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老八掌・順勢掌:対多人数遊撃戦下における近接戦闘の基本型

順勢掌アイキャッチ画像

(このページは、2021年10月9日に更新しました。)

八卦掌の代表的型である老八掌。このページでは、単換掌・双換掌とともに「老三掌」として挙げられる(諸説あり)「順勢掌」を解説します。

順勢掌は、対多人数遊撃戦下において敵の懐に入った後に、どのように変化して攻撃していくか、について多くのヒントを与えてくれる代表的な型と言えるでしょう。

双換掌が、やや離れた状態で敵に囲まれた状態での攻防を学ぶ型であるのに対し、順勢掌の想定する間合いは本当に身近です。

老八掌「順勢掌」を動画で動作解説

特徴~老三掌にも数えられる重要な型。近接変化攻撃の身法を学ぶ。

順勢掌・上から見た動作解説

双換掌が、やや離れた距離(1~3mくらい)で囲まれた場合の身法を学ぶのに対し、順勢掌は、もっと敵と接近している状況での身法を学びます。

近接格闘術の習得だけが順勢掌の目的ではありませんが、単純に型を見るに、近接時の格闘指針をストレートに読み取ることができるのです。

順勢掌の別名を「脱身化影掌」と言いますが、脱身化影(相手には影だけが残るように我が身をすばやくひるがえしたり上下動したりすること)するには、敵と距離が縮まっている場合のほうが圧倒的にしやすく、その点からも近接格闘を想定した型であることが分かります。

順勢掌は、大きくふたつの部分で構成されています。一つ目は、老僧托鉢から身体を一気に捻りあげ、すかさず什歩となりしゃがみ、下から穿掌ですくいあげる動作。もう一つは、穿掌ですくいあげた後の動作で、螺旋をかけながら前→後ろ→前→後ろと、足を固定し身体をねじらせる動作です。

各パートとも、重要な用法を含んでいます。直接読み取ることができるもの、そしてそうでないもの。自身の経験も加味し、以下で動作と用法の説明をしていきましょう。

練習の際のポイント

順勢掌・動作解説

脱身化影(だっしんかえい)のごとく~上下のメリハリを思いきりつけて練習する

前述した脱身化影の状態だと相手に感じさせるためには、相手のすぐ近くで変化し始めるというポイントと、もうひとつ、メリハリをしっかりつけてダイナミックに行う、というポイントも守る必要がありあります。

相手のプレッシャーがない状態では、しっかりと動作を可動域いっぱいに行うのがよいでしょう。そうすることで、実戦や組手・散手において、動作の正確な骨子を得ているので、動作が小さくなろうとも、しっかりと順勢掌の力の伝え方や、流れを再現できます。

順勢掌のように、一連の身体の流れのなかで技が出される型は、その流れの中で生じる(生じさせる)力の伝達方法を得るために、とにかくと大きく動いて力や意識の流れを感じながら練習することが重要です。

老僧托鉢の手の下から片方の手を上に向かって大きく伸ばす時は、その手が螺旋を描いて天に登っていく龍のように行います。伸ばしきる時、手はまっすぐに、ピンと張って、かつねじれ・らせんも腕にかかっている状態で。そして、上に目いっぱい伸ばす瞬間に合わせて、少し身体もジャンプします。ジャンプするとき、全体的に身体も回転します。

ジャンプした次の瞬間、少し回転しながら片方の足を肩幅より広い幅まで横に広げて、思い切りしゃがみながら什歩の状態となり、そのまま下から上に救い上げるように穿掌を突き出します。身体の柔らかい人は、什歩で下に身体を下げて下からすくい上げ穿掌を出す時、胸が地面すれすれまで近づけるがごとく身体を沈めます。

※できない方は決して無理をしないように。什歩は無理をすると、いとも簡単に股関節や足の付け根を痛めてしまうため。

この動作を三回、繰り返します。

相手の手首をつかむイメージで行う前後螺旋運動

脱身化影が終わりましたら、次は左右に向かって各2回ずつ交互にらせんをかけながら手を穿掌で突き出します。突き出し速度は、それほどこだわらなくてもいいでしょう。

この動作は、八卦基本功の「螺旋功」の岱手(たいしゅ)螺旋功と同じ動きです。足から腰にねじりの力を伝え、肩を入れると同時に手を外転させながら螺旋を賭けて前に出す。手を前に出すと同時に、後ろ腕は内転させながらねじります。

前に穿掌を出す時は、しっかりとらせんの意識を腕から前方へと突き通すかの如く出します。後方の手は前手を前に出すのと引き換えに後方(もしくは側面)の手の手首をつかんで引き崩すかのごとく内転させてねじり引きます。

相手の手をつかんで倒す、態勢を崩す、はまさに「岱手」という単繰手であります。

老八掌「順勢掌」の用法解説

順勢掌・用法解説

順勢掌は、大きくふたつの部分で構成されています。一つ目は、老僧托鉢から身体を一気に捻りあげ、すかさず什歩となりしゃがみ、下から穿掌ですくいあげる動作。もう一つは、穿掌ですくいあげた後の動作で、螺旋をかけながら前→後ろ→前→後ろと、足を固定し身体をねじらせる動作です。

型を演じる時系列に合わせて、代表的な用法を紹介しましょう。ここで紹介するのは、代表的な用法です。ぜひとも頭にいれて練習してください。

脱身化影の用法

体当たり

前足扣歩とともに敵の攻撃を老僧托鉢で受けます。

より一層接近した状況(ケンカ等で、胸倉をつかまれるくらいの距離・40センチくらいの距離)では受け手の下からもう片方の手を相手の顔に沿って上に突きあげながら身体をねじって相手に身体をぶつけます。体当たり攻撃ですね。この時脇下~腰までのラインの部分を相手にぶつけると、より自然に素早く当てることができます。

手を上もしくは斜め上に挙げながら脇下~腰ラインを当てる体当たり攻撃は、中国拳法ではよく見られる技です。この体当たり攻撃を成功させる秘訣は、とにかく流れにのって一気に行うこと。大げさな話、その後控える什歩まで一体として行うくらい一連の流の中で行うくらい日頃から練習していくと、この体当たり攻撃が自然に相手に決まります。

老僧托鉢の手の下からの肘打ち・脇下掌底打ち→回転蹴り

老僧托鉢の手の下からの身体を回ししつつ肘打ち・脇下掌底打ちを行い、回転の流れの中で蹴りを膝から下の部分に入れます。

老僧托鉢の状態から、もう一方の肘(手)を相手に向かって身体を回しながら打ち(当たらなくても関係なく身体をぶち当てるつもりで打ち込む)、身体が相手のななめ前方で転じると同時に、膝下からくるぶし付近の弱い場所を、側面から踵を押し付けるように蹴ります。

よって、これは回し蹴りではなく、完全に回転不意打ち蹴りです。狙う場所は、スネとかではなく、膝とかくるぶし付近の弱い場所を横から、です。スネや大腿部を打てば相手は痛がりますが、戦闘不能にはなりません。

対多人数遊撃戦で敵の頭数を減らすには、一連の流れの中で相手を動けなくする確立が高い技を、何も考えずできるようにしておくことです。そのためには、流れに沿った練習を、流れの中で行うことができるようにしておきます。

「実戦ではそんなにうまくいかない。そもそもそのような流れにならない」という意見がありますが、流れ(動)の中で技を相手に当てるには、当然流れの中で練習するしかありません。意図的に走り回り、その最中に敵に近づいて、流れに乗ることができそうなタイミングであれば、相手がどんな反応をしてくるかに関係なく、技をかけきってしまいましょう。それがいい練習になります。

什歩で一気にしゃがみ、そこからすくいあげるように攻撃する

突き上げ攻撃が終った後、素早く什歩となって攻撃していくパターンもあります。身体を地面すれすれに伏せ、相手の視界から消え、相手の下からななめ上に向かって攻撃を加えるパターンです。

金的をすくい上げ打ちしたり、あご下から掌底をくらわしたり、下方から穿掌の連弾攻撃をします。相手の股に腕を入れ、下から相手の身体を持ち上げて投げ飛ばすのもいいですね。

地面すれすれまで身体を伏せなくとも、このパターンの攻撃はできます。要はその時の状況によって落差を変えることです。

前後に繰り出す螺旋功動作の用法

順勢掌の前後に繰り出す螺旋功動作

単繰手「白蛇吐信」にも通じる「前手を前方向へ外転させながら突き出す動作」の用法

単繰手に「白蛇吐信」という技があります。振り向きざまに自身の顔の後ろから掌を上にした穿掌を相手に向かって突き出す技です。

振り向きざま・・・という言葉から分かる通り、不意打ち攻撃です。順勢掌のように、相手との距離が接近している場合におけるこうような攻撃は、実によく当たります。

順勢掌の型中では、顔の後ろから穿掌を打ち出すことはありませんが、方向転換をしつつ穿掌を打ち出す技の身体操作方法は覚えておきたいですね。

単繰手「岱手」動作の練習となる「てのひらを上にしながら外転させて前に出しつつ、後方の手は内転させてながら手のひらを上にむける」の用法

単繰手に「岱手(たいしゅ)」という技があります。伸ばした手で相手の手首をつかみ、肩を後ろに引く動作だけで、相手をこちらに引っ張り、態勢を崩してしまう技です。

順勢掌における「てのひらを上にしながら外転させて前に出しつつ、後方の手は内転させてながら手のひらを上にむける」動作は、岱手の身体操作方法の参考になります。

型を練習するときは、相手の手をつかんで我の方へ引っ張る感じで行うと、リアルな練習になります。

老八掌「順勢掌」の滑歩練習

順勢掌・滑歩練習

老八掌の中で、順勢掌の滑歩練習は下搨掌と合わせて特に重視したい。

順勢掌は、敵と接近した距離で流れの中で技を繰り出し相手を翻弄する攻撃スタイルを学ぶ型であるからです。

動作速度は速くなくてもいいので、とにかく止まらずに行うのが練習になります。用法の部分でも触れましたが、当たらなくても止まらずに技を出し切ってしまうのがいい練習になります。組手(散手)をする機会がありましたら、相手に思い切りよけられてもいいので、順勢掌を出し切ってください。

実戦八卦掌をより深く学んでみたい方へ。代表・水野より。

代表・水野の写真

順勢掌の解説はどうでしたでしょうか?

八卦掌を学んでみたいけど、家の近くに指導者がいない・・・護身術として、実戦的な中国拳法を学んでみたい・・・。大切な人を守るために強くなりたい・・。

全国のそのような方々に向けて、最初の一歩を迷うことなく踏み出すことができるように、「独習者完全対応版。八卦掌基本技術オンライン講座」では、隠し事なし、出し惜しみなしで八卦掌の基本技法をお伝えしています。

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