1.写真と動画とイラストで理解する「単換掌」の動作
定歩では、各動作をしっかりと区切り、動作の過程の動きと各動作に対する要求事項をしっかりと意識ながら練習します。
円転時、歩幅は意識的に大きく取ります。回る円の内側に、下部分が少し埋まった大きな円球があり、その円球の側面をまたいで、反対側の円球側面へと移動するイメージです。
円を回る(敵を引き込む)
推磨掌の姿勢で円を回り、扣歩して転身動作に入る。
扣歩するタイミングは、「八歩」ではなく、回っている円の軌道の後方から追ってくるイメージの敵の側面に、転身して入り身ができる状況になったと思ったら。後述しますが、その入り身は、斜め後方へスライドしながら転身します。
※イメージの中で敵の攻撃をいなしながら歩く際の姿勢維持と力伝達は主に、遊歩発力(ゆうほはつりょく)を用いる。
よって、敵が円後方から迫ってくるという具体的イメージを持ちながら円を回ること(下図参照)で、遊歩発力にて態勢を維持し、敵を引き込んでいるイメージを湧かせながら練習することができます。
このイメージは、対人練習で互いに推磨式の姿勢で手を合わせ、歩くことで、テンションをかけた状態で体感することができます(下図参照)。弊門では必須の練習方法であり、単換掌の指導の際は、多くの時間をとって練習します。練習相手が居る場合は、是非とも挑戦してください。
老僧托鉢による転身動作(「単換掌理」の最重要ポイント※老僧托鉢が重要ではなく、転身の仕方が重要)
遊撃戦時における老僧托鉢による転身動作は
- (1)扣歩足着地
- (2)擺歩によって転身始動。上半身は、扣歩足の反対側の肩動かし、回身老僧托鉢式始動も始動する
- (3)肩に遅れて老僧托鉢の手が伸びると同時に擺歩も完了し、同時に反対側の肩が連動して入りその腕の手を老僧托鉢をした腕の肘下に添える
の動作の流れとなります。
「老僧托鉢」は、遊撃戦や一対一の戦いにおいて、敵と最初に接する際によく使われる。この姿勢で攻撃を受けることは慣れるまでは難しい。 しかしとっさに老僧托鉢の姿勢を採ることできるようになると、老僧托鉢後の姿勢は敵の意表を突き、動きを止めることもでき、かつ敵が出してきて手技攻撃の軌道をさえぎることになるため、我が身を攻撃から守ることにつながります。
(1)扣歩足着地による転身動作の始動
円転動作にて敵を我の斜め後方へ引き込むイメージで歩き、敵が斜め後方へ着き、かつ間合いが狭くなったとイメージしたら、円外側の足を扣歩します(写真8・9・10)。
円軌道上に対し、扣歩の角度を大きくして着地したため、両足の形が逆ハの字となり、足の内側・身体にに螺旋(ねじれ)のテンションがかかります。
滑歩練習では、円を周り敵を引き込むイメージをもって歩きながら、イメージ敵に追いつかれ手を出された(イメージの)時に、転身と斜め後方へのスライド半斜で老僧托鉢動作に入ります。しかし定歩練習では、各動作を覚える狙いが強いため、円転時の進歩の角度は通常のままで行い、イメージが出来たら扣歩の角度を大きくして転身動作に入ります。
扣歩するタイミングは、対人練習における経験の積み重ねでつかむことが一般的。しかし対人練習環境の無い方は、円転によって後方から迫る敵を追撃の慣性のなかにおとしめ、かつ追撃の手が届く直前、であります(図の太極円図参照)。
敵がつられて追撃をしている間に、追撃する立場として優勢(”陽”の状態)であった敵の身体に、追撃によって円軌道上を激しく移動することによる身体流の慣性がかかります。つまり「陰」の要素(慣性によって急な転身が出来ない状態)が生じ始めます。その状態で我が突如、扣歩→擺歩の順序で敵の円進軌道を離れ転身しはじめた瞬間、敵は急速な転換を迫られ、そこで慣性によるブレーキがかかります。我は手を差し出しながら移動し続けます。
この転身により敵は不意をつかれ、我の転身による方向転換による急激な変化に、照準をずらされ態勢を乱し追撃速度を大幅に落とすことになります(陰と陽の逆転)。
(2)擺歩によって転身始動。上半身は、扣歩足の反対側の肩動かし、回身老僧托鉢式始動も始動する
扣歩足着地と同時に、回身老僧托鉢式の指導開始。手を先行させるのではなく、肩からすべてを動かすイメージで行います(写真11)。
実戦における単換掌始動時、こちらも激しく(滑歩にて)移動をしているため、扣歩によって敵前回頭する際、我の身体に激しい慣性がかかり、遠心力で動作が止まります。そこで肩を先行させるイメージを意識することで、身体が止まり何もできない状態を極限まで短くし、遅れて老僧托托鉢の手が伸び、敵の手を抑えることにつながるのです。
転身の際に肩が先行する身法を用いた技は、、武器(刀)の技でよく見られます。重さと長さのある武器は、肩を先行させて振り始めないと、転身動作の速度に遅れをとるからです。刀が敵に当たると同時に我の身体も入り身が完了し、斬りぬけることができます。
(3)肩に遅れて老僧托鉢の手が伸びると同時に擺歩も完了し、同時に反対側の肩が連動して入りその腕の手を老僧托鉢をした腕の肘下に添える
扣歩に引き続き、もう片方の足をすかさず大きく擺歩(はいほ)しながら斜め後方へ半円を描く意識でスライド半斜しつつ「老僧托鉢」の姿勢で手を斜め前方へと差し出し、そして反対側の肩を入れ、腕の手を老僧托鉢をした腕の肘下に添えます(写真12)。
ここで、さきほど(1)で両足内側・身体に生じたねじれの緊張状態が解消(展開)されます。この解消される力を、差し出している老僧托鉢の手にのせて、相手に伝えます(扣擺発力・こうはいはつりょく)。しかし発力(発勁)だからといって、大きな力で打つ必要もありません。身体移動の推進力(ほぼ足の移動で行う)と空胸による張りで相手の攻撃の手を抑えたりする力程度で十分です。
老僧托鉢として差し出した腕で、胸前に「空胸緊背」の状態を作って相手と接触することは、他の拳法でも多く採用される要訣です。老僧托鉢時、斜め後ろへスライドせず横や斜め前方へ入り身してしまった場合でも、この空胸の状態がしっかりとできていて、かつ敵の前に押し込む圧力も大したことがなければ、しのぐことができます(下連続写真参照)。
。しかしそれは、敵側の要素に助けられて成功しただけのこと。「生存」するためには、一か八かの「賭け」(成功条件に敵の要素が入ること)は極力排する必要があります。そこで八卦掌は、この「張り」と斜め後方へのスライド半斜によって、(たとえ後方スライドすることで自分の攻撃が当たらなくなるとも)圧倒的に優勢な要素を持った敵の攻撃でも避けることができる道を選んだのです。
穿掌(滑歩練習時は、遊歩穿掌となる)
進歩穿掌は
- (1)老僧托鉢完了時の前足を一歩前に出す(滑歩練習や実戦散打では、この過程はない)
- (2)後ろ足を快歩(滑歩練習や実戦散打では遊歩)にて、前足を越えてより前に出していく
- (3)穿掌を放つ
の動作の流れとなります。滑歩練習や実戦散打においては
老僧托鉢~穿掌を放つ、までが一気に流れるように行われます(つまり老僧托鉢をしながら主に斜め後方へスライドしながら流しつつそのスライドの中で穿掌を打つ)。
(1)老僧托鉢完了時の前足を一歩前に出す(滑歩練習や実戦散打では、動作が流れて止まらないためこの過程はない)
老僧托鉢の姿勢のまま、前足を一歩前に進めながら、伸ばしていない方の肩を前に出していくイメージで身体も前に出していく(写真13)。
老僧托鉢の姿勢において、前に伸ばしている手は、前足を進めるに付随してそのまま前に移動させることによって、立派な第一発目の攻撃(敵への圧力)となります。よって滑歩練習でも、この老僧托鉢の姿勢はしっかりととって練習します。
(2)後ろ足を快歩(滑歩練習や実戦散打では遊歩)にて、前足を越えてより前に出していく
後ろ足を一気に前に出す(快歩)。その足を出しながら肘下に添えていた手を前に出す動作の始動(写真14・15・16)。
老僧托鉢によって転身単換掌を行う際に大きな意味を持つのが、肘下に添えた手です。実戦では、敵の攻撃を斜め後方へスライド半斜しながらいなすのですが、敵の攻撃が老僧托鉢の手に触れそうになった瞬間、スライドしながら穿掌を出します。
肘下に添えられた状態から突然手が伸びてくるため、敵は意表を突かれ足が止まります。この「足が止まり」が、次にこちらが展開する実打(本気攻撃)の旋回攻撃を成功させるか否かを分ける要因となるのです。
突き出す穿掌は、たとえ下がりながら打つとしても、相手を突き抜けていく意識で打ちます。攻撃目標そのものの表面が到達点であると思わないこと。穿掌を打ち出す意識として、攻撃する部分よりもさらに後ろまで技が届いていくように練習をします。相手を穿掌で突き抜けていく感覚とも言えるでしょう。
(3)穿掌を放つ
前足着地とほぼ同時に、穿掌の突き出しが終了する(写真17)。
定歩練習では、円軌道上に沿って穿掌を放つ(滑歩練習では、円の外側斜め後方へとスライド半斜しながら、押し込み攻撃をしてくる敵のイメージに向かって”手を伸ばす”)。
定歩練習に取り組んでいるうちは、三尖相照が無意識でできるように繰り返すこと。滑歩練習では、動きながら、後方へとスライド半斜しながら打つため、三尖相照を意識する機会がなくなるからです。。
定歩練習では、この三尖相照の際、突き出し終了の瞬間に、後方の足を跟歩(こんぽ)し、前足に少し寄せる。勢いあまって近づけすぎたりしないこと。
推磨式「推」
推磨式「推」は
- (1)穿掌を放った手を胸前に引き寄せつつ、股をたたんで転身し横方向を向く
- (2)胸前の手を円中心へ向かって推し出し、胸前に「空胸」状態を作る
の動作の流れとなります。
(1)穿掌を放った手を胸前に引き寄せつつ、股をたたんで転身し横方向を向く
穿掌で突き出した手を顔の前に引く動作を始動。この動きには、必ず身体転身の動作と共に行い始めること。
「腰を回して転身」ではなく、股をたたみながら身を転じるクセをつけると、遊撃戦時に自由に打つことができるようになります。
股をたたんで転身し始めることで、自然と腰も回り、手も前から引くだけで横方向へと推し出すための準備ができます(動画参照)。
そして推磨式の姿勢へと移行していきます。
移動遊撃戦時、横からの攻撃を受け流す使い方もあります。しかしメインの使い方は、老僧托鉢虚打による攻撃後、そこから旋回している最中に推し出して横撃する使い方です(動画参照)。
(2)胸前の手を円中心へ向かって推し出し、胸前に「空胸」状態を作る
顔前の手を円の中心へ推し出す。肘下の手は、若干我の身体方向へ引きつつ、脇下へ回し、胸前~横腹付近へ置き、守ります。
顔前の手を円の中心に向かって推し出す際は、推し出しながらも逆に引っ張られているような感じで行う。そのように意識することと、「空胸(くうきょう)」を形成することで、身体の張りを生じさせます。定歩練習時は動作をゆっくりと行う段階のため、この段階で空胸を作るクセをつけます。
2.素手・八卦刀の両方の運用方法を見て理解する単換掌の使い方(用法)
技の形より、攻防時の移動軌道や身の処し方などの単換掌理が重要である
型どおりの用法は、「転身して老僧托鉢で敵の攻撃を受けて、受け手の肘下から穿掌で敵の頭部・頸部急所を攻撃し、通り抜け、反対側から翻身拍打にて攻撃する」です。
しかしこの動作は、単換掌の身法を用いて繰り出される技のほんの一例にすぎないものであり、この部分はあらゆる状況によって変化するのです。
単換掌の最も重要な点とは、『追撃させ続けることで敵を追撃の慣性の中につからせ、押し込んできたら、扣歩→擺歩の連動で斜め後ろへスライド半斜しつ虚打穿掌を放って打ち離れ』であり、型中で用いられている技の種類が重要なのではありません。
よって、「敵を追撃させ引き込むことで敵中に追撃推進の慣性を生じさせ「陰」要素を生じさせ、我を陽の状態とならしめて攻撃する」単換掌理にのっとった技の組み合わせであれば、どのような技でも「単換掌の用法」と言えてしまうのです。
単換掌術理を用いた八卦刀術
単換掌術理を用いた攻防身法は、八卦刀術と大変相性が良いものです。八卦掌身法を用いて刀を操るならば、重量のある長い棒(棍)なども操ることができます。八卦大刀は、そのスキルを練る練習法です(当門では大刀ではなく180センチの棍を使って扱う)。
身体移動の推進力を刃面にのせて敵に棒をぶつけるイメージで、通り過ぎながら攻撃するのが八卦刀術のメイン技法となります。
まず、追撃してくる敵を横目に見ながら移動し続け、進行方向を覆い、かつ、自分の刀の攻撃射程圏内に入る直前まで敵を引き込みます。
動画のスロー部分を見てください。敵の進行方向を覆ったら、後方スライド半斜し刀を振りながら転身します。この理は、素手用法における理である「後方スライド半斜しながら老僧托鉢しつつ虚打の遊歩穿掌」と同じであります。
虚打(もしくは防御打)の一振りをし、その推進力を維持しながら大きな円孤上を旋回し、次の攻撃へ。もしここで敵の圧力の影響下にあるようなら、そのまま刀の刃面を前に出して守りつつ敵から離脱します(刀法でも、眼前の敵にこだわらないのは同じ)。
身体流の慣性のかかる身体を、翻身発力によって繰り出す刀攻撃で導きながらコントロールし、かろうじて攻撃できる間合いで敵側面の円軌道上を移動しながら続けざまに攻撃していきます。その際も、刃面に推進力をのせること。
弱者生存の護衛護身武術を極めたい方へ~清王朝末期頃のままの八卦掌「清朝末式八卦掌」を国内で唯一伝える水野先生の道場「八卦掌水式門」入門方法
1.八卦掌水式門~清朝末期成立当時の原初スタイル八卦掌「清朝末式八卦掌」を国内で唯一指導する稀代の八卦掌家・水野先生の道場
八卦掌水式門で八卦掌第7世を掌継させていただいた、掌継人のsと申します(先生の指示で仮称とさせていただきます)。掌継門人の一人として、八卦掌水式門の紹介をしたいと思います。
八卦掌水式門は、清朝末期成立当時のままの原初スタイルの八卦掌「清朝末式八卦掌」を国内で唯一伝える八卦掌専門道場です。「単換掌の術理(単換掌理)」による「弱者使用前提」・「生存第一」の技術体系からぶれず、成立当時の目的を一心に貫く伝統門です。
八卦掌第6世の水野先生の伝える八卦掌は、強者使用前提・対一人・対試合想定の近代格闘術的八卦掌が主流となっている現代において、対多人数移動遊撃戦による弱者使用前提の撤退戦を貫いた極めて異色の存在となっています。
先生の伝える八卦掌の最大の特徴は、「単換掌の術理(水式門で先生は、「単換掌理・たんかんしょうり」と略して指導しています)」に徹している点です。
「単換掌の術理」とは、敵と接触を極力さけ、敵の力とぶつからない斜め後方へスライド移動しながら対敵対応をする、「相手次第」を排し「自分次第」にシフトした術理です。
間合いを取り、敵と力がぶつからない場所へ移動しながら「去り打ち」することを正当な戦法としているため、女性やお子さん・お年を召した方にとって極めて現実的な護身術となっています(※よって水式門では、私を含め、女性の修了者さんが多いです)。
単換掌の術理を理解するには、修行の初期段階に、術理に熟練した指導者による対面での練習を通して対敵イメージをしっかりと構築することが必要不可欠、だと先生は言います。
『八卦掌は「勢(せい)」が命の武術。前に向かってひたすら進み続けることで勢を維持せよ。後ろ敵は勢があれば追いつけない。横敵には単換掌の術理・斜め後方スライドで対応せよ。電撃奇襲をすることで、守るべき人に手を出させない、囮(おとり)護衛による中国産護衛護身武術なんだ』は先生の「口癖」化した説明ですね。
相手の侵入してくる角度や強度、そして敵動作に対する自分の身体の使い方を、先生の技を受け、または先生を試し打ちをしながら自ら身体を動かして学んでいきます。 先生は、「私の技を受けるのが最も上達する近道となる。しっかりと見てイメージを作り、独り練習の際、そのイメージを真似するんだぞ。」と語り、常に相手になってくれます。 それは初心者には果たせない役割。水式門では、先生はいつでも技を示してくれます。相手もしてくれるし、新しい技を指導するとき、使い方もしっかりと見せてくれるから、一人の練習の時でも、イメージが残るのです。
よって最初から全く一人で行うことは、リアルな敵のイメージが分からない点から、大変難しいものとなります。この問題は、私がこの場で、先生の指導を受けたほうがといいと強くすすめる理由となっています。
私も石川県在住時は遠隔地門下生でした。先生が富山に来たときは、集中的に相手になってもらいました。石川県という遠くであっても、先生の教え方のおかげで、ブレずにここまで来ることができました。
単換掌の術理に基づいた弱者生存第一の八卦掌を指導する八卦掌の教室は、日本国内では水式門だけです(それか、公にしていません)。
弱者使用前提がゆえの現実的方法で自分を守る武術に興味がある方。力任せの攻撃にも負けない護身術や八卦掌を極めたいと思う方は、水式門の扉を叩いてください。水式門なら、弱者が生き残る可能性を生じさせる八卦掌中核技術を、明快に学ぶことができます。
2.八卦掌水式門は、仮入門制の有る純然たる「伝統門」道場
八卦掌水式門は、代表である水野先生が、八卦掌第5世(梁派八卦掌第4世伝人)である師より指導許可を受けて門を開いた、純然たる「伝統門」です。それゆえ、入門資格を満たしているかを判断する仮入門制(仮入門期間中の人柄・態度を見て本入門を判断する制度)を、入門希望者すべての方に例外なく適用しています。もちろん私も仮入門期間を経て本入門しました。
水野先生が指導する八卦掌は、綺麗ごとのない護衛護身武術。一部に当然殺傷技法が伝えられ、昔の中国拳法と同じく実戦色が強い八卦掌。誰それ構わず指導することはいたしません。
特に先生は、拳法を始めた動機も真剣。他者への思いやりに欠ける人間に伝えてしまい、それで人が傷つけられてしまう事態を招くことを、心から心配しています。
よって各科に掲載された「入門資格」を満たした人間だと判断した場合にのみ、先生は本入門を認め、受け継いだ技法をお伝えしています。「八卦掌の伝統門として、門が負うべき当然の義務と配慮」。これも先生が常に話す口癖ですね。
水式門には『弱者生存の理で貫かれた護衛護身術「八卦掌」を日本全国各所に広め、誰もが、大切な人・自分を守る技術を学ぶことができる環境を創る』という揺るぎない理念があります。
先ほども触れたように、他者への思いやりに欠ける人間に伝えてしまうことは、技法が濫用され第三者が傷つく事態を招き、理念実現に真っ向から反する結果を生んでしまいます。
水野先生は、門入口を無条件に開放して指導し門を大きくすることより、たとえ仮入門制を設けて応募を敬遠されたとしても、他者への思いやりに欠ける人間に伝えてしまう事態を避けることを重視しています。
ここまで書くと、なかなか入ることのできない難しい道場だと思うかもしれませんが、そんなことはありません。仮入門制はありますが、一般的な常識と礼節、思いやりがあれば、心配する必要は全くありません。
指導を受けてみれば分かるのですが、先生はいつも、門下生のことを考え、熱心に指導してくれ、怒鳴ったりもなく、笑顔です。安心してください(無礼な態度や乱暴なふるまいには、ベテラン・初心者関係なく厳しいですが)。
仮入門期間を経て本入門となった正式門下生には、「誰もが大切な人、自分を守ることができる清朝末式八卦掌」の全てを、丁寧に、熱心に、真剣に教えてくれます。
迷ってるあなた。水式門には、積み重ねるならば、弱者と言われる者でも高みに達することができるシンプルで明快な技術体系があります。先生の温かく熱心な指導で、「守る」強さを手にしてみませんか。