遊撃八卦双短棒・五型「胸前換棒」:動作解説
五型は「使用例」であるが、特に初学の方にはぜひ取り組んでもらいたい。しかし注意点があります。
棒操作は思った以上に難しいものです。本来であれば、二つの刃物(ナイフや匕首)で行うものですが、現代に活きる技として棒となりました。棒にすることのメリットも多くあります。それはまた別の機会で詳しく解説しましょう。
胸前換棒は、敵の攻撃を横払することから始めます。これは八卦掌における遊撃戦の代表的な戦い方の一つであり、遊撃戦八卦掌頻出の動作であるため、第一式の胸前換棒の最初に採り入れました。
一般的な武道・武術ですと、このようなよけ方から技を展開することはあまりないのですが、遊撃戦八卦掌ではこの動きが「主流」となるため、棒を持った状態でも慣れ親しんでもらいたい。
身体流れの状態となり、力をうまく伝えることが最初は難しいので、あまり移動をしない状態(動画のように、脚をしっかりと固定した状態)で練習します。
平穿を打った後、肘下にある棒を肘上に少し上げて、肘上から敵の顔面もしくは頸部付近を狙って突き出します。突き出し軌道については、右動画を参考にしてください。
.この時穿棒に不慣れであると、肘下にあるはずの棒が肘上に上がってない状態で突き動作をしてしまい、自分の腕や手を突いてしまいます。
手すり俸や樫材棒などで自分の身体を突くのは、非常にダメージが大きい。私も親指を横方向から突き、爪に深い傷を負った経験があります。よって最初は、柔らかい棒材、もしくは棒の先に緩衝材を巻いておくと良いでしょう。くれぐれも注意してください。
けが防止と、突き出し軌道の精度を高めるため、最初はゆっくりと軌道を確かめながら突きます。穿で突く際は、自分の正中線上を通って突いていきます。
反転するときの拍は、己の頭の上からやや側面をとおって行います。真上では、防御面積が細い線となってしまい、敵の攻撃をよけにくくなります。30度から45度くらい横を通らせます。
拍に続く穿も、正中線上を通って打ちます。本来の遊撃戦では、拍の直後、走りながら穿を打ちますが、最初は足を固定させてしっかりと打ちましょう。変化型では、走りながら打ったりします。
遊撃八卦双短棒・五型「胸前換棒」:用法解説
五型作成のコンセプトの大きな一つに、「どのように使うかを分かり易く」があるため、型の内容を一見すればわかると思います。よって用法解説では、初学者にわかりにくい「敵に確実に当てるための用法上のポイント」を説明していきます。
胸前換棒では、出鼻で敵の攻撃を横払いしてすかさず平穿を打ちます。
横払い→平穿の組み合わせが重要なのではありません。敵の側面に入ること自体が防御であり、横払いの動作は、敵の攻撃を確実に避けるための防御動作の中の補助動作であります。そして、それでも危険な我が身を守るために、すかさず平穿で積極的に敵の攻撃を止める、という意味です。
平穿などの攻撃動作へつなげることで、今度は敵がその攻撃に反応しなければならなくなり、そこで敵の攻撃動作を止めることができます。
平穿は「攻撃」はもちろん、「積極的防御」の意味があるのですね。そしてこの「積極的防御」の概念は、八卦双短棒五型の全型に含まれている大事な考え方であります。五型の運用方法を考える際は、この考え方を是非思い浮かべてください。
よって、横払いが、敵の攻撃の出し方により、按になることもあるし、袈裟斬りになることあるのです。平穿が穿になることもあるし、小劈になることもあるのです。
八卦掌には、言い過ぎを恐れずにいうならば、決まった型がありません。相手の出方によって、コロコロとこちらの対応も変わっていきます。熟練すれば、自然とそうなっていくのです。相手の状況によってその都度自由に変化できるように、練習を積み重ねている、といっても良いでしょう。
八卦双短棒は、純然たる八卦掌武器術なので、型においてもそのことが当てはまります。
横払い→平穿の次に続く、2発の穿。これは、穿の打ち出し軌道の安定と、双短棒攻防における前のめりしないで行う突き技の練習だと思ってください。
双短棒において、「叩く」「払う」動作はやりやすいものであり、実闘においても、この動作を多用することになります。しかしそれは、叩く・払う以外の動作が疎くなることを意味し、それでは変幻自在の攻撃を展開しづらくなります。
特に我が「穿」を自在に打つことができることは、敵にとっては遠い間合いから突然打たれる可能性が生じるため大変脅威であり、敵の接近を防ぐのに非常に効果的なのです。
五型は、双短棒の技術が習熟すればこだわる型ではなくなりますが、初学のうちは道しるべ的な型で練習時間も多く取ります。その長い時間の最初のうちにしっかりと穿の動作を練習することは、のちの八卦掌の棒術攻防の技術向上に大きく役立ちます。
胸前換棒における突きは、前のめりなしで、身体を安定させ、軌道を確認しながら、確実に相手の顔面部(もしくは人容・天突などの頸部急所)をねらって打ちます。
八卦掌の穿は、肘下からスッと出しますが、ここでは平穿を行った棒の上から行います。この動作は、意外と難しいものです。急いで行うと、平穿を行って前に出ている腕や手を穿棒で突いてしまう危険もあります。ですから、最初のうちは、ゆっくりと確実に行ってください。
その確実な練習が、敵の急所を確実に突く練習にもなるのです。
二度の穿ののち、転身しながら拍を打ちます。そして再び穿。この穿は、進歩穿棒です。この進歩穿棒でも前のめりにならず、しっかりと八卦掌の進歩穿掌を再現します。相手が刃物を持っている際に、身体を突っ込ませた穿を打つと、払われた場合に態勢を崩し、次の敵の攻撃を防ぐことはできません。命取りになるのです。
よって胸前換棒後半では、「突っ込まない穿」を繰り返し練習するのです。
遊撃八卦双短棒・五型「胸前換棒」:変化型解説
五型「回身双棒」の身体使いを利用して、より一層八卦掌の遊撃戦要素を強くした変化型を示します。
「法」から「式」、「式」から「型」に行くほど、指導者のクセや趣向が強くなっていきます。あなたが学習して技術が身についてきたと実感したら、「型」はどんどんオリジナルにしていってほしいと思います。
変化型は、「型」をさらに変化させたものであります。変化し始めると、八卦掌はどのようにも打ったり払ったり、突いたり・・・自由自在の領域に入ります。よってその状態になったら、他人の考えた型などにこだわることもありません。変化型ならなおのことです。あなたのオリジナルに従ってください。
横払い→平穿、までは同じですが、そこから身体流(からだながれ)の現実を活かして、袈裟斬りをしながら相手の横を高速で通り抜けます。
すかさず反転、そこから回身双棒のように、平穿→小劈、へとつなげます
最後の通り抜け小劈の際は、自身の進行方向に対してななめ前方45度方向に棒を推し出します。
その際、しっかりと身体が前に進む力も棒に乗せていくこと。
八卦掌のような小刻みな打撃で敵にダメージを与える拳法は、身体の移動推進力、移動の際のエネルギーを伝えていく意識は、大変重要です。決して一つの場所にとどまって、そこで連打したりしない。八卦掌である以上、その意識は忘れないでください。
回身双棒は、そのスキルを得るのが大きな目的です。変化型も同じです。
弱者生存の護衛護身武術を極めたい方へ~清王朝末期頃の昔日の八卦掌を国内で唯一伝える水野先生の道場「八卦掌水式門」入門方法
1.弱者生存第一の「単換掌の術理」に貫かれた成立当初(清王朝末期頃)のままの八卦掌を国内で唯一追求し指導する、稀代の八卦掌家
八卦掌水式門で八卦掌第7代を掌継させていただいた遠隔地門下生のsと申します(先生の指示で仮称とさせていただきます)。代継弟子の一人として、八卦掌水式門の紹介をしたいと思います。
八卦掌水式門は、成立当初(清王朝末期頃)の「単換掌の術理(単換掌理)」に貫かれた「生存第一スタイル」の八卦掌を指導する、国内で極めて数の少ない八卦掌伝統門です。
八卦掌第6代の水野先生の伝える八卦掌は、敵前変化攻防の近代スタイル八卦掌が主流となっている現代において、対多人数移動遊撃戦による弱者使用前提撤退戦を貫いた異色の存在となっています。
先生の伝える八卦掌の最大の特徴は、やっぱり、「単換掌の術理(水式門で先生は、「単換掌理」と呼んで指導しています)」に徹している点。
「単換掌理」とは、敵と接触を極力さけ、敵の力とぶつからない方向へ移動しながら対敵対応をする術理です。間合いを取り、逃げることを正当な戦法とし、力がぶつからないため、女性やお子さん・お年を召した方にとって最も現実的な護身術となっています(※よって水式門では、私を含め、女性の修了者さんが多いです)。
単換掌理を理解するには、修行の初期段階に、掌理に熟練した指導者による対面での練習を通して対敵イメージをしっかりと構築することが必要不可欠、だと先生は言います。
「単換掌理系の技は、対人走圏で養った移動による間合い取りと、敵の引きつけ引き込み技術、転身技術とで実行する技。現実的で明確な敵のイメージを持って練習しないと、実戦でとまどうことになる」は先生の口癖ですね。
相手の侵入してくる角度や強度、そして敵動作に対する自分の身体の使い方を、先生の技を受け、または先生に試し打ち(!)をしながら自ら身体を動かして学んでいく必要があります。それは初心者には果たせない役割。水式門では、先生がいつも相手をしてくれるし、新しい技を始動するとき、使い方もしっかりと見せてくれるから、一人の練習の時でも、イメージが残るんです。
よって最初から全く一人で行うことは、リアルな敵のイメージが分からない点から、大変難しいものとなります。この問題は、私がこの場で、先生の指導を受けたほうがといいと強くすすめる理由となっています。
私も遠隔地門下生。先生が富山に来たときは、集中的に相手になってもらいました。石川県という遠くであっても、先生の教え方のおかげで、ブレずにここまで来ることができました。
単換掌理に基づいた弱者生存第一の八卦掌を指導する八卦掌の教室は、全国にほとんどありません(それか、公にしていません)。弱者使用前提がゆえの現実的方法で自分を守る武術に興味がある方。力任せの攻撃にも負けない八卦掌を極めたいと思う方は、水式門の扉を叩いてください。水式門なら確実に、弱気が生き残るための技術を学ぶことができます。
2.八卦掌水式門は、入門審査を通った者が門下生となることができる純然たる「伝統門」道場
八卦掌水式門は、代表である水野先生が、八卦掌第5代(梁派八卦掌第4代伝人)である師より指導許可を受けて門を開いた、純然たる「伝統門」です。それゆえ、入門資格を満たしているかを判断する入門審査(問いあわせ~体験までの態度を見ての総合判断)を、入門希望者すべての方に例外なく行っております。もちろん私も受けたうえで入りました。
水野先生が指導する八卦掌は、護身術であれど、一部に当然殺傷技法が伝えられ、昔の中国拳法と同じく実戦色が強い八卦掌。誰それ構わず指導することはいたしません。
特に先生は、拳法を始めた動機も真剣。自分を律することができない人間に伝えてしまい、それで人が傷つけられてしまう事態を招くことを、心から心配しています。
よって、以下で掲げてある「入門資格」を満たした人間だと判断した場合にのみ、先生は受け継いだ技法をお伝えしています。「八卦掌の伝統門として、門が負うべき当然の義務と配慮」。これも先生が常に話す口癖ですね。
水式門には『弱者生存の理で貫かれた護衛護身術「八卦掌」を日本全国各所に広め、誰もが、大切な人・自分を守る技術を学ぶことができる環境を創る』という揺るぎない理念があります。
先ほども触れたように、己を律することのできない人間に伝えてしまうことは、技法が濫用され第三者が傷つく事態を招き、理念実現に真っ向から反する結果を生んでしまいます。
水野先生は、門入口を無条件に開放して指導し門を大きくすることより、たとえ審査を設けて応募を敬遠されたとしても、少なからずいる暴力的・非常識な人間に伝わってしまう事態を避けることを重視しています。
ここまで書くと、なかなか入ることのできない難しい道場だと思うかもしれませんが、そんなことはありません。審査はありますが、一般的な常識と礼節、思いやりがあれば、心配する必要は全くありません。
指導を受けてみれば分かるのですが、先生はいつも、門下生のことを考え、熱心に指導してくれ、怒鳴ったりもなく、笑顔です。安心してください(無礼な態度や乱暴なふるまいには、ベテラン・初心者関係なく厳しいですが)。
審査を通過した正式門下生には、「誰もが大切な人、自分を守ることができる八卦掌」の全てを、丁寧に、熱心に。真剣に教えてくれます。
迷ってるあなた。水式門には、積み重ねるならば、弱者と言われる者でも高みに達することができる技術体系があります。先生の温かく熱心な指導で、「守る」強さを手にしてみませんか。
3.入門手続き
八卦掌水式門の正式門下生となるためには、個別指導科における近代八卦掌コースを除いたすべての科において、仮入門期間(体験入門日から一カ月経過もしくは体験入門を含めた3回の練習参加)を経る必要があります(指導内容が他人を傷つける技術を含むため)。この期間を経過した後、入門を希望する方は、以下の手続きに従い、入門申請をしてください。
手順1 申込フォーム記載申請と体験入門参加
各科とも以下の問い合わせフォームに必要事項を記載のうえ体験入門を申請する。
手順2 本入門希望者は、「本入門申請フォーム」より、本入門申請をする
体験入門を含めた仮入門期間経過後、本入門を希望する方は、各科共通の 本入門申請フォーム より、本入門申請をしてください。本入門を認めるかどうかの判断をさせていただきます。
「入門資格・入門時誓約事項・入門時特記事項」については、こちら にて必ず目を通し、理解したうえで本入門申請をすること。
本入門申請意思受領後、本入門審査を経て、結果のメールを送信します。本入門許可者には、入門案内のメ―ルを送信しますので、メール文中に記載されている弊門指定の銀行口座に初月指導料を振り込んでください。
※入門許可メール送信後、送信日を含めて14日以内に入金がない場合は、入門の意思がなくなったと判断し、申請はなかったものとさせていただきます。
※本入門が許可されなかった場合についてのクレーム・理由開示要求には、例外なく対応いたしませんのでご了承ください。
手順3 「入門誓約書」のダウンロード
下のリンクにて「入門誓約書」をダウンロードし、内容を確認。誓約書の内容に同意するならば、同書類を印刷し、必要事項を記載の上、本入門後の初回練習時に持参する。
※ダウンロードができない方は、shiroikukmoajisai@gmail.com 宛にご連絡ください。
手順4 練習会に初参加
上記「入門誓約書」を持参の上、グーグルカレンダー記載の希望各科の練習会に参加する。
※「入門誓約書」を必ず持参すること。持参し忘れ2回目の者には例外なく指導しない。ダウンロードができなかった理由で持参出来なかった者は、必ずそのむねを告げること。
※カレンダーが、参加する科のカレンダーであるかどうかを、しっかりと確認すること。
※各科とも、参加希望日の前日の24時までに、に、参加メール「例文:○○です。○○日参加します」とメールを入れること(場所変更の可能性があるため)。