
本書の言う「2つの技」とは、「単換掌」「双換掌」である。転掌の次世代武術である、中国拳法四大門派の1つ「八卦掌」の修行者なら、知らない者はいないくらい、有名な技である。
「単換掌・双換掌を極めることは、どのような敵に対しても「つかまれない」技術を身につけることを意味する。」これは、董海川先師から福建省楊家転掌八卦門に伝えられる門諺(門に伝わる秘伝の言い伝えのこと)である。転掌に伝わるたった2つの技「単換掌」「双換掌」を極めるだけ。何とも簡単な教えに聞こえる。しかしこれは、たった2つの技に拳法技術のエッセンスを集約させていた「転掌」時代の技術体系だったからこそ、断言できる門諺なのである。
転掌は「八卦掌」へとその形を変えて、世界的に有名な拳法となった。しかし八卦掌のように、型の種類を増やし、技を増やし、理論まで複雑な外部理論に準拠させた技術体系の中では、「2技だけ」とは言えない。転掌時代のように、エッセンスも戦闘理論も、2技に集約させていた時代だったからこそ、言い得た門諺なのである。
本書で示す技術は、董海川先師が清朝後宮内で宦官・宮女に指導していた頃の技術体系のままに指導する、世界でただ一つの転掌時代の単換掌・双換掌専門解説書である。つまり本書を手にとったあなたは、董海川先師の教えそのままの、後代の拳士らの改編が加わってない頃のままの技術を学ぶことができるのである。
董海川先師に転掌を学んだ、武術素人同然だった宦官(かんがん)・宮女(きゅうじょ)は、2つの技を習得して王族を守る後宮内護衛官として活躍した。その内容は、徹底した移動戦によるおとり護衛だ。おとりとなって一定時間生存して命を賭けて王族を守った技法は、きっと護身を必要とするあなたにも役立つ。断言できる。私自身、野生動物や不審者らと、命を賭けたやり取りをし、転掌の身法でその身を守った。
あなたが護身を真剣に考えているならば、「見栄え」や「美しさ」などの、命を守るうえで無駄なものを掲載している、護身術本とは名ばかりの道場宣伝本を手に取るべきではない。本書を手に取り、真の中国拳法の自分護衛術をまなび、その大切な身を守って欲しい。時間は思ったほど、無いのである。
このページでは、本書の購入を検討しているあなたに、より詳しい内容を提示していきたい。
電子書籍版(1,250円税込)
紙書籍版(2,970円税込)
本書より全文抜粋「はじめに~第2版発刊にあたって。身を守るために必要な技が2つだけだった、という結論。」
『2つの技で「あなたを絶対に守る護身術」独習の指南書』の目的
『2つの技で「あなたを絶対に守る護身術」独習の指南書』とは?
『2つの技で「あなたを絶対に守る護身術」独習の指南書』で学ぶメリットとデメリット
本書で学ぶ「転掌」とは?中国四大門派「八卦掌」の原型にして、清朝後宮内の宦官・宮女の使用した護衛官武術
『2つの技で「あなたを絶対に守る護身術」独習の指南書』はこんな方におすすめ
Q:2技の独学は可能ですか?~A:「練習するなら可能です」
『2つの技で「あなたを絶対に守る護身術」独習の指南書』を使った学習の仕方
本書の目次
本書より全文抜粋「はじめに~第2版発刊にあたって。身を守るために必要な技が2つだけだった、という結論。」
本書の目的は、2つの技を使って己の身を守る技術を、本を手に取ったあなたに習得させることである。2つの技とは、単換掌と双換掌のことである。健康や体力維持のため、もしくは美しさを求め演武大会で高得点を取るため2技を解説するのではない。単換掌と双換掌は、命を守るための技法である。私はそのように教えられてきたし、本書でもその前提で指導していく。
庶民でさえ命の危険が日常生活中に、当たり前に存在した時代。清朝末期太平天国の乱終息期。動乱の時代に誕生し、清朝王族を守る使命を果たした護衛官武術「転掌」。転掌創始者の董海川先師が、「命を守るために必要なたった2つの技」として修行者に習得せしめた技が、単換掌と双換掌である。
あなたの求めるものは、「生存」なのか?それとも「見栄え(美しさ・かっこよさ)」なのか?もし両方得たいのであれば、本書の購入を見送るのがよいだろう。美しさなど、護身術で最も不要なものである。そのような不要なものに気を取られる、ということは、身を守ることに切迫感を感じていない証拠である。
残念ながら、そのような不要なものを「売り」した護身術本が幅を利かせている。内容は、敵の手を取り、華麗に倒し、制圧するようなものである。今まさに護身技術を必要とする者には、その技術の習得は極めて難しい。これらの技術を得るためには、膨大な時間の対人練習をしなければならないからだ。私はそのような、気の遠くなるような修練が必要な技法が、何の疑問も持たれず、当たり前に護身術として提唱され、称賛され、練習される現状に直面し、激しい危機感を感じる。第2版の発刊は、その危機感よりなされたものである。
あらためて言おう。本書の目的は、2技の習得によって「生存」を勝ち取ることである。転掌における主要技にして、同時にただ2つの技「単換掌」「双換掌」を解説し、読者に習得してもらい、「生存」の可能性を生みだしてもらうことである。この2技を解説する意味を示そう。この2つを習得してしまえば、敵に「つかまれない・捕まらない」ための近づかせない技術が身につき、強者に高度・難関な技をかける必要がなくなり、多くの弱者が、強者の力任せの攻撃から身を守ることができるから解説するのだ。巷の護身術教室が垂れ流す、高度で実行困難な技術さえ必要でなくなれば、多くの護身術習得希望者がこの2技を使いこなし、生存の可能性を高めることができるだろう。
圧倒的に修行者数が多い次世代武術「八卦掌」(※本書では、以下「近代格闘術八卦掌」と呼ぶ)の修行者であっても、この2技を使いこなすことができる者がほとんどいないのが現状である。演じるのと、強者相手に使用し生存を確保する、のでは全く意味が違うからだ。だがこの2技は、上記の理由より、何としても習得してもらいたい。弊館の修行者でなくとも一読してもらいたい。2技の実行に苦しんでいる近代格闘術八卦掌の修行者にも、本書で知る原理は大きなヒントとなるからだ。八卦掌修行者であれば、ルーツが同じ武術ゆえ、理解もしやすいだろう。
拙書『八卦掌原型・清朝護衛官武術「転掌」から学ぶ自分護衛術』発刊よりずっと、単換掌・双換掌を解説する専門書として、2技のより分かりやすい解説法はないものか?と思慮してきた。そこで、「中国拳法古来より、師が弟子に対しその使い方を示す方法」を、書面上にて実現しようと考えた。その方法とは、師が弟子に自らを襲わせ、師が弟子の攻撃を防ぐ際の動きを見せることで、弟子は習う技をかけるイメージを敵目線から見て、そのイメージを一人練習で活かして、現実に即した動きを習得する、という方法である。『八卦掌原型・清朝護衛官武術「転掌」から学ぶ自分護衛術』第3版では、その解説方法で単換掌・双換掌を解説してみた。本書は、単換掌・双換掌の専門解説書であるので、より深く説明をしていきたい(本書との重複はご容赦いただきたい)。
転掌は、私の先代師の師家たる楊家で、その技術が親から子へ、一子相伝の形で伝承される形となってしまっていた。なぜなら、徹底して「弱者使用前提」を貫く楊家転掌を、試合に勝つことにとらわれた男性修行者らが習おうとしなかったからだ。親から子へ技法が伝えられる際、弟子たる子は、第三者目線で技を見ることはできない。親が子の攻撃を防ぐ、その動きを頭に焼き付け、型を繰り返し、そこで動きを洗練させていったのだ。私の先代師は、そのように父親に習ったとおっしゃっていた。そして私も、その方法のみで、実戦での動きと使い方を先代師より習ったのである。
本書では、この形態を採り、読書である諸氏に、私の動きを書籍の連続写真と動画にて公開し、実戦の転掌使いの動きを頭に入れてもらうことにした。型の繰り返しを嫌わず実行する者には、そこで得たイメージが、技術上達に大きな役割を果たすであろう。
単換掌・双換掌の専門解説書として、この2つの技術を実行するうえで必要な基本練習などは、可能な限り掲載する。先ほど触れたが、他の弊館出版書籍とかぶる点が多くなることはご容赦願いたい。
私の人生の目的を実現するための具体的な目標は、転掌を学ぶことができる環境が、世界の隅々まで行き渡っている世界を創ることである。具体的には、「弱者でも本当に使える護身術を求めている方に、例えその人が世界のあちらこちらに居ようとも、一人でも学び習得することができる前提知識・術理・練習法を届ける」ことを実行することだ。私は学生の時に、弱者使用前提の武術を学ぶことができる環境があれば、理不尽な集団いじめに苦しむ一人の人間を救うことができたのである。その強烈な経験が、清朝宦官・宮女の護衛官武術「転掌」に徹底して私をこだわらせた。
転掌は、極めて数の少ない弱者使用前提の武術であり、技法はシンプルで、自分一人でも練習しやすい、という大きな利点がある。初版では、その転掌が伝える「一定時間生存術」の独学法を可能なかぎり掲載した。幸い、多くの読者に「独学の指南書」として読んでいただくことができた。そのような中で2025年10月、私は、『「本当に使える」女性護身術の独習教書』を発刊した。弊館にて転掌・転掌式八卦掌の全伝を得た女性掌継人と共に、書き下ろしたものである。そこでは特に、単換掌と双換掌の解説に力を入れた。解説をしていく中で、2つの技である単換掌・双換掌を習得するための書として発刊した本書について、新たに書き直し、解説したいと強く考えた。
第2版からの改訂点は、以下のとおりである。
- 必要にして最低限、かつ、転掌においてたった2つの技となる単換掌・双換掌の解説を初版より大幅に強化し、2技の専門解説書としてのクオリティを高めた。
- 単換掌で、斜め後方スライド技術と併せて転掌頭指掌(八卦掌に言う「穿掌」)の詳しい打ち方を学習することで速習を実現させ、有事に間に合わせる。
- 用法(使い方)を、中国拳法における伝統的指導法(襲う側目線から、師の動きを見て覚える方法)で示す。その際、対一人の用法を、技法習得傾向が強い「単換掌」で、対多人数の用法を、対多人数を含めた移動戦技術習得の傾向が強い「双換掌」で説明することで、あらゆる状況に耐えうる「2技」を目指す。
- 転掌頭指掌をはじめとする各打ち方や、けん制攻撃を有効なものとするための踏み入った昔日秘伝知識を伝えることで、実戦における単換掌・双換掌の姿を理解してもらう。
ここまで読んでいただいてお分かりの通り、本書は単換掌・双換掌を練習することで得られる「つかまれない・捕まらない」技術により相手を一定時間近づかせない状態を創り、その状態の中で離脱のチャンスをつかみ取る弱者ならではの護身技術を伝授する本なのである。しかしこれは当然ではあるが、転掌のカリキュラムが、単換掌・双換掌を習うことで修行者にまず習得させる技術と一致する。ゆえに近代格闘術八卦掌を修行しているが、単換掌・双換掌を使いこなせていない修行者にも大きなヒントを与えるのである。本書で教授する内容を用いることで、近代格闘術八卦掌家が苦しんでいる強者の力任せの攻撃に、「間隔」の創出でやり過ごす具体的な道が示されるからだ。
もしあなたが、「相手の手を取り、華麗な技をかけて危機を切り抜ける護身」を習いたいのであれば、本書をおすすめすることはできない。私は、この護身技術体系を持つ武術を、長年追い求めてきた。相手の状況に左右されず、自分さえマスターしておけば護身を果たすことができる転掌の「自分次第」の技術体系は、私に大きな安心感をもたらした。複数の武術・格闘技を研究したが、マスターすることで安心感が得られたのは、この「転掌」だけである。
最初の私の指導をここまで受けてくれた全国の後進諸氏に。安心する言葉を述べたい。これらの技術、独学での習得は可能である。独学での習得が可能と言いきる理由は、転掌が、敵と極力接触しない力のぶつからない攻防技術を最大の特徴とするから、である。
転掌の一定時間生存術の中核は、めまぐるしい移動によって生じる「勢い」を利用し、敵の突進に対し、自分の身体を反対側へ移動させ、「共に下がりながら」打ち合わない状態で攻防することである。よって現代主流の、敵の眼の前にとどまり、豪快華麗な技法で敵と打ち合い倒すことを主眼とする近代格闘術の精密高度な制敵技法を学ぶよりも、格段に一人練習がしやすくなっている。「打ち合わない=極力触れない」からである。
近代格闘術であれば、制敵練習において人を使った対人練習が常に必要となる。かたや転掌では、身体に動作をしみ込ませる際、一人練習による膨大な繰り返しで、その技術の精度をある程度高めることができるのである。この事実は、指導者が身近に存在しない独習者諸氏に大きな希望を与える。
転掌の上級レベルでは、流れるような移動身法による対敵制圧技法の護衛術「側近護衛術」がある。この技術は、襲撃者と並走しながら左右から自在に攻撃し、襲撃者を殺傷する技術であり、師伝によるものとされる。よって転掌のすべてを独学のみで極めることは難しいだろう。私もこの領域を、書籍上で公開するつもりはない。上級レベルでは、制敵技法を要する武術の側面を強く見せ、対人練習の重要性が高くなるゆえに独学が困難となるからだ。そして人を殺傷する技法をみだりに公開しない、という、武術教室に当然求められる社会的責任を果たす理由もある。
対人練習は、人との練習時間の打ち合わせなどがあり、自由に行うことができないのが常である。一人練習であれば、気兼ねなくいくらでも、好きな時間に取り組むことができる。膨大なくり返しによって対人練習ができない環境を覆してしまえばいいのだ。圧倒的な反復による身体への刷り込み作業で、対人練習をすることができない欠点をクリアするという「開き直り」をしてしまうのである。実は私も、技術の確立に際しては、一人だけで練習していた時間の方が圧倒的に多いのである。だから指導者が身近に居ないあなたにも確信をもって言えるのである。「あなたにもきっとできる」と。対人練習の機会がある時は参加する。それ以外では黙々と一人練習を繰り返す。そのように日々を過ごすことで、高い技術を自然に得ることができるだろう。「独学で武術は習得できない」というネット上にあふれる常識は、転掌には全く当てはまらないのである。
本書に興味を持って手に取った方のほとんどは、住んでいる地域に適格な指導者がいない方ばかりであろう。そのような方は、本書の術理解説部分をしっかりと読み込み動作を学習した後、知人・友人・家族に、実際に追いかけてもらい、技で対抗する経験をして欲しい。海に面している地域にお住まいの方は、迫る波を敵と想定し技を出す練習をするのもよい。それだけでも、水式館のサイト内で公開している私の「敵急接近時に対する動き」の動画との比較ができるようになる。敵目線から見た私の動きをイメージしながら練習することが、指導を受けられない独習者にとって最良の方法となる。
水式館が年に数回開催する転掌の講習会もある。水式館の通信講座部にて一人練習法を学習し、人に追ってもらった練習を指導部に見てもらってアドバイスを受ける手もある。指導資格を有する第三者から指導を受ける方法は、全国どこに住んでいても、いくらでもある。しかし道を拓く最大の武器は、己の「積み重ねる」意識である。
独習者は、今できる範囲内のことをし続け、積み重ねていくことが大切である。自分護衛術たる護身術とは、最も大切な「自分の命」を守るための、最もシビアな技術体系である。命がかかった技法ゆえ、「お気軽に」「わずかの時間で」済ますことはできない。転掌はその成立背景から、割と短期間で「一定時間生存術」を習得できる技術体系を持っている。しかし繰り返しによる積み重ねが必要なのは他の武術・格闘技とまったく変わらないのである。
本書を手に取ったあなたが「今そこにある危機」に直面しているならなおのこと、本文中にて説明される移動技術(歩き方)と敵接近時の対敵技術(単換掌・双換掌)に絞って繰り返して欲しい。その身にしみ込ませるのである。そしていざという時は遠慮などせず、即座に移動推進力を最高状態まで持っていき、襲撃者を翻弄して離脱のチャンスを創り出して欲しい。
あなたが万が一の際、その身を守る栄冠を勝ち取ることを切に願っている。
2025年12月14日
雪の降り始めた、北陸金沢にて
水野 義人
電子書籍版(1,250円税込)
紙書籍版(2,970円税込)
『2つの技で「あなたを絶対に守る護身術」独習の指南書』の目的
本書は、単換掌・双換掌の専門解説書となります。本書を手にとった読者にこの2技を習得してもらって、あらゆる敵から自分を守り、「生還」を果たしてもらうことを目指す本となります。
そしてその対象は、全国の読者に及びます。書籍でここまで2技を詳しく解説したものはありません。ここまで詳しく解説したのは、八卦掌水式館の本部に通うことができない遠隔地在住者にも、「本当に使える」転掌護身術を独学で学習することが出来る可能性を生み出すためです。
弊館本部(2025年現在石川県金沢市)の近郊在住者にしか指導できないのでは、転掌は世界の各地で、護身術を必要としている方に届きません。
館長・水野の目指すのは、転掌の一定時間生存術を、世界の各地でも当たり前に習うことができる環境となった世界を創出すること。そうなると、誰もが、強者の理不尽な暴力に対抗できるようになるからです。
『2つの技で「あなたを絶対に守る護身術」独習の指南書』とは?
特徴1:2技で構成される「一定時間生存術」のみを練習し、「生還」のみに焦点を当てて限られた時間を使う
本書では、この2技によって構成される転掌修行初期段階技術「一定時間生存術」を習得してもらいます。
一定時間生存術とは、宦官・宮女らが一定時間襲撃者から命を守りおとりとなり、おとり護衛を果たすために習得した技術です。「一定時間」生き残ることで、味方が救援に来るまでおとりとなって時間稼ぎをして、王族を守った技術です。支配民族たる満州民族至上主義の社会が生み出した、身分の低い人間の使用する、悲壮な武術の命を賭けた技術です。
後述しますが、2技のみで構成されるシンプルな技術体系は、短期習得、誰でも習得可能、のメリットを生み出します。現代社会において護身を必要とする方というのは、多くの場合、今そこに危機が迫っている方。この短期習得・誰でも習得可能、の特徴は、危機に瀕し不安でいっぱいの学習者に、大きな勇気を与えるでしょう。
特徴2:「弟子に自らを襲わせて、それを防ぐことで弟子に見本を示し、イメージを持たせ習得させる」の中国武術伝統指導方式を特別に採用し、全国の読者諸氏に直接指導
本書では、第三者目線で、型を示すことはしません。第三者目線で型の外見を理解することは、正確なイメージを持つことができないため弟子が技を覚えるための指導としては効率が悪く、中国拳法の正式にして秘密の指導の場では、行われないからです。


つまり本書では、正式弟子と同じ形態で、読者諸氏に、弟子目線で動画・写真を提示することで、単換掌・双換掌が指導されます。それはひとえに、全国の護身術を必要としている人が、その想いを遂げるためです。命がかかっているのです。書籍上だからといって、いい加減な指導はしません。
それゆえ、出版はAmazon出版とします。出版社経由の商業出版となると、多くの読者の気を引くために、護身に不必要な要素(見栄え・美しさ・不要な演武用型)まで、組み入れないといけないからです。必要なものだけを厳選し、その記述は全て、国内外において転掌唯一の伝承者・水野義人が自ら行っています。
本書を手に取ることで、あなたは水野の弟子となるのです。安心して学習を進めていって欲しいと思います。
電子書籍版(1,250円税込)
紙書籍版(2,970円税込)
『2つの技で「あなたを絶対に守る護身術」独習の指南書』で学ぶメリットとデメリット
本書で学ぶメリット~「一定時間生存術」の技法は極めてシンプルで、誰でも習得可能。敵の攻撃と交差するような紙一重の技法は存在しない
一定時間生存術は、戦い始めで両者間の間隔を創出し、移動して敵を引き込み、2技を駆使してかわし続け、敵の息が上がり足が止まったら離脱する、という、超現実的な技術です。華麗な打ち合い、華麗な防御などは一切存在しません。
上のイラストは、双換掌の使い方を示したものです。技ごとで、自分に近づいた敵をかわし、けん制攻撃をしている様子が分かるでしょう。双換掌は、連続する技ごとに、その場所に居る敵に、時に後ろからの敵に対処し、時に前方向に現れた敵にスライドしながら回避し、敵の攻撃をその都度かわし続け、離脱のチャンスをうかがうのです。
敵と向き合って構え、敵の力任せの攻撃を紙一重の技術でかわし、受け、攻撃する、のような、武術の経験の無い者に実行不可能な技など存在しません。そのような技は、道場に通い、毎日先生と打ち合いの練習をしたうえで、やっと使えるかどうか、の状態にもっていくことができるような代物だからです。誰でも使用可能、などは決して言うことはできません。時間の無い護身術希望者には、不向きです。
敵を向き合って戦うのが有効なのは、「試合」の場だけです。もし実戦であればどうか?相手がナイフなどの武器を取り出したら?映画や漫画のように、何度も何度もナイフ攻撃などかわすことはできません。昔のように、甲冑など着ていない私たちは、ナイフの攻撃には無力です。向き合って紙一重の攻防技術で戦うことしか知らなかったら、敵の振り回し攻撃によって腕などが斬られ、数分で動くことができなくなり、護身を果たすことができません。
本書であなたに習得してもらう転掌は、攻撃力の高い武器・甲冑などを身に付けることが許されなかった庶民が、武装した襲撃者から身を守るために編み出された「庶民用護身術」を参考に創られています。本当に命の危険が存在した、審判のいる試合、の概念など無かった時代の武術は、移動して間隔を創り、身を守ることが当たり前だったのです。
本書を読み進め、実際に身体を動かし定期的に練習していくことで、敵の接近攻撃をかわし続ける技術と持久力が身につきます。かわし続ける技術を支える持久力は、単換掌・双換掌を、ジョギングを行うかのように連続して無理せず、持続していくと自然と養われます。
「持久力」こそ、弱者たる女性・子供・高齢者・体格の小さい男性が、身体資源有利者に対抗し得る身体要素なのです。あまたの庶民武術も、転掌創始者・董海川先師も、そのことを知っていました。ゆえに、持久力で勝敗を決するような戦闘体系で、拳法自体を組み立てたのです。

上の写真は、単換掌の連続写真となります。敵を向き合う場面も、敵の攻撃を繊細な防御技で防ぐ場面もありません。戦い始めで先制して距離を空け、その間隔を縮めようと追撃してくる敵をかわし続け息を上がらせ、脚が止まったら離脱する。その流れの典型的な動きを、1つの型にしたものが単換掌なのです。
護身術を本当に必要としている方であれば、習う技法はシンプルであればあるほど良いことになります。このシンプルな技法を、全国の読者諸氏と一緒に、学習していきませんか。
デメリット~シンプルすぎる、という点。どこまでいっても、2技の身法に絡む練習である、という点。
シンプルすぎる、という点である。
ちまたの中国拳法教室では、習いにくる生徒が飽きないように、教えたものが理解できていなくとも、次から次へと、新しい技を教える。
しかし本書では、転掌の修行形態に従っているため、少ない技を習得することに徹する。そしてどれだけ進んでも、大きくは単換掌・双換掌の身法から外れることはない。
たった2つの技を習得して、短期間であらゆる攻撃の脅威から身を守る、という明確な意図が無いと、修行に飽き練習自体をやめてしまうことにつながってしまう。
電子書籍版(1,250円税込)
紙書籍版(2,970円税込)
本書で学ぶ「転掌」とは?中国四大門派「八卦掌」の原型にして、清朝後宮内の宦官・宮女の使用した護衛官武術。
転掌は、董海川先師が、後宮内で護衛官武術として採用されるために考えられた拳法です。後宮内には、非力な宦官・宮女しか、護衛を担いうる者はいません。その宦官・宮女に、使うことができるように技術体系が考えられた拳法なのです。
ゆえに転掌は、他の男性使用前提武術と違い、其の技術体系が非力な人間専用に考えられています。ここで転掌が、他の武術と違う特徴を挙げましょう。それらの点が、現代において弱者が生還を果たす護身術として最適な理由となるのです。
- 宦官・宮女でも使用できるような、筋力・体格・体重に頼らない技術体系であった点。
- 後宮内に侍る男性護衛者を素早く罷免するため、宦官・宮女を護衛官として速習する必要があったため、短期習得の技術体系であった点。
- 攻撃力の高い武器を常時携帯しなくても護衛ができる技術体系。つまり身の周りのもので戦うことができる技術体系であった点。
もちろん、この技術体系は、偶然作られたのではありません。董海川先師が、清朝王族の不満を推察し、その不満を解消し得る技術体系を持った武術を創り、意図的に売り込んだから、採用されたのです。 ここで、転掌の歴史について、触れていきます。
ルーツは戦場藤牌兵刀術+庶民向け生存第一主義武術
藤牌刀型の存在、藤牌兵部隊のような移動行動を中心にして組み立てられた戦闘体系→「源泉」と考えるのが普通
戦場藤牌兵は、藤で出来た軽い「藤牌(とうはい)」を片手に、もう一方の手に「藤牌兵刀(タガーソード)」を持って戦う最前衛の歩兵です。盾は防御の道具だけでなく、攻撃の道具としても利用し、移動を繰り返しながら両手を駆使して戦いました。
転掌に「連身藤牌」が伝わり、武器術の技法が片手に盾を持って戦うことを想定すると説明がつきやすい点は、藤牌兵刀術が転掌の源であったことを証する大きな要素です。そしてもう一つ、移動をメインにした藤牌兵の戦い方は、転掌の戦い方に共通する点が多く見られる、という点も、源であることを推測させる有効な証明要素となります。
藤牌兵部隊の部隊行動は、正面敵との試し接触(威力偵察)~移動~敵を引き込んで他の部隊が攻撃、を実行します。これは、転掌における移動攻防そのものです。移動~敵の接触に対しけん制による試し接触~移動~引き込んで実打による敵の足止め(離脱・奇襲)の流れは、藤牌兵部隊のような軽装部隊の戦場での移動行動からヒントを得たと思われます。
防具を身に付けることができない庶民のための庶民用武術は、転掌の「打ち合わない」スタイルの元となった
その移動兵刀術に、庶民用の武術が影響を与え、転掌が構成されていると思われます。
庶民用武術の大きな特徴は、攻撃力の高い武器や甲冑を装備できない庶民が使う武術ゆえ、敵と激しく打ち合う攻防スタイルを採らない点。当時の実戦は、刃物武器が用いられるのが当たり前。ゆえに、防具や武器に頼ることができない庶民は、移動して間隔を空けて戦うことで、その身を守りました。間隔創出による生存が第一であったため、敵を倒すことは二の次となりました。
あくまで転掌は、護衛官武術として採用されることを目指して、董海川先師がゼロから作った拳法
つまり、次世代武術「八卦掌」に伝えられる、董海川先師が、「異人」より八卦の術を授けられた・・・はロマンある創作であり、あくまで転掌は、董海川先師が自身の修めた武術をもとに、その技法を構成したものです。
転掌構成のきっかけは、董海川先師の野望です。後宮内で立身出世を果たすため、武術をネタに上級官吏としてのし上がるために、王族の不満を解消し得る武術を開発し、売り込み、転掌の指導教官として地位を上げたのです。
屋根の上で華麗に練習をしていたのを、偶然王族が見ていて見染められた・・も創造です。屋根の上で練習していたのを見られお褒めを受けたことはあったかもしれませんが、それだけで後宮護衛官武術となることは考えにくい。転掌を護衛官武術にすることに大きなメリットがあり、その点を機会を得て董先師自身が積極的に売り込んだことが、採用された直接の原因でしょう。
電子書籍版(1,250円税込)
紙書籍版(2,970円税込)
『2つの技で「あなたを絶対に守る護身術」独習の指南書』はこんな方におすすめ
既存の護身術を難しく感じている方。本書で指導する「一定時間生存術」は、「襲撃者の手をつかんで巧妙な技で倒す技術」ではありません。襲撃者の接近に対し、素早く移動し距離を取り、幾度かの対敵転身法でさばいて襲撃者を引き離し、離脱する技術です。この技法は、定期的に練習する方であれば、誰でも習得できます。
一般の女性護身術に疑問を感じている女性の方。護身術道場で組手(自由打ち合い練習)を経験し、男性の圧力に圧倒され、自信を無くしている方に最適です。本書の技術は、襲撃者の力に抗しないための移動身法を養うもの。移動による間隔の創出を実行し、その後は掴まれないために移動身法を養うもの。敵の手を掴んで云々の、高度難解な技法の習得はしないため、練習すれば誰でもできます。
本格的な中国拳法に興味のある方。本書で指導する「一定時間生存術」は、転掌における技術そのもの。そして、指導法は、「弟子に襲わせてそれをさばく技法を敵目線で弟子に示す」中国拳法の正式弟子のみが許される学習法。第三者目線で横から見た型を練習するような非効率的な学習をさせません。本書で学習する、ということは、純然たる中国拳法伝統門に入門し、学習すると同義なのです。
独学で実用的な護身術を身につけたい方。本書で指導する技術に合わせて、八卦掌水式館では参考動画集ページへのリンクを、書籍巻末に装備しております。館長自らが実演する動画をYoutubeチャンネルにアップし、独習者が独りで動作を学習できるよう工夫しました。「全国に普及させる」ための動画です。あなたの独習にお役立てください。
Q:2技の独学は可能ですか?~A:「練習するなら可能です」
本書は、水式館が本部を置く石川県金沢市に通うことができない人に向けた書です。インターネット上では、「中国拳法は独学では習得不可能」というコメントがたくさん存在します。他人が作った、既存の中国武術を、たった一人で全伝習得することは、難しいでしょう。あなたは、他人が創った武術の真実を外からしか垣間見ることができず、ヒントがまったく与えられない状態で模索し続けなければならないからです。
それならば、何かしらの武術を近所で習い、師匠のヒントを参考に、それを徹底的に練習し、自分なりの戦い方を確立した方がいいのです。つまり、自分の流派を作る、ということです。それならば、中国拳法をもとにした、自分の流派を形成でき、形は違えども、全部を一人で習得できます。
本書は、、転掌ならびに転掌式八卦掌の全伝を理解する本ではありません。転掌で最初に習う、双換掌・単換掌をもとにした一定時間生存術を独学で理解する本です。一定時間生存術は一人練習の比率が高く、習得すべき事項もシンプルであるため、独学での習得の可能性は大いに高いのです。
独学での習得を可能にする最大の要素は、「定期的な練習」となります。これなくして、どのような技法も習得できません。その技法を実戦で使うことができないのは、その技法を習得するために要する練習量に、圧倒的に足りてないのです。その拳法が弱いとか、そういう問題ではありません。
2技を習得するためのヒントは、伝承者の水野が責任をもって本書で記します。後は、あなたが本書を手に取り、定期的に練習し、読み返すことです。技術が上がっていくにつれ、本書に書いてある解説の意味が分かってくるでしょう。その理解は自分なりの理解でいいのです。その段階になって、「習得」の状態に近づきます。実際に人に追いかけてもらい、かわしてみましょう。海に行き、寄せ波をかわしながら、単換掌を放ってみましょう。その合間を縫って、定期的に、弟子から逃れる水野の動画を見ましょう。一目散に波や人から逃れることができれば、あなたの移動戦の技術は大きく上がっているのです。
移動による初撃の回避について、試合用格闘技をする人間の評価は低いの現状です。安易・誰でもできる、と、経験したこともない人間が、指導者であるにもかかわらず軽率に言い放ちます。しかし彼らは、「移動」を「後退」と勘違いしています。その時点で、彼らは移動戦のことを知らないのです。気にする必要はありません。敵の初撃に対し、ためらうことなく斜め後方へ移動し、移動戦の渦中に引きずり込みましょう。それならば、一人でも十分に習得できます。
転掌のマスターらが使う、「並走スライド変則撤退戦」による側近護衛術は、楊家転掌門の秘伝です。それは出し惜しみではなく、守るべき人を守るための、手の内の秘匿です。
一定時間生存術を真摯に学び、その先を見たいと願った真面目な者にのみ指導するものです。あなたが一定時間生存術の先に興味があるならば、どうか誠実に基礎を学習してください。水野は、そのような方に、誠実に指導することで応えます。
地道な練習となりますが、その積み重ねが、自分一人での理解につながるのです。大丈夫です、きっと習得できます。
電子書籍版(1,250円税込)
紙書籍版(2,970円税込)
『2つの技で「あなたを絶対に守る護身術」独習の指南書』を使った学習の仕方
まず本書を注文し手に取ること。それはあなたの師となる
本書を使って学習するための第一歩は、このページを何度も読み返し、本書の目的を理解したうえで注文することです。本書は、シンプルな技法に対し、練習者の上達状況に合わせて味わいの変わるシンプルだが奥深い術理が掲載されています。
この本は、本屋の立ち読みで済ませる本ではありません。何度も術理を読み、あなたの修行の友となる書です。私は中学生の時、1,500円以上の本「中国拳法 八卦掌」を、何のためらいもなく買い、その出会いは私の後の人生を大きく変えました。
その本を読み、八卦掌が、敵と力のぶつかる強者の試合向け格闘技である、ということを見抜きました。その気づきから、弱者護身を技術の中核とする拳法を探すようになったのです
一定時間生存するための「自分を活かす技法」は、本書を手に取ってくれたあなたのために、惜しみなく公開しています。先ほども言いましたが、本書は、一定時間生存術の入口に立つための本です。そのための技法と理論は、ここにすべて載っています。安心してご購入ください。
次に、転掌の土台技術「転掌移動法」を経験する。その後の技の練習を通して、移動法の要求を守るよう心掛けて、自然習得を目指す
2技の専門解説書といえど、転掌の土台技術ショウ泥歩による「転掌移動法」を実行していかないと、移動戦は展開できません。
転掌が極めて現実的な点とは、その移動法のおかげで、あらゆる路面環境下でも、平素の練習時の動きができる点であります。移動法さえ習得しておけば、路面悪条件下で敵は転倒しても自分は転倒せず立っていることができます。つまり移動戦に慣れていない敵に、地の利を活かすことができる場所に敵を誘導し、敵の勝手な転倒で生還を果たす戦術を使うことができるのです。
移動で身を守り、移動でけん制攻撃をし、移動で電撃奇襲をする転掌が、全路面対応の「移動」技術を持ち併せていなければ、命取りになる可能性があります。
よって本書でも真っ先に転掌移動法を理解してもらいます。その後、移動法を、2技の学習をしながら洗練させていくことで、短期習得につなげていくのです。

「一定時間生存術」を構成する術理「換掌理」を理解し、次の段階に備えること
推掌定歩基本功により、斜め後方スライド対敵身法実行時の、股関節の使い方を、身体にインプットします。まず足を止めて、その場で。
推掌定歩基本功は大事な基本練習ですが、一定時間生存術は、動くことで可能となるのです。よって、動いた状態での足の運び方を練習していきます。ここから中核技法に入っていきます。
「換掌理」を何度も読んでください。そこで説明されている「翻身旋理(ほんしんせんり※日本語読みで示しています)」と「刀裏背走理(とうりはいそうり※日本語読みで示しています)」を今から習得するために。なぜそのふたつの理が、一定時間生存術を実行する「転掌」で必要なのか、をあなたは心から理解する必要があります。
最も難しい「緒戦(戦の始まり)」の過ごし方を読み、ここでも「一定時間生存術」が有効であることを知る

戦いの中で最も難しい瞬間が「緒戦」です。多くの人間は、緒戦でためらうため、襲撃者の犠牲となるのです。
転掌における「一定時間生存術」では先制攻撃をしないため、緒戦でためらうことなく、日頃練習してきた行動を実行することができます。
つまり、敵が少しでも接近してきたら、斜め後方へスライドすればいいのです。日頃練習してきた行動をためらわせるのは、「相手に対する遠慮」のみ。「襲うつもりでなかったらどうしよう」です。
大丈夫です。接近してきた時点で疑われても仕方ないのです。私たちは、相手の思惑を知る術がありません。相手が本当にあなたを襲うつもりで近づいてきた可能性は、ゼロパーセントですか?そうであったとしても、それは私たちには分からないのです。外部状況を見てゼロパーセントでなかったら、ためらってはいけません。最悪の場合を想定して、あなたはためらわず緒戦行動を起こしてください。
ためらわず実行するためには、本書で示す3パターンを、最低限練習しておく必要があります。すべてのケースを想定したものではありませんが、ためらわずスライドするための練習には間違いなくなるでしょう。
2技の学習を通して、実戦時の身体の使い方をシミュレーションする
最後に、単換掌・双換掌を学習します。
八卦掌修行者の多く者は、単換掌こそ、八卦掌の原点と思っていますが、転掌では異なります。転掌では、原点は双換掌です。 転掌の中核技法は、移動によって東西(左右)から臨機応変に手を出し、敵を去り打ちけん制し続けること。それを学ぶのが双換掌だからです。この技術は中核技術なれど、修行初期から触れていく必要があります。 よって双換掌を最初に一通り学習し、敵接近時の最もシンプルな対敵法として、単換掌を学びます。真っすぐ直線移動して速く歩きます。敵が接近してきたと頭で想定します。空想の敵が接近して攻撃してきたら、あなたはすぐに敵に向かって敵の攻撃軌道をふさぐための手を出します。当たらなくても構いません。ふさいでいる最中も足のスライドを止めず、肩を入れ切る瞬間に、敵に向けて、反対側の腕を伸ばし(けん制)攻撃をします。
このシンプルな対処法こそ、一定時間生存法でもっとも使う対処型となるのです。シンプルだからこそ、徹底的に繰り返せば速い段階で無意識レベルで繰り出すことができるようになります。シンプルだからこそ体力の温存につながり、移動遊撃戦が長丁場となってもなんとか手を出し続けることができるのです。これが単換掌の本来の学習意義です。

電子書籍版(1,250円税込)
紙書籍版(2,970円税込)
本書の目次
■はじめに~第2版発刊にあたって。身を守るために必要な技が2つだけだった、という結論。 1
■2技の学習を始める前に~本書の利用方法 12
■護身術選びの鉄則~美しさや見栄えで選ぶことだけはするな! 13
華麗なデモンストレーション動画で惑わされ続ける護身術漂流者たち。 14
現在の護身術のほとんどは、弱者を強者に育てる「強者使用前提武術」から作られているため、「使えない」などの無理が生じる 15
私は弱者使用前提の技術体系にこだわり、その中で転掌と運命的な出逢いを果たした 16
「あなたを絶対に守る護身術」との出逢い方 17
◆留意点1:弱者使用前提で組まれた技術体系を持つ護身術を選ぶこと。 17
◆留意点2:独り練習で技術向上をはかることができる「対人想定練習」で技術を高めることができる練習法を持つ護身術を選ぶこと。 18
◆留意点3:身の周りのもので戦うことができるようになる「武器術」を常に練習する護身術を選ぶこと。 19
選んだ後は、基本に焦点を当てて、無意識に技が出るくらいまで繰り返すこと。 20
■転掌が「あなたを絶対に守る護身術」である理由 21
成立過程による理由~誕生秘話を知ることで、転掌が「弱者でも使える」ではなく「弱者専用」であることが分かる。 22
転掌技術体系による理由~2つの技を極めることが転掌を使って護身を果たすための最短ルート。 24
◆2つの技で得られる2つの「戦術」 24
◆「単換掌」「双換掌」の2技を習得することが、「あなたを絶対に守る」のはなぜか? 24
■護衛武術「転掌」による弱者護身術~5つの鉄則 26
鉄則1:最初に「敵と向き合って構え・・」というテレビの格闘技試合や映画で植え付けられた対敵の常識を捨て去れ。 27
鉄則2:とにかく距離を保て。距離を保つことは、対多人数・対強者・対武器における護身の絶対的基本である。掴まれる距離まで敵を近づけさせるな。 31
◆距離(間合い)を取ることの重要性 31
◆間合いを取るための「斜め後方スライド」 34
鉄則3:防御はもちろん、攻撃すらも「斜め後方スライド」しながら行う「けん制撤退戦」を貫け。当てなくていい。当たらなければいい。 35
◆斜め後方スライドによる「撤退戦」を貫き、「当たらない」を目指す。 35
◆転掌と、近代格闘術化した八卦掌では、その目的が違っている。 36
鉄則4:「移動遊撃戦」で敵を引き回し、敵の足が止まったらキロメートル単位で離脱せよ。そのための持久力を、基本型を繰り返しながら養え 37
◆弱者が護身を実現させるためには、最初から最後まで移動遊撃戦を貫き敵に抗しないこと 37
◆撤退戦には、撤退戦特有の技術「換掌理」で。最後は持久力の土台を活かして離脱せよ。 39
鉄則5:脚は常に移動防御・移動攻撃で使うため、蹴り技を使う暇はない。よって練習する必要もない。 40
鉄則6:刀術ベースの棒操術を身につけ、有事の際に身の周りにある棒で対抗できる可能性を生み出せ。練習しなければ可能性は生まれない。 41
■推掌定歩基本功(推磨式基本功・推磨式翻身功) 43
転掌の最重要基本功たる「推掌定歩基本功」 43
推磨式基本功の最重要項目:翻身旋(ほんしんせん・身を翻す旋法動作) 46
護身に直結する推掌定歩基本功の練習の仕方 49
推(すい) 50
◆「推」の練習法 50
◆「推」練習時の注意点:悪い例を知っておく 52
◆「推」「平穿」を利用した緒戦行動 53
平穿(へいせん) 53
蓋(がい) 54
◆「蓋」の練習法 55
◆「蓋」の身体操作による緒戦行動 56
劈(へき) 57
拍(はく) 59
撩(りょう) 61
■「基本姿勢」のとり方 62
基本姿勢~姿勢要求の理由ととり方 62
頭の向きは常に身体の向きと同一とする~基本姿勢をとる際の最重要事項 64
歩き方~?泥歩による路面を選ばず居着かない機動力基礎技術 66
ショウ泥歩とは 67
ショウ泥歩要訣1:「抓地牢(そうちろう)」で路面状況を選ばない移動技術を得る 68
◆「全路面型」「全天候型」移動方法を実現するのが「抓地牢」 69
◆「抓地牢」の安定性の秘密とは 71
ショウ泥歩要訣2:「平起平落」で、「居着く」状態を避け機敏に動き回る 73
■転掌の構え方 74
■対敵身法理論解説:「換掌理」とは~弱者使用前提の技術体系を支える弱者のための術理 77
換掌理概説~宦官が自身の立身出世のために考え出した弱者使用前提武術の中核術理 77
「換掌理」の最終目的~「勝利」より「生存」を第一に考えたスタイル 78
「単換刀」~戦場藤牌兵刀術から転掌への橋渡しとなった原点刀術型 80
◆「転掌」源泉型で理解を深めるのが、「翻身旋理」「刀裏背走理」 80
◆単換刀術の技の成否を分ける「翻身旋理」 83
過渡期の「単換掌」~「単換刀」を徒手の手返しの良さの利点を活かして完成させた初期「単換掌」 85
■転掌の説く、緒戦(しょせん)における対敵行動法 89
最悪の事態を想定し、ためらうことなくトップスピードまでもっていく 89
緒戦において「構え」をとることはない 90
緒戦の典型3パターンにて事前練習をする 92
パターン1:敵に対し半身で待ち伏せし、敵が動いた瞬間に斜め後方スライドを開始する 93
◆行動1:警戒 93
◆行動2:戦略的移動 96
◆行動3:攻撃に対する妨害行動 97
◆行動4:けん制による撤退戦 97
◆行動5:離脱 97
パターン2:敵の機先を制し高速?泥歩で一気に間合いを空ける 98
パターン3:後ろに下がる中で、ついてくる敵の何らかのアクションを合図に、高速?泥歩で一気に間合いを空ける 99
■斜め後方スライドにおける足の運び方(運足技術) 100
「足90・手10」と例えるくらい重要な運足技術 100
斜め後方スライドの運足方法 101
正確な翻身旋理の実行で「磨徑」状態を目指せ 102
運足における翻身旋理の重要性~「勢(せい)」の維持のために 102
■絶対護身を実現する「2つの技」1:単換掌(敵に背を向けない斜め後方スライド対敵身法) 103
練習段階1:要点と術理を知り、基本型を繰り返し動作に慣れる 106
◆転掌の成立過程における単換掌の位置 106
◆指先で攻撃することに抵抗のある宮女への配慮から生まれた「推掌転掌式」でも代用可能 107
◆単換掌の型で想定されている敵の侵入方向 109
◆単換掌「型」の全体の流れ 110
練習段階2:単換掌の各技の行い方・練習の仕方 113
◆単換掌1:托手拍掌 113
◆単換掌2:転掌頭指掌(退歩穿掌) 116
◆単換掌3:転身撩掌(転身撩掌) 120
◆単換掌4:翻身拍打 123
練習段階3:対多人数戦・対強者戦を可能とする「入身法」を意識した型練習をする 126
◆「入身法」は、転掌修行初期者も心掛けたい重要な技術 127
入身法の術理~入身法による攻撃動作は、なぜ生存を可能とするのか 128
■絶対護身を実現する「2つの技」2:双換掌(敵に一瞬背を向ける斜め後方スライド対敵身法) 131
敵に一瞬背を向ける意味 132
手を引き上げる意味 133
移動技術を徹底して磨く理由 136
練習段階1:基本型練習で転掌独特の移動遊撃戦の概念を身体に覚えさせる 137
◆双換掌1:平穿掌 139
◆双換掌2:単推掌 141
◆双換掌3:蓋掌 144
◆双換掌4:托手拍掌 148
◆双換掌5:転掌頭指掌 150
◆双換掌6:転身撩掌 152
◆双換掌7:翻身拍打 155
練習段階2:移動遊撃戦の先にある 「並走スライド変則撤退戦」の存在を知る 157
■移動攻防法の対人想定練習法~一人練習で護身力を高める練習法 158
斜め後方スライドの対敵法がどのように行われるかを敵目線で見て、そのイメージを持ちながら「真似」練習する 159
目標物を利用して、妨害行動→けん制→スライド回避の動きを繰り返し、手を出す方向・距離感をつかむ練習をする 161
「追われる」状態で技を出す体験をし、その直後に型練習をする 163
◆人に追いかけてもらった直後に型練習をする 163
◆遠浅海岸の波を利用して練習する 163
あとがき 166
◆書籍参考動画集リンク先 168
電子書籍版(1,250円税込)
紙書籍版(2,970円税込)
