Q:武器術は指導するのですか?また、必須科目なのですか?
A:刃物を持った相手に対しては、所持する折り畳み傘や、護身具で払いながら後退スライドして、機を見て離脱することが、弱者に残されたほぼ唯一の生存手段。身の回りの道具は、実際に日頃から練習しないと、使いこなすことはできない。よって生存を実現するために、武器術は必須科目となっています。
武器術は、女性護身術科では必須です。ウーマン・ライト・ガードでは、以下の武器術を必ず伝えます。
- 転掌刀(てんしょうとう)
- 遊身大刀(ゆうしんだいとう)
- 双身槍(そうしんそう)
- 双短棒(そうたんぼう ※双匕首、そうひしゅ)
それに加え、必須カリキュラムに入ってない水式館独自に伝わっている武器術として
- 連身藤牌(れんしんとうはい)
連身藤牌とは、藤で出来た盾を片手に持ち、もう一方に70センチ程度の短刀を持って行う、戦場刀術の影響を受けた武器術です。
連身藤牌のみ、他派・他門派の文献で確認できない武器術であるため、代表は必須カリキュラムから外しています。希望者のみ、指導しています。私は代表より掌継人となる直前、希望して連身藤牌も修めました。私は双短棒術が最も好きであり、両手を使って戦う動作がよく似ているため、連身藤牌は以前より履修することを決めていました。
代表が学生時代、指導を受けた厦門近郊楊家には、虎衣藤牌兵舞踏が伝承されていました。その影響を受けて、楊家の中で編成された可能性があるため、転掌式八卦掌伝承の履修課程より外してあります。
八卦掌水式門では、刀術は「刀術先生」と擬人的に呼び、転掌式八卦掌の術理を理解するうえで、大変有効な技術であると考えています。よって代表・水野は、「転掌式八卦掌」という原初八卦掌を再現・再興した後も毎日欠かさず、刀術の練習時間を多く取り研鑽に励んでいます。
転掌が、転掌刀術、もしくは遊身大刀のどちらをルーツとしているか、果ては、転掌刀と遊身大刀が、どちらが先に技術が確立されたのか、もはや知る術もありませんが、転掌式八卦掌を習得・理解するうえで欠かすことができない技術であるのは、間違いありません。
水式門では、習い始めてから間もなく(本人が本入門を希望したあたりから)、転掌刀と遊身大刀・そして転掌の原型たる「単換刀」を習い始めることで、拳と武器の両側面から、「翻身旋理・刀裏背走理」を学習し初め、単換掌の術理の習得を目指し始めます。
武器術は、八卦掌の根幹にして中核たる技術を理解するためだけでなく、もっと現実的に、周囲の道具を即興で武器にして、身を守るために大変有効な技術となります。
初学のうちは、こちらの効用を楽しみに学習を進めていくと良いでしょう。私も、戦う場面を想定しやすい武器術は、大変面白かったです。