Q:転掌は、八卦掌の原型とのことですが、どのような技術体系となっているのですか?
A:八卦陰陽理論を受ける前の、「転掌」名称時代の技術体系のため、「八」の概念にとらわれない、シンプルな技術体系です。3つの基本技と、それらで習った術理に沿った武器術を、徹底的に繰り返す、持久力重視の実用一辺倒の囮(おとり)護衛の武術です。
以下に、転掌(転掌式八卦掌)における技術体系を示します。代継課程と掌継人課程に分けて列挙してあります。基本的に、上から順に学習していくことになります。
転掌式八卦掌は、各技・各型ごとに、「8」という数字でまとめる、という概念が存在しません。よって、八母掌・八大掌・老八掌などのような、八で構成された型は存在しません。
八卦陰陽理論の影響を受ける前の、「転掌」名称時代の技術体系ゆえ、当然のことです。
転掌式八卦掌では、技法の土台はあくまで「抓地牢(そうちろう)」であり、単換掌の術理・勢掌の術理によった、3つの基本技(単換掌・双換掌・勢掌)があるのみです。転掌式や単招式は、あくまでこの3基本技の変化型的立場となります。
よって、抓地牢と、この3基本技を徹底的に繰り返し術理を極め、それを武器術に用いることになります。武器術は、この3技法で学んで術理で扱うことができるように、構成されています。
成立当時の昔日の武術であるため、難しい拳理などは一切ありません。当時の修行者は、文字が読み書き出来ない者ばかりであるため、技術体系はきわめてシンプルであり、単純でした。しかし「単純・シンプル=簡単」ではありません。膨大なくり返しによって、初めて弱者は強者の力任せの暴力に対抗できるのです。
それは必ず頭に入れておいてください。お気軽な護身術教室ではなく、弱者が強者の暴力によって殺傷・蹂躙されることが当たり前であった時代の、囮(おとり)護衛武術であることを忘れないでください。
【ウーマン・ライト・ガード・自分護衛課程(代継課程)】
◆抓地牢(そうちろう・移動身法の習得)
◆翻身旋理・刀裏背走理による単換掌の術理(斜め後方スライド時身法の習得)
◆前敵に対処する勢掌の術理(多人数戦時、振り向き様に居る前方向敵への対処けん制身法、もしくは、要人を襲おうとする敵に対する電撃攻撃身法)
◆単換掌(移動遊撃戦時、斜め後方から視界にはいってきた敵に対処する最もシンプルな対処技の学習)
◆双換掌(多人数敵に対処する際の基本となる身体操作法の学習)
◆勢掌(振り向き様敵に、スライド回避して攻撃することで防御攻撃することを学習)
◆単招式(勢掌の身法によった前敵対処の変化型)
◆単換掌・双換掌における対敵手技の変化型たる転掌式(単換掌の術理に沿った斜め後方敵への対処技の変化型)
◆単換刀(単換掌の術理の土台「翻身旋理」・「刀裏背走理」を学ぶ転掌原型技)
◆転掌刀術(単換掌・双換掌の術理によって再編成された転掌専門刀術)
【ウーマン・ライト・ガード・警護人課程(掌継人課程)】
◆三絶殺手
暴徒の急所を公開不可技法にて攻撃し絶命させる、清朝宮中内女官の護身技法。女性護身術科では、掌継人へ進むことを希望した者に、掌継人課程で最初に指導する。男性修行者は、掌継人課程修了後に指導する。
◆遊身大刀
槍などの長い武器を、刀の身法にて振り回して戦うための武器操法。後世に生まれた「八卦大刀術」とは無関係。
◆双身槍
長棒の両端に鉄のとがった刃部が付いたことを想定した技法で構成される、通り過ぎ攻撃専門・転掌独特の棍術的な長棒操。
◆双匕首
両手に持ったナイフで、敵の末端部血管を切って失血死させることを想定した、宦官使用前提の暗器的武器術。