八卦掌三十六歌・歌五
- 「八卦掌三十六歌・歌五」の和訳
- 「八卦掌三十六歌・歌五」の解説
- 「八卦掌三十六歌・歌五」の研究データ
- 弱者生存の護衛護身武術を極めたい方へ~清朝末式八卦掌を国内で唯一伝える水野先生の道場「八卦掌水式門」入門方法
「八卦掌三十六歌・歌五」の和訳の和訳
「步即转兮手亦随、后掌穿出前掌回。」
bù jí zhuǎn xī shǒu yì suí 、hòu zhǎng chuān chū qián zhǎng huí 。
「八卦掌の手技は、先に転じている歩法の動きにしたがうものである。後ろに控えている掌(穿掌の場合は、穿出した手の肘の下にそえられている掌)を穿で穿出すると同時に先に出している穿掌を引く。」
「去来来去无二致、要如弩箭离弦飞。」
qù lái lái qù wú èr zhì 、yào rú nǔ jiàn lí xián fēi 。
引くと出す、出すと引くは同時に行われ、それは2つの段階なく一気に行われるものである。ちょうど矢が弩弓の弦から放たれて飛んでいく際一気に素早く止まることなく飛んでいくかのごとくに。」
「八卦掌三十六歌・歌五」の解説
歌五は、穿掌をはじめとする八卦掌の各技について、穿掌を打つ時を例として動作要求について説明しています。
歩法の移動に追随して手技は出され、後につづく穿掌を出す際は、必ず前にすでに出している穿掌を、後発穿掌の穿出と同時に引け、と言っています。
この要求を理解するために、最もわかりやすい練習が、単繰手の「進歩穿掌」でしょう。進歩穿掌では、始動時の姿勢から前足を一歩踏みだし、後ろ足を前足を通り越して前に大きく出す際に、同時に後発穿掌を穿出します。
前穿と引く動作と、後穿を出す動作は、2ステップで行われるのではなく、1ステップで行われるように、と諭しています。
中国の古代から近世の戦争で使用された弩を例に、後発穿掌を打ち出す際の勢いとその過程が例えられています。弩を発する際は、目いっぱいため込まれた勢いが、放つことによって弦から一気に離れ飛んでいきます。歌五では、その時の一気直進の勢いが求められていると推察できます。
「步即转兮手亦随、后掌穿出前掌回。」について
「八卦掌の手技は、先に転じている歩法の動きにしたがうものである。後ろに控えている掌(穿掌の場合は、穿出した手の肘の下にそえられている掌)を穿で穿出すると同時に先に出している穿掌を引く。」
八卦掌の技が、歩法と連動して行われることを説明する歌訣の一つです。」
八卦掌は移動打ちをします。具体的にいうと、移動しながら打つ。転身しながら打つ。足を踏み出しながら打つ、のです。
ステップを刻みながらスキをうかがい打つ、ではなくて、完全に移動しながら打つのです。
「去来来去无二致、要如弩箭离弦飞。」について
「引くと出す、出すと引くは同時に行われ、それは2つの段階なく一気に行われるものである。ちょうど矢が弩弓の弦から放たれて飛んでいく際一気に素早く止まることなく飛んでいくかのごとくに。」
移動しながら打つ・・・これが意外と難しいのです。移動しながら、歩きながら・・・ですと、決まったスタイルで技を繰り出すことができません。
一般には、技を出す時、練習の末に得た、「最適の」状態で打つことができる態勢で、構えてスキを伺って、そして攻撃です。
遊撃戦(移動戦)の場合は、打つべき時が来た際や打った方がいい場合がいつ来るか不明で、かつ、いつも違っていて、打つ際の足の向きが日頃練習する場合と逆であっても打ち、その状況でもしっかりと移動する際の力を相手に伝える必要があるため、態勢の不備の考えがありません。
ただ、先行している歩法に追随して、技が出るだけです。その際、「ため」を作りません。歩の進行と平行して技が動き、歩のひとまずの着地と同時に技がひとまず終わって、終わると同時にながれるようにまた次の攻撃が歩とともに進みます。
一対一の戦いで例を挙げるなら、敵のすぐそばで流れるように攻撃を繰り返す、足の着いた誘導ミサイル。動く推進力は、ジェットエンジンではなく、歩法で動いている・・・そんな感じですね。
「八卦掌三十六歌・歌五」の歌訣・研究データ
歌訣中の各単語の意味
【连】(lian):連なる・つながる・連続する・引き続き・たて続き・~さえ・~すら・~もふくめて・~も加えて
【步(歩)】(bu):足・歩く(歩)】(bu):足・歩く
【必】(bi):必ず・きっと・~する必要がある・必ず~しなければならない
【三】(san):3・三つの
【费】(fei):費やす・使う・支出・費用・料金
【功夫】(gong fu):技量・腕前・中国武術・カンフー
【本】(ben):根・茎・物事の根本・もともと・元来・自分の・我が・現在の・本・ノート・元金
【从(従)】(cong):後についていく・つき従う・従属的な・服従する・従う・従事する・~から
【弯】(wan):湾曲している・曲がる・曲げる・折り曲げる・
【来】(lai):来る・やってくる・将来の・未来の・以来・(問題が)発生する・起きる・到来する・(ある動作を)する
【两手(両手)】(liang shou):両手・二つの手段
【变化(変 化)】(bian hua):変化
【随】(sui):後に付き従う・ついていく・従う・素直にいうことをきく・任せる・~のままにする
【歩】(bu):歩く・歩行する・歩幅・足取り・段階・順序・境遇・立場・歩幅で距離を測る
【开(開)】(kai):開ける・開く・広げる・広がる・(禁令や制限を)解く・沸騰する・沸く・切り開く・設立する・開設する・開く・開催する・操縦する・操作する・発射する・出動する・ほどける・裂ける・(項目別に)書く・書き出す・値段をつける・支払う
【避】(bi):退ける・防ぐ・避ける
【不】(bu):~でない
弱者生存の護衛護身武術を極めたい方へ~清王朝末期頃のままの八卦掌「清朝末式八卦掌」を国内で唯一伝える水野先生の道場「八卦掌水式門」入門方法
1.八卦掌水式門~清朝末期成立当時の原初スタイル八卦掌「清朝末式八卦掌」を国内で唯一指導する稀代の八卦掌家・水野先生の道場
八卦掌水式門で八卦掌第7世を掌継させていただいた、掌継人のsと申します(先生の指示で仮称とさせていただきます)。掌継門人の一人として、八卦掌水式門の紹介をしたいと思います。
八卦掌水式門は、清朝末期成立当時のままの原初スタイルの八卦掌「清朝末式八卦掌」を国内で唯一伝える八卦掌専門道場です。「単換掌の術理(単換掌理)」による「弱者使用前提」・「生存第一」の技術体系からぶれず、成立当時の目的を一心に貫く伝統門です。
八卦掌第6世の水野先生の伝える八卦掌は、強者使用前提・対一人・対試合想定の近代格闘術的八卦掌が主流となっている現代において、対多人数移動遊撃戦による弱者使用前提の撤退戦を貫いた極めて異色の存在となっています。
先生の伝える八卦掌の最大の特徴は、「単換掌の術理(水式門で先生は、「単換掌理・たんかんしょうり」と略して指導しています)」に徹している点です。
「単換掌の術理」とは、敵と接触を極力さけ、敵の力とぶつからない斜め後方へスライド移動しながら対敵対応をする、「相手次第」を排し「自分次第」にシフトした術理です。
間合いを取り、敵と力がぶつからない場所へ移動しながら「去り打ち」することを正当な戦法としているため、女性やお子さん・お年を召した方にとって極めて現実的な護身術となっています(※よって水式門では、私を含め、女性の修了者さんが多いです)。
単換掌の術理を理解するには、修行の初期段階に、術理に熟練した指導者による対面での練習を通して対敵イメージをしっかりと構築することが必要不可欠、だと先生は言います。
『八卦掌は「勢(せい)」が命の武術。前に向かってひたすら進み続けることで勢を維持せよ。後ろ敵は勢があれば追いつけない。横敵には単換掌の術理・斜め後方スライドで対応せよ。電撃奇襲をすることで、守るべき人に手を出させない、囮(おとり)護衛による中国産護衛護身武術なんだ』は先生の「口癖」化した説明ですね。
相手の侵入してくる角度や強度、そして敵動作に対する自分の身体の使い方を、先生の技を受け、または先生を試し打ちをしながら自ら身体を動かして学んでいきます。 先生は、「私の技を受けるのが最も上達する近道となる。しっかりと見てイメージを作り、独り練習の際、そのイメージを真似するんだぞ。」と語り、常に相手になってくれます。 それは初心者には果たせない役割。水式門では、先生はいつでも技を示してくれます。相手もしてくれるし、新しい技を指導するとき、使い方もしっかりと見せてくれるから、一人の練習の時でも、イメージが残るのです。
よって最初から全く一人で行うことは、リアルな敵のイメージが分からない点から、大変難しいものとなります。この問題は、私がこの場で、先生の指導を受けたほうがといいと強くすすめる理由となっています。
私も石川県在住時は遠隔地門下生でした。先生が富山に来たときは、集中的に相手になってもらいました。石川県という遠くであっても、先生の教え方のおかげで、ブレずにここまで来ることができました。
単換掌の術理に基づいた弱者生存第一の八卦掌を指導する八卦掌の教室は、日本国内では水式門だけです(それか、公にしていません)。
弱者使用前提がゆえの現実的方法で自分を守る武術に興味がある方。力任せの攻撃にも負けない護身術や八卦掌を極めたいと思う方は、水式門の扉を叩いてください。水式門なら、弱者が生き残る可能性を生じさせる八卦掌中核技術を、明快に学ぶことができます。
2.八卦掌水式門は、仮入門制の有る純然たる「伝統門」道場
八卦掌水式門は、代表である水野先生が、八卦掌第5世(梁派八卦掌第4世伝人)である師より指導許可を受けて門を開いた、純然たる「伝統門」です。それゆえ、入門資格を満たしているかを判断する仮入門制(仮入門期間中の人柄・態度を見て本入門を判断する制度)を、入門希望者すべての方に例外なく適用しています。もちろん私も仮入門期間を経て本入門しました。
水野先生が指導する八卦掌は、綺麗ごとのない護衛護身武術。一部に当然殺傷技法が伝えられ、昔の中国拳法と同じく実戦色が強い八卦掌。誰それ構わず指導することはいたしません。
特に先生は、拳法を始めた動機も真剣。他者への思いやりに欠ける人間に伝えてしまい、それで人が傷つけられてしまう事態を招くことを、心から心配しています。
よって各科に掲載された「入門資格」を満たした人間だと判断した場合にのみ、先生は本入門を認め、受け継いだ技法をお伝えしています。「八卦掌の伝統門として、門が負うべき当然の義務と配慮」。これも先生が常に話す口癖ですね。
水式門には『弱者生存の理で貫かれた護衛護身術「八卦掌」を日本全国各所に広め、誰もが、大切な人・自分を守る技術を学ぶことができる環境を創る』という揺るぎない理念があります。
先ほども触れたように、他者への思いやりに欠ける人間に伝えてしまうことは、技法が濫用され第三者が傷つく事態を招き、理念実現に真っ向から反する結果を生んでしまいます。
水野先生は、門入口を無条件に開放して指導し門を大きくすることより、たとえ仮入門制を設けて応募を敬遠されたとしても、他者への思いやりに欠ける人間に伝えてしまう事態を避けることを重視しています。
ここまで書くと、なかなか入ることのできない難しい道場だと思うかもしれませんが、そんなことはありません。仮入門制はありますが、一般的な常識と礼節、思いやりがあれば、心配する必要は全くありません。
指導を受けてみれば分かるのですが、先生はいつも、門下生のことを考え、熱心に指導してくれ、怒鳴ったりもなく、笑顔です。安心してください(無礼な態度や乱暴なふるまいには、ベテラン・初心者関係なく厳しいですが)。
仮入門期間を経て本入門となった正式門下生には、「誰もが大切な人、自分を守ることができる清朝末式八卦掌」の全てを、丁寧に、熱心に、真剣に教えてくれます。
迷ってるあなた。水式門には、積み重ねるならば、弱者と言われる者でも高みに達することができるシンプルで明快な技術体系があります。先生の温かく熱心な指導で、「守る」強さを手にしてみませんか。