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教程1:遊撃戦で戦うことができるための歩法を学ぶ

いじめ加害者からのパンチや蹴りなどの物理的な暴力を身に受けないための基本は、無駄・迷いのない歩法(足の運用の仕方)を知り、無意識にできるくらいまで繰り返し練習し、実際の場面で動き続けることである。つまり、攻撃も防御も移動しながら行う。それは、移動が防御になり、移動が攻撃になる状態にしていくことでもある。

移動しながら攻防することを一般的に「遊撃戦」というが、八卦掌はまさに遊撃戦の拳法である。この教程では、遊撃戦を行うための土台となる歩法と、その習得方法について教えていこう。この教程で教える歩法は、以下のものである。

  • ハイ歩・コウ歩・退歩(八卦掌)
  • コン歩(形意拳)
  • 快歩(多くの中国拳法※名前は流派ごとに異なる)

八卦掌の修行過程の中で学ぶ歩法は上記のものだけではない。しかし、いじめは今まさに行われており、習得するには速さが必要となる。そこで、頻繁に使う上記のものだけを伝授する。他の拳法における歩法で、身に着けておきたい歩法である、形意拳のコン歩についても説明する。

八卦掌の技術を総合的に底上げする最重要基本である「走圏」については、次の教程で教える予定である。いじめに対抗するために八卦掌を選んだ君は、是非とも取り組んでもらいたい。

同じ動作を繰り返し練習することは地道で辛いものがあるが、歩法を習得できれば、君は攻撃を受けにくくなるだろう。その嬉しい変化を味わうためにも、日々を積み重ねていこう。

遊撃戦を可能にするための基本歩法とは?

練習してほしい歩法は6つ

 遊撃戦を特徴とする八卦掌では、すばやい移動を可能にする歩き方(歩の進め方)が大切な基本として伝承されている。その中で最重要のものは、ハイ歩・コウ歩・ショウ泥歩である。

 ハイ歩・コウ歩は、主に特定の単式練習(一つの技だけで構成されている型の反復練習)である「単繰手」で学ぶ。ショウ泥歩は、八卦掌の最重要基本であり、昔は秘伝でもあった「走圏」に取り組むことで習得する。

 改めて、ここで学習する予定の歩法を以下に挙げておこう。八卦掌でない歩法も含まれている。

  • ハイ歩(八卦掌)
  • コウ歩(八卦掌)
  • 退歩(八卦掌をはじめとする多くの拳法)
  • コン歩(形意拳)
  • 快歩(多くの中国拳法※名前は流派ごとに異なるので、ここでは「快歩」とする)
  • ショウ泥歩(八卦掌※「走圏」という最重要基本練習で学ぶ)

 退歩・コン歩・快歩も、八卦掌をはじめとする多くの流派で、似たような歩法が存在している。また、ハイ歩・コウ歩・ショウ泥歩も、似たようなものが他の流派で伝承されている。よって、「○○拳法の歩法だ」とこだわる必要もないであろう。

 八卦掌の修行過程においては、基本学習時に練習する歩法は、ショウ泥歩・コウ歩・ハイ歩がほとんどである。よってこれらの歩法が自然・無意識に出るようになるまで練習する。八卦掌の修行者は、組手(対人で自由に技を繰り出しあう試合形式の練習。中国拳法では散打という。)においてもこの歩法をベースに戦うことになるだろう。

歩法の具体的な練習方法

 八卦掌の戦闘スタイルを念頭においた基本歩法の練習の仕方を示す。

(1)まず、ハイ歩・コウ歩・退歩・コン歩・快歩の動作を個別に覚える。動作を覚えたら、それを繰り返し練習する。移動の速さにこだわることはない。正確に行うことを心掛ける。

(2)各歩法の歩の進め方を覚えたら、次はそれらを連動した動作の中で総合的に練習する。これらの歩法をどのように使うか?実戦における歩法の連動性の理解する助けとなる。

(3)少しづつ実戦的な練習へと移行していこう。次は目標物を前に置き、敵の側面に入り込むつもりで歩法の練習を繰り返す。

(4)敵の側面に入るイメージ練習を積み重ねてある程度スムーズにできるようになったら、ガードと敵へのプレッシャーの意味を持った「構え」の姿勢を作り、その状態で歩法の練習を重ねる。ここも正確に。敵の攻撃を手でさばくのではなく、身体の移動で大きくさばき、補助的に手でガードする、というイメージで練習する。

(5)移動の速度、力強さ、安定感を得るために、拳法の練習期間中は毎日欠かさず一定時間、「走圏」に取り組む。その練習が、スムーズな身体移動、手の強さ、速さをもたらしてくれる。

歩法教授(1):ハイ歩・コウ歩・退歩・コン歩~なぜ必要なのか。どのようにやるか。

 ハイ歩・コウ歩・退歩は、八卦掌の技法を用いて敵と攻防を繰り広げる際に、それらがなくては動けないくらい、ごく自然に、無意識のうちに多用される歩法である。コン歩は形意拳の代表的歩法だが、攻防時の安定性を得るために身に着けておきたい歩法だ。よってここでは、各歩法を分解して、しっかりと練習していく。

 先ほども触れたが、この3歩法を滑らかに無意識に繰り出せるようにするためには、教程2で教授する「走圏」の練習が必要である。この教程で各歩法の動作を覚え練習しつつ、走圏をしっかりと行って、身体移動の精度と速度を上げていこう。

 では各歩法の実技を動画を交えて説明する。説明文と動画を見て、意味を理解しながら繰り返し練習してほしい。歩法の練習には、後述する連動練習が効果的であるが、一個一個の歩法の仕方と意味を知っておくことは欠かせない。その知識が、連動練習を効果的なものとする。

ハイ歩

 八卦掌における代表的な歩法となる。移動時の方向転換、敵前で体の向き変換、敵の側面に入る時、敵のスネや膝を攻撃する場合などで用いる。八卦掌の口伝では、「コウ歩・ハイ歩なくして方向転換するなかれ」という意味の教えが伝わっているくらい、ハイ歩とコウ歩は重要な歩法と位置づけられている。

 通常、そのコウ歩とともに用いられる。ハイ歩で後方の敵方向へ体の向きを変え、後ろにある足をハイ歩した足の前方までスッと一気に移動させながら攻撃する、という形態がよく使われる。

 また、前の足を体側に引き寄せる動作は、相手の攻撃を足の足背部で受ける意味を持つ。また、後方に引き上げた足を前方に下ろす動作は、相手の足を蹴る、スネ部分をこする、という攻撃としての意味を持つ。

 このように、移動・防御・攻撃を含んだハイ歩は、単純な動作ながらも、実に多くの意味を持つ。

 ハイ歩の練習をしよう。まず両足を動画のように固定する。そのうえで、顔が向いている方の足を逆ハの字に引き上げ、そのまま下ろす。下ろす際は普通の速度で下ろす。

 実戦においては、相手の足スネをこする場合や、相手の足指を踏みつける際は思い切り下ろす。しかし思い切り下ろす動作は、そこで滑らかな移動を妨げることもあるゆえ、すっと普通におろすのが基本となる。

コウ歩

 コウ歩の説明をしよう。まず動画を見てほしい。後方の足を、前足の前に移動させる。その時、足で何かを引っかけるかのように孤を描きながら前に送る。

 「コウ歩」の「コウ」とは、「かける・とめる」という意味を持つ。実戦においては、相手の足(通常は相手の前足が多い)を払ったり、相手の足のかかとの後ろに移動させて、手で押しつつ足を払ったりする。

 「コウ」には「かぶせる・ふたをする」という意味もある。攻防において、自分の前足の前方にコウ歩で後ろ足を送りかぶせたり、相手の前足側面にスッとコウ歩で脚を送り込んで、回り込んだりする。

 前足をじっと止めた状態からコウ歩をするのもいいが、八卦掌は遊撃戦の拳法であるため、歩く中でコウ歩を練習したほうがいい。動画では、前足が小さくハイ歩をしてから、後ろ足をコウ歩で前方へ移動させている。まずはこの動作を練習してみよう。

 コウ歩をゆっくりと練習して、ハイ歩・コウ歩の動作を覚えたら、次はハイ歩→コウ歩→ハイ歩・・・のループ練習をして、動作の習得と、コウ歩ハイ歩が連動する滑らかな足さばきを学ぶ。

退歩(体の向きを変えないで後方に移動する場合の退歩・敵が一人の場合に使用)

 退歩には大きく分けるならば2つある。ここで説明する、敵が一人の場合で相手を見ながら後ろに下がる場合の退歩。もう一つは、後方の敵方向へ振り向きながら下がる(移動する)退歩である。

 体の向きを変えないで後ろに移動する場合の退歩では、下げる足のつま先の向きは当然変えない。下げる足を水平に浮かせ、ホバークラフトのように地面に平行に移動させ、身体もそれについていく。

 足を水平に上げ、地面に平行に移動させる動作は、「平起平落(へいきへいらく)」と中国拳法の世界で呼ばれる重要な動作要訣である。これは教程2の「走圏」で詳しく説明しよう。

退歩(体の向き変えながら後方に移動する場合の退歩・敵が複数人の場合に使用)

 複数人を相手にする場合、眼前の敵に一手・二手・三手・・・と時間をかけていると、後方から迫った敵に背中・側面を攻撃されることになる。

 かといって眼前の敵に一手のみ攻撃をしてそのまま後方に振り返るならば、眼前の敵に対するプレッシャーが低すぎるゆえに、後方に振り返った直後に(眼前の敵に)背中を攻撃される事態に陥る。

 よって、眼前の敵に対して、二手(場合によっては三手)を撃ってけん制しながら後方へ移動しつつ後方への敵に向かう準備をすることが有効となる。その場合にこの退歩は多用する。

 後方へと足を進めながら、その足のつま先を後方側へ転回させ、その動きに連動して上半身も後方側へ転回させる。そうすれば、転回させながら後方の敵への攻撃も可能となり、無駄もない。後方の敵は奇襲を喰らう形になる。

 相手が多人数の時は、この歩法を多用する。この歩法がないと、戦闘を組み立てられないくらいである。

コン歩

コン歩を習得することがなぜ必要なのか?理由と技術

 コン歩は、形意拳を代表する歩法の一つである。形意拳の大きな特徴ともなっている。

 動画を見てもらいたい。前足を前に進めると同時に、後ろ足もすかさずついていき、歩を進める前の姿勢に戻る。本来の形意拳の修行であれば、「三体式」という姿勢を取り、その状態から歩を進めつつ上半身・手が動き、前足着地と同時に技が終り、そして前足着地とほぼ同時に後ろ足をコン歩で寄せて、一技が終了する。

 なぜこのような歩法をするのかというと、技を打ち終った直後にコン歩で脚を寄せてないと、前足重心の不安定な状態をもって相手に吹っ飛ばされてしまったり、打ち込んだ手をつかまれて引っ張られ、重心を狂わされてしまうことなどがあるからだ。

 また、技を素早く連続して打ち続けるためにコン歩で後ろ足を前足に寄せる、という意味も持つ。コン歩しないで連続して打ち続けることもできるが、その場に居着きやすくなり、相手の攻撃の的となる可能性がある。また、前足重心の状態ではそれ以上の踏み込みは労力を使うため、身体の推進力を使った攻撃がしにくくなる。

コン歩を練習する際は「三尖相照(さんせんそうしょう)」を心掛ける

 次の動画を見てほしい。正面からコン歩を演じた動画である。演者がコン歩をする前に、頭上から地面に向けて手を手刀で下ろしている。これは、「三尖相照(さんせんそうしょう)」という中国拳法の複数の流派で説かれる姿勢の要求事項を示している。

 鼻と膝頭(皿の部分)と前足のつま先が、上から振り下ろした一直線上にならんでいることを言う。動画を再度よく見てもらいたい。振り下ろしている手が描く一直線上に、鼻先・膝頭・前足つま先がある。

『三尖相照』を説明する写真

 形意拳では、全修業期間を通して「三体式站椿功(さんたいしきたんとうこう)」という姿勢を取って、この三尖相照を含めた様々な姿勢要求を満たすための練習をする。初心者は、この練習しかさせてもらえない場合もあるほどだ。

 「三尖相照」を守る意味は複数あるが、ここでは、股間の急所(金的)を守るため、と覚えておこう。金的は実際の格闘では攻撃しにくいが、当たると戦闘不能となり、致命的である。それはいじめにおける戦いでも同じことである。歩法による身体操作で相手の攻撃をやり過ごしていても、金的に一撃をくらったらそこでおしまいである。身体は止まり固定の的となり、集中攻撃を受けてしまう。

 三尖相照で常に膝を閉め、股間を守る意識を得ると、全方向に移動した際も、無意識に膝を閉めるようになる。移動しつつ重心の安定を図りつつ急所の防御をし、移動し続けることによって相手より優位な場所に立つのだ。

 コウ歩・ハイ歩・退歩とともに、このコン歩で得た移動しつつの防御の意識は大事にしたい。

歩法教授(2):歩法(ハイ歩・コウ歩・退歩・コン歩)の連動練習・基本編~正確な技術と足の運用方法を学ぶ

 連動練習の基本編である。八卦掌の歩法を習得するために必要なこととは何であろうか。それは、様々な歩法を組み合わせてステップを刻み続け、かつその動作が滑らかになるよう意識しつつ繰り返すことである。

 ある程度練習を積み重ねると、歩法の順序に決まりはなくなり、その時に応じたステップを刻むことができるようになる。そもそも八卦掌は、千変万化の拳法であるため、突き詰めると、型というものから離れ、自由に動くことになる(他の拳法でも同じ)。

 しかし初心者にいきなり「千変万化に自由に動け」と言ってもできるものではない。技術に習熟していない者にとって「自由に動け」はかえって難しい。

 そこで「基本の型」が役に立つ。歩法の練習にも複数の歩法の「基本の型」があるので、初心の段階では素直にそれらの型を練習する。練習することで、歩法のパターンを体で覚えることができる。ここでは、複数の型を示す。ここで教授するものは繰り返し練習し、考えずとも勝手に身体が動くくらいにまでなって欲しい。

 最初は動画を参考にして動作を真似て、その後は速度を上げずに滑らかにできるようにしていく。滑らかにできるようになったら速度を若干上げていく。時折、ゆっくりと練習し、正確な動作を確認する。

歩法の連動練習1:(ハイ歩→コウ歩→体の向きを変えないで後方に移動する場合の退歩→コン歩)

 動画を見てほしい。動画中の一連の動きを説明しよう。

 (1)ハイ歩:前足を腰に引き付けるつもりで引き上げつつ逆ハの字で上げ、そのまま下ろす。

 (2)コウ歩:後ろ足を前足の前にコウ歩で移動させる。前足に後ろ足をかぶせる(覆う)ようにサッと移動させる。

 (3)退歩:退歩で後方へ移動。

 (4)コン歩:退歩の足が着地したと同時に、前足を後方へ移動させ始めの姿勢に戻る。

歩法の連動練習2:(ハイ歩→コウ歩→体正面の向きを相手方向に反転させながら移動する退歩→コン歩)

 次は後方の敵に向きを変えながら退歩する連動練習である。多人数戦の練習をするうえで、基本中の基本となる動作である。

 (1)ハイ歩:前足を腰に引き付けるつもりで引き上げつつ逆ハの字で上げ、そのまま下ろす。

 (2)コウ歩:後ろ足を前足の前にコウ歩で移動させる。前足に後ろ足をかぶせる(覆う)ようにサッと移動させる。

 (3)退歩:後ろに下がる際、下がる方向側の足のつま先をハイ歩のように開きながら(ここでは足は引き上げない)後方へ移動させる。

 (4)コン歩:退歩の足が着地したと同時に、もう一方の足を、先に移動させた足の後ろにすかさず移動させる。

歩法の連動練習3:止まることなく滑らかに歩を刻む練習

 連動練習の仕上げをしよう。八卦掌の本来の姿に近づけるのである。八卦掌で戦う場合は、歩みを止めることがない。歩みが止まらないので、相手の側面や正面、背面を縦横無尽に行き来する。

 歩みを止めないのは、(1)我の身体が相手に絡(から)まれないため、(2)我が相手に絡みつくため、そして(3)複数いる敵の内の一人に必要以上に絡んで後方や側面から他の敵に攻撃されるのを防ぐため、である。

 動画を見てほしい。演武者は歩を止めないで、ハイ歩→コウ歩→退歩→ハイ歩→コウ歩→・・・・と連続して演じている。

 動画はある程度ゆっくり、かつハイ歩・コウ歩・退歩・コン歩の各歩法が分かりやすいように若干メリハリをつけて演じている。最初はこのような感じでよい。繰り返し粘り強く練習していると、意識せずともこの動きができるようになる。

歩法教授(3):歩法の連動練習・応用編~目標物を置いて敵の側面に回るイメージをつかむ

『目標物を立てて敵のイメージを作る』の説明画像

 目標物を目の前に置き、それを相手と見立てて、連動練習をする。これは、相手の側面に回り込むイメージをつかむいい練習である。

 実戦では、動画中の動作の速度を上げたとしても、簡単に側面になど回り込むことはできない。相手を中心に置き、その側面に歩を進めるならば、相手は移動した方向へ少し向きを変えるだけで、こちらの攻撃に対することができるからだ。

 しかし正面に居続ければ、必ず相手の集中攻撃を受け続けることになる。側面に移動すれば、そこに新たな可能性が生まれる。少なくとも、相手はこちらが移動した方向へ向きを変える必要が生じる。

 一回の側面への進歩で、相手の側面に回り込むことができることなど、滅多にない。連続して歩法でステップを刻み続けていくと、時に相手を崩しやすいポジションに位置取りをすることができる。

 目標物を置いてその側面に回り込む練習は、多くの拳法家が実践しているシンプルで効果的な練習法である。ここでいくつかの型を説明しよう。

ハイ歩→コウ歩→退歩

 まず最初に、ハイ歩で目標物の側面に足を踏み出す。

 間髪を入れず、コウ歩で前足の前に一気に出す。

 すかさず、後ろ足となった足を、斜め後方へ後退させる。

 斜め後方へ進めた足に追随するように、コウ歩で前に出していた足を退歩で下げた足に寄せる。以後数回繰り返す。

コウ歩→コン歩→退歩

 歩きつつの攻防(多人数戦などの場面)において、最も多く使われる連動動作である。連動練習の基礎ではあえて取り上げなかった。実に応用の効く即戦的な歩法であるため、目標物を眼の前にして練習した方が実際の攻防のイメージがつきやすいからである。

 この連動歩法は、ハイ歩で側面に回り込むよりも一般的に行いやすい。熟練すれば、コウ歩する足を進める方向や、コウ歩するときのつま先の入れ具合を調整し、大きく横に動いたり、相手の前で微妙に横に移動して痛撃を避けつつ、最短距離で相手の正中線上に打撃を加えることができる。

 この歩法に伴う技は数多くある。決まった型にこだわることなく、自分なりの使いやすい技を考え、それをひたすら練習するのも面白い(八卦掌はそもそも型にとらわれない千変万化の拳法である)。

 いきなり自分で技を作れ、といっても、拳法の経験のない君には難しいと思う。そこで、この連動歩法を用いた攻防の一例を挙げよう。

  • 我が相手に近づいていく。
  • 相手は構えて待ちかまえている。そして我が相手のパンチの射程距離に入ると、相手はかなり高い確率で我の顔めがけてパンチを入れてくる(組手でも実戦でも、相手は、ほぼ、利き手のパンチで顔に攻撃をしてきた)。
  • パンチが繰り出されると同時に、我はそれを掌にてはじく。外から内へはじく。はじくと同時に、もう一方の手で相手のパンチの手を外へはじく(盗手)。
  • 盗手すると同時に、コウ歩で相手の側面に歩を進めつつ、最初に相手のパンチをはじいた手で相手の顔面目掛けて掌を突き出す。
  • 突き出す動作と同じくして、コウ歩した足ではない足をコウ歩した足に寄せる。

 この例によると、相手が攻撃をしてきてからわずか1~2秒の間に、攻防は終了する。多人数戦において実に役立つ。いじめのような、相手が複数で来る場合に、序盤で頭数を減らすのに有効である。

 成功するかどうかは、相手の攻撃(パンチや蹴り)に無意識に我の身体が反応するかどうかにかかっている。それを実現するためには、目標物の前でひたすらこの単純な動作を繰り返すのがよい。目標物に、スポンジの突起物などをくくりつけ、相手のパンチに見立てて練習するのは実に効果的である。その方法について、別ページで説明したい。

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