類にこだわっている暇もない)。この5タイプの分類に沿って、八卦掌の指導者でもある管理人が、実戦経験・組手や散手における経験も踏まえて想像しやすい説明をしていきます。

具体的には・・・

  • 自分より身長の高い者への攻撃の仕方
  • 自分より身長の低い者への攻撃の仕方
  • 恰幅のよい者への対処法
  • 痩せて身長の高い者の制し方
  • 歳をとって武術経験のない(もしくは練習量の少ない)者への対処法

この5点を説明していきます。

このページを一読し、必要に応じてあなたのスタイルの参考にしてください。おおまかな対処法の軸となり得るでしょう。

「八卦掌四十八法・十三:用法」の和訳

「高打矮兮矮打高、斜打胖兮不须摇。」

高(gāo) 打(dǎ) 矮(ǎi) 兮(xī) 矮(ǎi) 打(dǎ) 高(gāo) 、斜(xié) 打(dǎ) 胖(pàng) 兮(xī) 不(bù) 须(xū) 摇(yáo) 。

 「身長の高い者に対しては、その者の低い部分を攻撃し、身長の低い者に対しては、その者の高い部分を攻撃する。恰幅のよい太った者は側面からの斜打攻撃で臨み、重い身体に絡んで揺さぶったりするなどをしない。」

「若遇瘦长凭捋带、年迈无功上下瞧。」

若(ruò) 遇(yù) 瘦(shòu) 长(zhǎng) 凭(píng) 捋(lǚ) 带(dài) 、年(nián) 迈(mài) 无(wú) 功(gōng) 上(shàng) 下(xià) 瞧(qiáo) 。

「もし痩せて身長の長い者を相手にするならば、その者をつかんで寄りかかり(投げ技や引き回し技などで)制する。歳を重ね武術経験も無い、練習量も少ない者に対しては、相手の身体全体が見える位置において、身体全体をじっと見据えてにらみつける。」

※各文字のピンインを示しました。皆さんなりの解釈をする際にご利用ください。

「八卦掌四十八法・十三:用法」の解説

「高打矮兮矮打高、斜打胖兮不须摇。」解説

まず前半部分の訣では、背の高い者、背の低い者、恰幅のよい横幅の大きい者の3タイプへの対処法が説明されています。

自分より背の高い者に対する対処法

背の高い者とは、自分よりも背の高い者であります。その者に対する攻撃は、低い部分を攻撃せよ。具体的には、腹部、横腹部分、腰、脚の膝関節周り、足首周辺、そして足、となります。

身体の低い部分に点在する急所は、そのほとんどが致残穴であり死穴ではないため、その攻撃だけで倒すものではありません。相手の動きを止める目的で攻撃します。動きを止めた後に、戦闘の継続が困難になるような攻撃へとつなげます。

低い攻撃で動きを止めた後~上方死穴急所への攻撃の流れは、日頃より練習で慣らしておきます。何も考えなくとも、間髪をいれず連続攻撃できないと、相手はすぐに動き出します。下方攻撃した手が引き始まると同時に次の攻撃が入る、とイメージしてください(引くと同時に次の攻撃が動き出す、のでは遅い)。

自分より背の低い者に対する対処法

背の低い者への攻撃ですが、その者の上部分・・・だからといってやみくもに顔面だけを打撃していても避けられることでしょう。打撃以外のアプローチを考えましょう。身体の高さではあなたの方があるのだから、上からのアプローチを積極的に試みます。

上から覆いかぶさるようにして相手の頭後方へと手を回して、相手の態勢を崩しつつ投げ技につなげます。柔道における大外刈りや、腰技(払い腰・跳ね腰)ような投げ技が、身体が接している場面では、流れを途切れさすこともなく、使いやすいでしょう。

相手の肩を上方から下方へと押して身体をねじらせながらもう片方の手で流れるように相手の顔面を踩打(押さえつけるように上からななめ下方へと拳や掌底で打ち押す打撃)します。

肩や腕をつかんで下方へと引き込む動作は、相手の身体バランスを一瞬で崩し得る有効なアプローチです。身長が低い相手には、重力も味方につけて思い切って引き下ろしてみます。

恰幅のよい横幅の大きい者への対処法

身体の大きい、恰幅のよい者は、概して重たい。よって、身体に絡んで投げ飛ばす、というような労力を要する攻撃は不向きです。側面からの斜打により、相手の機動力の低さを頼みに、削り打ちをしていきます。

古代ギリシャの都市国家テーベが見せた、斜形陣形における斜め打ちがごとくです。

正面から入るのではなく、少し横にずれながら打ち、最初の攻撃後は、転身と横移動で相手の動きの先を行き、転身ごとに平穿や穿掌にて相手の側面急所を狙い撃ちします。

相手がこちらの移動に反応し、向かってきたと同時に転身、反応できず虚となった相手の側面から身体の推進力とともに体当たりや掌底踩打で押し飛ばします。

「若遇瘦长凭捋带、年迈无功上下瞧。」解説

痩せて身長の高い者の対処法

带(dài)には「身につける」という意味の他に「付着する」という意味もあります。

痩せて身長の高い相手であれば、相手の体重が軽いのを活かして近接戦で相手の側面から相手の領域へと割って入り「付着」し、態勢を崩したところですかさず投げ技を仕掛けます。

「相手の領域」とは、相手が今まさに立っている場所・テリトリーであり、そこに割って入ることで、相手のバランスを崩します。そこまで入っていかないと、相手に付着することができません。

割って入る転身動作の典型例が、内転回身(相手に背を向けないで転身する動作)によって相手のくるぶし上部を踏みつけるように蹴りながら入っていく身法です。

そのように相手の領域に入っていくと、自然と我の身体が相手と衝突します。うまく相手の身体に接することができたなら、すかさず相手の身体を両手で掴んで、相手を我の腰に乗せて、そのまま地面に投げ落とします。

歳をとって武術経験のない(もしくは練習量の少ない)者の対処法

この場合、とにかく相手と距離を置くことです。これは、敵の攻撃を避ける、ということより、無駄な手合わせを避けるためです。

歳を重ねて、かつ練習量の少ない者、もしくは一般の高齢者は、こちらの変化攻撃に対応できません。そしてこちらから仕掛ける場合のファースト攻撃である進歩穿掌にも反応できません。

そのような相手に、穿掌(もしくは快歩による突進攻撃)を仕掛けても、こちらが加害者になるだけです。

距離を置きます。その距離は、相手の全体が見えるくらいまで。結構下がります。そうすると、相手の攻撃始動動作が丸見えとなります。歳を重ね、武術の功が無いか浅い相手なので、十分動作に反応できます。反応と言っても、相手が攻撃してこなければ、ただ身体を敵の方向に向き返せばいいだけです。

攻撃を仕掛けてきた相手に距離をとり続け対処することは、密着遊撃戦傾向のある八卦掌では一般的用法となっていません。しかし、このように言いがかりをつけてきた、武術動作を習ったことがない人間には、大胆に距離をとって、反応動作で相手の行動を制します。

弱者生存の護衛護身武術を極めたい方へ~清王朝末期頃のままの八卦掌「清朝末式八卦掌」を国内で唯一伝える水野先生の道場「八卦掌水式門」入門方法

1.八卦掌水式門~清朝末期成立当時の原初スタイル八卦掌「清朝末式八卦掌」を国内で唯一指導する稀代の八卦掌家・水野先生の道場

八卦掌水式門代表・水野の写真
八卦掌水式門代表・水野義人先生

八卦掌水式門で八卦掌第7世を掌継させていただいた、掌継人のsと申します(先生の指示で仮称とさせていただきます)。掌継門人の一人として、八卦掌水式門の紹介をしたいと思います。

石川県・遠隔地門下生

八卦掌水式門は、清朝末期成立当時のままの原初スタイルの八卦掌「清朝末式八卦掌」を国内で唯一伝える八卦掌専門道場です。「単換掌の術理(単換掌理)」による「弱者使用前提」・「生存第一」の技術体系からぶれず、成立当時の目的を一心に貫く伝統門です。

八卦掌第6世の水野先生の伝える八卦掌は、強者使用前提・対一人・対試合想定の近代格闘術的八卦掌が主流となっている現代において、対多人数移動遊撃戦による弱者使用前提の撤退戦を貫いた極めて異色の存在となっています。

先生の伝える八卦掌の最大の特徴は、「単換掌の術理(水式門で先生は、「単換掌理・たんかんしょうり」と略して指導しています)」に徹している点です。

「単換掌の術理」とは、敵と接触を極力さけ、敵の力とぶつからない斜め後方へスライド移動しながら対敵対応をする、「相手次第」を排し「自分次第」にシフトした術理です。

間合いを取り、敵と力がぶつからない場所へ移動しながら「去り打ち」することを正当な戦法としているため、女性やお子さん・お年を召した方にとって極めて現実的な護身術となっています(※よって水式門では、私を含め、女性の修了者さんが多いです)。

単換掌の術理を理解するには、修行の初期段階に、術理に熟練した指導者による対面での練習を通して対敵イメージをしっかりと構築することが必要不可欠、だと先生は言います。

『八卦掌は「勢(せい)」が命の武術。前に向かってひたすら進み続けることで勢を維持せよ。後ろ敵は勢があれば追いつけない。横敵には単換掌の術理・斜め後方スライドで対応せよ。電撃奇襲をすることで、守るべき人に手を出させない、囮(おとり)護衛による中国産護衛護身武術なんだ』は先生の「口癖」化した説明ですね。

相手の侵入してくる角度や強度、そして敵動作に対する自分の身体の使い方を、先生の技を受け、または先生を試し打ちをしながら自ら身体を動かして学んでいきます。 先生は、「私の技を受けるのが最も上達する近道となる。しっかりと見てイメージを作り、独り練習の際、そのイメージを真似するんだぞ。」と語り、常に相手になってくれます。 それは初心者には果たせない役割。水式門では、先生はいつでも技を示してくれます。相手もしてくれるし、新しい技を指導するとき、使い方もしっかりと見せてくれるから、一人の練習の時でも、イメージが残るのです。

よって最初から全く一人で行うことは、リアルな敵のイメージが分からない点から、大変難しいものとなります。この問題は、私がこの場で、先生の指導を受けたほうがといいと強くすすめる理由となっています。

私も石川県在住時は遠隔地門下生でした。先生が富山に来たときは、集中的に相手になってもらいました。石川県という遠くであっても、先生の教え方のおかげで、ブレずにここまで来ることができました。

単換掌の術理に基づいた弱者生存第一の八卦掌を指導する八卦掌の教室は、日本国内では水式門だけです(それか、公にしていません)。

弱者使用前提がゆえの現実的方法で自分を守る武術に興味がある方。力任せの攻撃にも負けない護身術や八卦掌を極めたいと思う方は、水式門の扉を叩いてください。水式門なら、弱者が生き残る可能性を生じさせる八卦掌中核技術を、明快に学ぶことができます

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2.八卦掌水式門は、仮入門制の有る純然たる「伝統門」道場

八卦掌水式門代表・水野の写真
八卦掌水式門代表・水野義人先生

八卦掌水式門は、代表である水野先生が、八卦掌第5世(梁派八卦掌第4世伝人)である師より指導許可を受けて門を開いた、純然たる「伝統門」です。それゆえ、入門資格を満たしているかを判断する仮入門制(仮入門期間中の人柄・態度を見て本入門を判断する制度)を、入門希望者すべての方に例外なく適用しています。もちろん私も仮入門期間を経て本入門しました。

水野先生が指導する八卦掌は、綺麗ごとのない護衛護身武術。一部に当然殺傷技法が伝えられ、昔の中国拳法と同じく実戦色が強い八卦掌。誰それ構わず指導することはいたしません。

特に先生は、拳法を始めた動機も真剣。他者への思いやりに欠ける人間に伝えてしまい、それで人が傷つけられてしまう事態を招くことを、心から心配しています。

よって各科に掲載された「入門資格」を満たした人間だと判断した場合にのみ、先生は本入門を認め、受け継いだ技法をお伝えしています。「八卦掌の伝統門として、門が負うべき当然の義務と配慮」。これも先生が常に話す口癖ですね。

水式門には『弱者生存の理で貫かれた護衛護身術「八卦掌」を日本全国各所に広め、誰もが、大切な人・自分を守る技術を学ぶことができる環境を創る』という揺るぎない理念があります。

先ほども触れたように、他者への思いやりに欠ける人間に伝えてしまうことは、技法が濫用され第三者が傷つく事態を招き、理念実現に真っ向から反する結果を生んでしまいます。

水野先生は、門入口を無条件に開放して指導し門を大きくすることより、たとえ仮入門制を設けて応募を敬遠されたとしても、他者への思いやりに欠ける人間に伝えてしまう事態を避けることを重視しています。

ここまで書くと、なかなか入ることのできない難しい道場だと思うかもしれませんが、そんなことはありません。仮入門制はありますが、一般的な常識と礼節、思いやりがあれば、心配する必要は全くありません

指導を受けてみれば分かるのですが、先生はいつも、門下生のことを考え、熱心に指導してくれ、怒鳴ったりもなく、笑顔です。安心してください(無礼な態度や乱暴なふるまいには、ベテラン・初心者関係なく厳しいですが)。

仮入門期間を経て本入門となった正式門下生には、「誰もが大切な人、自分を守ることができる清朝末式八卦掌」の全てを、丁寧に、熱心に、真剣に教えてくれます

迷ってるあなた。水式門には、積み重ねるならば、弱者と言われる者でも高みに達することができるシンプルで明快な技術体系があります。先生の温かく熱心な指導で、「守る」強さを手にしてみませんか。

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