日本国内において、三節棍と軟兵器の真伝を伝える、数少ない伝承者が、ハガン老師です(以後「ハガン師」と呼ばせていただきます)。
このページでは、マスター・ハガンに、私水野が、稀有なマスターに聞きたいこと、あれこれを直接質問しました。
本場中国大陸出身の若きマスターのマインドを知ることができて、本当に感銘を受けました。
私たち日本人は、これほどまでに本格的な師に指導を受けることは、なかなか難しいものです。大陸における指導形態は、日本のそれとは大きく異なります。
日本人の武術愛好家は、本格的な指導を夢みながら、肝心の行動を起こすこと、そして持続させることに欠ける傾向があります。これでは、目のまえに理想の師が現れたとしても、指導を受ける機会を得ることは難しいでしょう。
もしあなたが、真の中国拳法を学ぶことを目標としているなら、ハガン師の武術に向き合う姿勢を知ることは有益です。ハガン師の動きを、以下の師のYoutube動画でご覧ください。
三節棍について。広めたい理由。
~現在、ハガン師の出身地である、内モンゴル地区には、ハガン師の受け継いだ武術の伝承者はどれくらいいるのですか?
(私が受け継いだ)実戦性の強い古武術は、、昔から海外でもできる人は少ないです。2000年代の内モンゴル(教えて対価を取る武術塾を含めて、探せる範囲)で、真に私が習った武術をできる人は、僕の師匠一人しかいなかった。
~これは、予想通り、いやそれ以上に、伝承者の数は少ないのですね。
僕はその後十数年間で、何人かと出会いました。彼らに僕が教えて、故郷で今、伝承した武術が本当にできる者は、僕を含めて3人います。その2人は僕の全部の技はできないです。
両方中年の男性なのですが、両方素人じゃなく武術をたしなみ、今も他の武道関係者と練習してる、方たちです。そのため、色々情報入ってくるため、僕ら3人しかいないと断言できるのです。

~ハガン師の老師様から受け取ったバトンを、見事に伝承したのですね。その方たちは、今もハガン師の武術を練習しているのですか?
はい。継続してやってます。継続は大事です。一人は価値観が合わなくて10年以上付き合って縁を切った(袂を分かった)としても、僕は心の奥から(その方を)認めてます。
各人が習っている武道の実戦性をメインとする日本の人々なら理解してくれると思う。
~私も同感です。武術を極める長い道のりの中で、考えの相違から袂を分かつ経験は私もしております。実力こそが実戦武術でもっとも大切な要素の一つであることを、改めて感じさせて下さいます。そのような厳粛な側面があっても、ハガン師は、日本の有志に、受け継いでもらいたいと?
はい。価値のある古武道をこそ、受け継いでほしい。
~日本の有志は、ハガン師のこの言葉を胸に、己の目指す道を、追究してもらいたいですね。
ハガン師の紹介
~ここで、ハガン師の略歴を紹介したいと思います。出身地から教えてください。
内モンゴル出身モンゴル族、平成7年生まれ。モンコ斑はモンゴル人と日本人しかないから、仲が良いぞ、という父の強い思いがある。
内モンゴル、新疆、チベットは昔全部中国の土地じゃなかった、我々内モンゴル人も自分は中国と関係ないと思ってます。これを知ってる日本人は以外と少ない。ほぼゼロです。
~私も、歴史は好みますが、「関係ない」とまでお話になる、各民族の想いまでは、知りませんでした。中国武術は、どのようなきっかけで、お始めになられたのでしょうか。
中国武術は12歳頃から練習、きっかけは映画「Dragon Tiger Gate」の三節棍シーン。基本功を経て興味は軟兵器に定着。
師匠は形意拳の達人、出会った当時は65歳。若いとき河北省の武術コーチです。中国では河北、河南は「武術の郷」と言われています。これが、師との想い出の写真の一枚です。そして若き日の写真です。



~おおっ!これは何とも!私たち日本人が思い描く『達人』そのものの老師様ですね!オーラが出ています。ハガン師も、初々しくてお可愛いです(失礼)。河北省・河南省の武術に憧れる日本の愛好家・求道者は大変多いです。そのような土地での武術コーチであるならば、実力は素晴らしいのは間違いないですね。日本の武術もたしなまれるとお聞きになりましたが。
はい、子供時から日本武道にも興味を持ち、2013年からの2年間日本人師範のもとで剣道を(上海)。
2013年日本語を勉強、2017年初来日。大学院を経てその後会社員。日本の人々、日本のコーヒーとビール、ホッケーが大好きです。
~日本に来ていただき、本当にありがとうございます!軟兵器に興味を持つ日本人は多いです。ハガン師が日本に来ておられることは、日本人にとって幸運なことですね。三節棍・軟兵器を学ぶことで、得られるものは、何でしょうか?
コレに関しては単に好きだけでやってるんで考えたことないですが・・・・いくつか挙げるならば
- ジョギングなど軽い運動と違って、全身の筋肉が鍛えられます。
- 肝っ玉は太くなります。(最初は勇気いるので)
- 強い精神力が身につけます。
- 血液の循環がよくなり、健康にいい、身体の協調性向上
でしょうか。
~素晴らしい効果ばかりですね。肝っ玉が太くなる、強い精神力が身につく、は、熱く激しく同意です!
女性が三節棍を習うメリット

~女性は、男性よりも、その身を守るために中国拳法に真摯に向き合う傾向があります。そんな日本人女性に、ハガン師からメッセージをいただきたいと思います。
女性って、僕もニュースを見ますから、男性が女性を殺害ってことは昭和時代から後を経たないですね。頻発しすぎる、、なぜでしょう。
これはまた難しい質問ですが、最初は必ず怪我しますが、性別と年齢は関係なく、その人の意欲です。
~女性であっても、実戦を意識して練習すれば、大いに益するのですね。これは心強いメッセージをいただきました。
実戦だけの技は比較的に簡単にできますが、僕はこのような教え方したくないです。
華麗な技も実戦に使えてこそ、三節棍である。一から最後まで教えたいです。この考え方は固いでしょうか。
~私も、転掌の師から、実戦一辺倒の指導を受けましたが、術理さえマスターすれば、華麗・簡素関係なく実戦で使えると教わりました。華麗な技をも、華麗だけで終わらせず実戦に帰結させるのですね。改めて勉強になります。
なのでここで回答できるのは、相手に合わせて、長さや重さのオーダーメードはできます。腕の長さにもともと合わせる必要はあります。
また、現代社会にあわせて、持ち歩きやすいように、決められた長さを変更するのも良いと思います。
~女性にとって、そのアドバイスはありがたいですね。護身術の必要性の高い女性こそ、自分にあった三節棍を持ち歩くのも、かっこいいです。わくわくします。
師との想い出をきかせてください
~ハガン師の師匠とのお話をお聞かせ下さい。
正直僕の師匠は遊び半分の気持ちで僕を教わったんです。基本的な技を教えて頂き、今全般にできる技は半分以上師匠のものじゃないです。(背中回しながら走るなど)最終的に感謝してます。
師匠にとって僕はさほど重要ではなかったかもしれません。
~重要じゃなかったといいますと?高名であるがゆえに、多くの門弟がたくさんいたということでしょうか?
はい。武術の郷で、軟兵器が使用できる稀有な使い手であったので。
~なるほど。高名な師に、多くの学習希望者が集中することは、日本でも中国でも同じですね。・・・しかし、あれほど見事なハガン師の功夫(クンフー※練習量のこと)が培われたということは、老師様がハガン師に施した指導の質も相当ハイレベルであったと、私は感じました。
取り上げられるエピソードは全くなくて申し訳ありません。当時二人で撮ってた写真はありますが・・・・。
~いえ、とんでもありません。大変面白いエピソードです。老師様のご尊顔も拝ませていただきましたし。もしよろしければ、ハガン師の修行時代の、精神修養経験、実戦経験なんかも、教えてもらえませんか?
そうですね、道徳向上も同じです、武を習う前に徳を習えっていうことわざがあります。弱い者を虐めじゃいけないという常識はあります。
中学校の時5人に殴られてたちっこいデブちゃんがいて、僕は中に押し入れて助けたことがあります、残りの殴りは全部僕に変わられた。
~義を見てせざるは勇無きなり、ですね。身を呈してかばった行動は、まさに武術家ならではの義侠心だと思います。私もきっと、そうするでしょう!
三節棍を習いたい方へのメッセージ
~日本では、武術・武道を、精神修養の一つの手段として、習う傾向があります。技術体系に道徳を深く結びつけて、それを「道」とし、「武術」を「武道」とします。日本で武を学ぶ兄弟たちに、熱いメッセージをいただきたいですね。
言いたいのは、武術のおかげで強い精神力と忍耐力が身につけてますから。
でも、色々なことに縛られて仕返しできないのは、無念。
~悔しさを感じる気持ち、私にもよくわかります。
僕は単に価値のある古代文化を、武道の実戦をメインにする日本の方たちに、継承して真価を発揮して欲しい。
「三節棍を現代社会に埋められるべからず、一緒に継承して発熱させよ」という気持ちですね。
~すばらしいですね!熱いお言葉をありがとうございます。真の技術を受け継ぐ、日本在住のハガン師は、真伝を求める日本の有志の宝です。私も、このような場ではこざいますが、ハガン師の活動を応援したいと思います。本日は、本当にありがとうございました。
ハガン師とお話をして、私が思ったこと。インタビュー後記。
多くのマスターと話したことがあるのですが、ハガン師は、大陸における厳しい歴史から生み出された拳法の厳しい側面を、しっかりと受け継ぐ師である、と真っ先に感じました。
中国拳法は、支配民族が時代ごとに変わり、その都度過酷な殺戮を繰り広げてきた大変厳しい歴史野中で生み出されたものです。それゆえ、中国で真に使われることを目的にした実用拳法には、抜き差しならない冷酷さが伴っており、中国で伝承のみを目的に研さんを積み重ねてきた老師らには、鋭い刃のような心意気が根付いています。
ハガン師は、まさに大陸の老師の気風を受け継ぐ師であり、日本人に最も欠けている、実戦冷酷性を指導できる希少な師だと言えるでしょう。
師の得意とする軟兵器は、もはや神の領域であり、膨大な積み重ねを経たうえで躍動する動きは、「洗練」の極みでしょう。軟兵器を志す者は、師の指導活動が始動したら、大きなチャンスととらえ、すぐに行動を起こして欲しいと思います。
八卦掌水式館 館長・転掌八卦門 開祖 水野義人のプロフィール

水野義人(活動名:水野式人)
八卦掌水式館館長。八卦掌第6世。楊家伝転掌第8世掌継人。転掌八卦門開祖。弱者生存の理「単換掌の術理」を用い移動遊撃戦で戦うことを特色とする、清朝末期頃成立当時のままの八卦掌原型武術「転掌」を、世界で唯一公に伝える、転掌グランド・マスター。
転掌八卦門の開祖である館長の、転掌マスター養成ブログ更新中。転掌・八卦掌修行者のみならず、すべての武術において達人となることを夢みる方に有益な、館長の語録を随時更新中。
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