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八卦掌の遊撃戦時用法解説「外転翻身」編:翻身サイ掌

(このページは、2022年5月25日に更新しました。)

八卦掌とは、複数人いる敵と対峙するさい遊撃戦で戦うことを最大の特徴とする拳法であります。

実際に敵と接する場面では、いくつかの身法があります。その中でもっとも八卦掌らしい動きのもととなるのが外転翻身です。このページでは、外転翻身の身法を利用した用法例(使用例)を紹介します。

八卦掌の動きを理解する上でも役立つため、初学のうちから用法例を意識して外転翻身を練習しましょう。

「翻身サイ掌」用法を練習する際のポイント

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対多人数戦における八卦掌の身法には、外転翻身、内転翻身、半斜翻身の3つがある。ここでは、身法中で最も多用し、素早い転身が可能となる『外転翻身』の身法を用いて行う八卦掌の遊撃戦用法を紹介していきます。

ファーストコンタクトでサイ掌を用いた用法は、敵側面を通り抜ける速度をほとんど落とさずに遊撃戦が展開できるため、特に激しい遊撃戦では重宝します。

外転翻身をする際は、撩陰掌と平穿掌を用いていますが、撩陰掌だと上下の起伏に富んだ攻撃がしやすいメリットあり、平穿掌の場合は、より速い翻身攻撃ができるメリットがあります。

動画中では、指導目的のため、各動作を大きく確実に行っているが、実際には「身体流れ」の慣性が働き、動作がもっと流動的で、小さくなります。初学のうちは、確実に、攻撃線に螺旋の意識を伴わせることを目指して練習すること。

「翻身サイ掌」の各ポイントイラスト付き解説

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翻身サイ掌は、大きな曲線の動きの中の各所で繰り出される各技に、それぞれ方向の違う螺旋がかかっています。イラスト中における螺旋のイメージを参考にしてください。

動作だけを真似てただ直線的に打つのと、らせんの意識を込めてねじり打つのでは、威力の強さや、出す腕のいい意味での固さに違いが生じるので、イラスト中のベクトルのねじれ方を参考にして練習をしてみましょう。

動作1:敵の直前で「半斜翻身」しつつ攻撃軌道をさえぎる

外転翻身動作1

敵の攻撃と同時に、細かいことは考えず側面に入る。

受け手の形はどのような形でもいい。その時の状況に応じて、受ける手の形も変わります。

敵の攻撃は、どのような攻撃で来るかわかりません。ここで受け手まで固定しては、対応できません。

この画像では、右手による顔面狙いのストレートのため、このような受け手になっています。

動作2:サイ掌による顔面攻撃と暗腿によるくるぶし攻撃

外転翻身動作2

外転翻身の動作に入る。

サイ掌で敵の頭部を上から下に押し突けるようにこうげきしながら、右足で相手の前足を蹴る。

踵で蹴ってもよいし、引っかけるように蹴ってもよい。

動作3:サイ掌直後の着地足を扣歩、翻身動作に入りはじめる

外転翻身動作3

動作3から外転翻身の本動作に入ります。

サイ掌にて敵の顔面部を打つ際は、上方から斜め下方へと、腕に螺旋をかけ、ねじり込むように打ち抜ちぬきます(打ち抜く際の意識の伝達イメージは、イラストの腕部分参照)。

「打ち抜く」とは、攻撃部位が終点でなく、攻撃部位よりもっと先に力を及ぼす意識で打つことであります。この意識で打つ方法は、中国拳法の他門派でも顕著に見られます。

そのように意識をして練習をしていくことで、体重や移動する際の力を、敵に衝撃力として体表のみならず体内にまで伝えることできるようになります(例:浸透勁)。

前足着地と同時に、扣歩します。そして自然に前足に寄っている後ろ足を、ハイ歩しつつ後方へ向けていきます。

本用法は、翻身して撩陰掌→拍打→穿掌へとつなげていきます。よって、動作3では、サイ掌した腕の反対側の腕は、すでに撩陰掌の初動動作に入っています。

八卦掌は別名「転掌」とも言われます。必ず翻身する際は、その動作から生じる力や転身力を利用して技を相手に仕掛けます。

動作4:翻身しつつ撩陰掌

外転翻身動作4

翻身しつつ撩陰掌。

撩陰掌を打つ時は、下方向から敵の脇下を打ち上げるようにして打ちます。

そして撩陰掌を行う際の意識として、下攻撃(撩陰掌)~上攻撃(老僧托鉢)~走り去り打ち(サイ掌)の流れの攻撃線に沿って、その線の周りを螺旋の線が伴っているイメージを持つといいでしょう。

動作4・別法:平穿掌を用いる場合

ファーストコンタクトでサイ掌を打った後に翻身する際は撩陰掌と平穿掌が代表的であるが、平穿掌は翻身速度をほぼ下げないで行うことができ、敵の反応前に攻撃~離脱を行うことができます。

サイ掌は「合(閉じる意識)」で打ち、平穿掌は「開(開く市意識)」で打つ。

なお平穿掌では回転速度と回転軌道の効率化のため、推磨式五法における平穿の打ち方を参照してほしい。

動作5:老僧托鉢によるねじり上げの顔面攻撃へ

外転翻身動作5

撩陰掌から老僧托鉢式へ。

老僧托鉢式で敵を攻撃する際は、その動きに伴って身体をねじり回して前方向へ動かしつつ、敵の側面周辺を横へ移動しながら打つ。

老僧托鉢は、ねじり上げつつ、横へ打ち払うように打つ。

動作6:再度サイ掌で強く頭部を斜め下方へねじり込み攻撃する

外転翻身動作6

老僧托鉢式を放った腕の上方から覆いかぶさるように、サイ掌を打ちます。

老僧托鉢を放った腕は、サイ掌を打ちながら敵の腕もしくは肩を上から下へと押さえつける。押さえつけながらサイ掌を行う腕が半円を描いて敵の頭部へと繰り出されます。

老僧托鉢は、身体を開く意識(『開:開く・展開する、の意味』)で敵へと腕をぶつけました。しかし動作6でのサイ掌においては身体を閉じる意識(『合:閉じる・縮める・収束する、の意味』)で、上方から斜め下方へ、敵の頭部目掛けて打ち抜きます。

「翻身サイ掌」の練習段階

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弱者生存の護衛護身術「八卦掌」の真髄に興味のある方へ~伝統門・八卦掌水式門に入門する方法

「単換掌理」に貫かれた成立当初(清王朝末期頃)の八卦掌を指導する、国内でまれな八卦掌伝統門

八卦掌水式門代表・水野の写真

八卦掌水式門は、成立当初(清王朝末期頃)の「単換掌の術理(単換掌理)」に貫かれた生存第一の八卦掌を指導する、国内で数少ない八卦掌伝統門です。敵前変化攻防の近代スタイル八卦掌が主流となっている中で異色の道場となっています。

「単換掌理」は、敵と接触を極力さけ、敵の力とぶつからない方向へ移動しながら対敵対応をする術理。間合いを取り、逃げることを正当な戦法とし、力がぶつからないため、女性や子供などにとって最も現実的な護身術となっています。※よって弊門では、女性の修行修了者が多い。

単換掌理を理解するには、掌理修行の初期段階に、掌理に熟練した指導者による対面での練習を通して対敵イメージをしっかりと構築することが必要不可欠となります。単換掌理系の技は、対人走圏で養った移動による間合い取りと、敵の引きつけ引き込み技術、転身技術とで実行する技。

敵の侵入してくる角度や強度、そして敵動作に対する自分の身体の使い方を、指導者の技を受け、または試し打ちをしながら自ら身体を動かして学んでいく必要があります。

よって最初から一人で行うことは、リアルな敵のイメージが分からない点からも、大変難しいものとなります。

単換掌理に基づいた弱者生存第一の八卦掌を指導する八卦掌の教室は、全国にほとんどありません。弱者使用前提がゆえの現実的方法で自分を守る武術に興味がある方。力任せの攻撃にも負けない八卦掌を極めたいと思う方は、弊門の門を叩いてください。

八卦掌水式門は、入門審査のある純然たる「伝統門」道場

八卦掌水式門は、代表である水野義人が、八卦掌第5代(梁派八卦掌第4代伝人)である師より指導許可を受けて門を開いた、純然たる「伝統門」です。それゆえ、入門資格を満たしているかを判断する入門審査(問いあわせ~体験までの態度を見ての総合判断)を、入門希望者すべての方に例外なく行っております。

弊門で指導する八卦掌は、殺傷技法が伝えられ古伝の実戦色が強い昔日の八卦掌であるため、誰それ構わず指導することはいたしません。

以下で掲げた「入門資格」を満たした人間だと判断した場合にのみ、受け継いだ技法をお伝えします。八卦掌の伝統門として、門が負うべき当然の義務と配慮です。

弊門には『弱者生存の理で貫かれた護衛護身術「八卦掌」を日本全国各所に広め、誰もが、大切な人・自分を守る技術を学ぶことができる環境を創る』という揺るぎない理念があります。思いやりに欠け無礼で好戦的な人間に伝えてしまうことは、技法が濫用され第三者が傷つく事態を招き、理念実現に真っ向から反する結果を生んでしまいます。

弊門では、門入口を無条件に開放して指導し門を大きくすることより、たとえ審査を設けて応募を敬遠されたとしても、少なからずいる暴力的・非常識な人間に伝わってしまう事態を避けることを重視します。

入門審査はありますが、一般的な常識と礼節、思いやりがあれば、心配する必要はありません。そして、審査を通過した正式門下生には「誰もが大切な人、自分を守ることができる八卦掌」の真髄の全てを、誠実・熱心にお伝えします。

入門資格

入門手続き

八卦掌水式門に入門するためには、八卦掌本科・八卦掌護身術科・遠隔地生通信併用科・支部指導員候補生コースともに入門審査を受ける必要があります(指導内容が殺傷技術を伴う武術であるため)。以下の手続きに従い、入門申請をしてください。

手順1 申込フォーム記載申請と体験入門参加

各科とも以下の問い合わせフォームに必要事項を記載のうえ体験入門を申請する。体験入門回数は、本科2回、護身術科2回(参加無料・体験入門は必須・遠隔地在住者は回数応相談)。遠隔地生通信併用科は、フォーム申請後、書類審査を行います。

手順2 入門希望なら、誓約書の郵送

体験後、入門を希望する方は、最終体験日に門より手渡された「入門誓約書」を確認。誓約書の内容に同意するならば、同書類を代表水野宛の住所に郵送する。

手順3 審査結果の通知と、初月月謝支払い

誓約書が水野に到達後、審査開始。審査後、入門審査結果のメールを送信します。入門許可者には、入門案内のメールとして送信しますので、メール文中に記載されている水式門代表の銀行口座に初月指導料を振り込む。

※入門許可メール到着後、到着日を含めて14日以内に入金がない場合は、申請がなかったものとして扱わせていただきます。

※入門が許可されなかった場合についてのクレームには、一切対応いたしませんのでご了承ください。

手順4 練習会に初参加

グーグルカレンダー記載の練習会に参加する。※参加ごとに、開催日の正午までにメールにて簡潔に「○○です。本日参加します。」とだけメールをすること。

注意事項

◆弊門指導の八卦掌は「~派」色の薄い八卦掌成立当時(清王朝末期頃)の昔日の八卦掌です(基本功・老八掌の定歩・単式等は梁派伝)。よって修行後に著名流派の伝人になることを希望している方は、他教室での学習を検討してください。弊門で公認するのは「八卦掌第7代」(八卦掌の技法を一通り修めた弟子のこと)・「八卦掌第7代掌継人」(水式門から正式に指導許可を受けた、技法伝承可能な弟子のこと)となります。

◆上記入門資格・当注意事項を満たすことができない者は、口頭注意等の対応をとらせていただき、なお改善されない場合は退門処分とします(他の門下生の学習環境・安全を守るための措置です)。「常識的な礼節」と「思いやり」、そして「他流派への礼節」の資質については特に重視しております

◆申込フォームにて連絡してきたが、希望日時に連絡無しで来られない方・質問に対し返答をしても無反応の方が多く居ます。伝統門として、そのような方には、以後の体験参加・講習会等参加は認めず、質問にも返答いたしません。

◆弊門の本科・護身術科・通信併用科は、児童向け教室ではありません。一般の方が参加する場であるため、学習環境配慮の観点より、保護者・近親者・知人・友人等による見学行為は認めていません。

◆中学生以上~15歳未満の方は、拳法学習の志望動機をいかんで参加の可否を決定します。必ず本人が、15歳未満向けコースがある科における、希望する科の申込みフォームに、志望動機等必要事項を記載の上、お申し込みください。保護者の意向による参加・入門申請は認めません